ケルビン
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、温度の単位について説明しています。その他の用法については「ケルヴィン (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ケルビン
kelvin
記号K
国際単位系 (SI)
種類SI基本単位
熱力学温度
定義ボルツマン定数を 1.380649×10?23 J/K とすることによって定まる熱力学温度の単位
由来標準大気圧下での水の沸点氷点との温度差の 100 分の 1
語源ケルヴィン卿
テンプレートを表示

ケルビン(英語: kelvin, 記号: K)は、熱力学温度(絶対温度)の単位である。国際単位系 (SI) における7個のSI基本単位の一つである。

ケルビンの名は、イギリス物理学者で、絶対温度目盛りの必要性を説いたケルビン卿ウィリアム・トムソンにちなんで付けられた。なお、ケルビン卿の通称は彼が研究生活を送ったグラスゴーにあるケルビン川から取られている。
定義「SI基本単位の再定義 (2019年)」も参照

2019年5月以降の「ケルビン」は、以下のように定義されている[注 1]。ケルビン(記号は K)は、熱力学温度の SI 単位であり、ボルツマン定数 k を単位 J K−1(kg m2 s−2 K−1 に等しい)で表したときに、その数値を 1.380649×10?23 と定めることによって定義される。ここで、キログラムメートルおよびは h、c および ?νCs に関連して定義される[1][注 2]

h はプランク定数、c は真空中の光の速さ、?νCs は 133Cs (セシウム)の超微細構造遷移周波数である。

ケルビンが熱力学温度の単位であることから、絶対零度は0ケルビンである。また、セルシウス度はケルビンで表したときの数値から273.15を減じたものとして定義される。

日本の法令上は、計量法第3条の規定[注 3]に基づく計量単位令における定義の表現は次のようになっている。ボルツマン定数を 1.380649×10?23 J/K とすることによって定まる温度(ケルビンで表される温度は熱力学温度とし、セルシウス度又は度で表される温度はセルシウス温度(ケルビンで表した熱力学温度の値から273.15を減じたもの)とする。)

セルシウス度の歴史的な定義は、標準大気圧の下での水の氷点沸点をそれぞれ0 °C および 100 °Cとするものであった。これらの温度は、現在の定義では、それぞれ0.002519 °C(273.152519 K)、99.9743 °C(373.1243 K)となっている[注 4]
換算

ケルビンから他の単位への換算公式ケルビンからケルビンへ
セルシウス度[°C] = [K] ? 273.15[K] = [°C] + 273.15
ファーレンハイト度[°F] = [K] × .mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}9⁄5 ? 459.67[K] = ([°F] + 459.67) × 5⁄9
ランキン度[°R] = [K] × 9⁄5[K] = [°R] × 5⁄9
温度の間隔は以下のようになっている。
1 K = 1 °C = 9⁄5 °F = 9⁄5 °R
他の温度の単位への換算

セルシウス温度 t とそれに等しいケルビン T の関係
t / ∘ C = T / K − 273.15 {\displaystyle t/{}^{\circ }{\text{C}}=T/{\text{K}}-273.15} T / K = t / ∘ C + 273.15 {\displaystyle T/{\text{K}}=t/{}^{\circ }{\text{C}}+273.15}

なお、量記号を単位記号で割ったものは、その量をその単位で計ったときの数値を表す。
カ氏温度 θ とそれに等しいケルビン T の関係
θ / ∘ F = 9 5 T / K − 459.67 {\displaystyle \theta /{}^{\circ }{\text{F}}={\frac {9}{5}}T/{\text{K}}-459.67} T / K = 5 9 ( θ / ∘ F + 459.67 ) {\displaystyle T/{\text{K}}={\frac {5}{9}}(\theta /{}^{\circ }{\text{F}}+459.67)}
熱力学温度のエネルギーによる表現
プラズマ物理学の分野では温度を慣例的にエネルギーの単位である電子ボルト(記号: eV)で示すことがある。その温度における分子の平均運動エネルギーに相当し、ボルツマン定数 k=8.617×10?5 eV/K により換算される。1 eV/k = 11604 K1 K = 8.617×10?5 eV/k
使用上の注意

ケルビンは国際単位系の単位であり、単位記号は大文字の K が正しい(人名に由来する単位には大文字が用いられる。)[2]。かつては「°K」と書かれていたが現在では誤りである。

英語など複数形と単数形を区別する言語では、ボルトオームなど他のSI単位と同様、数値が1以外のときには複数形で表記される(例:「水の三重点は正確に273.16ケルビンである」は the triple point of water is exactly 273.16 kelvins となる[3])。「ケルビン温度目盛り ("Kelvin scale")」という用語における"Kelvin"は形容詞として機能し、この場合は頭文字を大文字で書く。

他の大部分のSI単位の記号(例外は角度の単位(例:45°3′4″))と同様、数値と単位記号の間には、99.987 K のように空白を入れる[4][5]

1967年の第13回CGPMまで、ケルビンは他の温度の単位と同様、「」(degree)と呼ばれていた。他の温度の単位との区別のために「ケルビン度」("degree Kelvin") や「絶対度」("degree absolute") と呼び、記号を「°K」としていた。1948年から1954年までは「絶対度」が正式な単位名称であったが、ランキン度のことも絶対度と呼ぶことがあり、曖昧さがあった。第13回CGPMで単位名称が「ケルビン」(記号:K)に改められた[6]
セルシウス温度との関係セルシウス温度とケルビンの両方の目盛りが振られた温度計

熱力学温度(記号 T)を氷点近くの T0 = 273.15 K という参照温度からの差を用いて表す方法が、今も広く使われている。この差はセルシウス温度(記号 t)と呼ばれる[7]。現在の国際単位系(SI)の公式文書では、固有の名称と記号を持つ 22 個の SI組立単位が定められているが、セルシウス度は、この22個のうちの一つとして、組立量である「セルシウス温度」を表す固有の名称を持つ組立単位と位置づけられている[8]

したがって、科学技術の分野では、同じ文章中でセルシウス温度とケルビンを併用することがしばしばある(例えば「測定値は0.01028 °Cで、不確かさは60 μK」)。これは、1989年の国際度量衡委員会の勧告5で採択された 1990年国際温度目盛(ITS-90)においても同じである。ケルビンとセルシウス温度の温度の間隔は同じ(つまりケルビンとセルシウス度とは同じ)であり、SIにおいてはセルシウス度は「セルシウス温度を表すためのケルビンの特別な名称」とされているので、このような表記が許容される[9]。第13回CGPMの決議3は「温度間隔はセルシウス度によって表現しても良い」と公式に表明しており[10]、「°C」と「K」を併用する慣習は科学的分野に広範囲に見られる。ただし、セルシウス度という単位は、温度差を表すときにのみ一貫性があることに注意しなければならない[11]

国際単位系の公式文書および計量法の規定により、ケルビン(K)と同様にセルシウス度(°C)にもSI接頭語を付けることができる(SI接頭語#法定計量単位のうちSI接頭語を付けることができない単位のとおり、SI接頭語を付することは禁止されていない)。しかし実態としては「m°C(ミリセルシウス度またはミリ度)」、「μ°C」(マイクロセルシウス度またはマイクロ度)のような表記は、実際には広く使用されてはいない。
歴史「熱力学温度」および「水#物理的性質」も参照単位名称の元となったケルビン卿


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:46 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef