ケルチ海峡事件
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ケルチ海峡事件
ウクライナ紛争

ウクライナのギュルザ-M型砲艇から見た、ロシア国境軍警備艇「ドン」(右)に激突されたウクライナ海軍航洋曳船「ヤニ・カプ」(左)

時2018年11月25日
場所ケルチ海峡
座標: .mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯44度51分00秒 東経36度23分04秒 / 北緯44.85000度 東経36.38444度 / 44.85000; 36.38444
結果

ロシア国境軍はウクライナ海軍艦艇3隻を拿捕

ウクライナは一部地域で戒厳令を宣言(2018年11月28日から同年12月27日まで)[2][3][4]

戒厳令の発令中は、人道目的を除き16歳から60歳までのロシア国民の男性全員のウクライナ入国が禁止された[5]

ウクライナは同国の港への船舶の航行をロシアが阻止したと主張(ロシアは否定)[6]


衝突した勢力

 ロシア

ロシア国境軍

黒海艦隊[1]

ロシア空軍

 ウクライナ

ウクライナ海軍

戦力
艦艇10隻:
ソボル型警備艇(英語版)
(PSイズムルド&PSドン)
航空機:
Ka-52 2機
Su-25 2機ギュルザ-M型砲艇2隻 (ベルジャーンシク&ニーコポリ)
プロメティ型航洋曳船1艇 (ヤニ・カプ)
被害者数
2隻に僅かな損傷乗組員24人が拘束[7] (3人負傷)
艦艇3隻が拿捕 (砲艇2隻、航洋曳船1艇。2隻の艦艇が損傷し、機関を喪失した)[8][9][10]
.mw-parser-output .locmap .od{position:absolute}.mw-parser-output .locmap .id{position:absolute;line-height:0}.mw-parser-output .locmap .l0{font-size:0;position:absolute}.mw-parser-output .locmap .pv{line-height:110%;position:absolute;text-align:center}.mw-parser-output .locmap .pl{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:right}.mw-parser-output .locmap .pr{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:left}.mw-parser-output .locmap .pv>div{display:inline;padding:1px}.mw-parser-output .locmap .pl>div{display:inline;padding:1px;float:right}.mw-parser-output .locmap .pr>div{display:inline;padding:1px;float:left}ケルチ海峡 黒海における位置

ケルチ海峡事件(ケルチかいきょうじけん)は、2018年11月25日にアゾフ海マリウポリ港に向かうために黒海からケルチ海峡の通過を試みたウクライナ海軍艦艇3隻に対し、ロシア連邦保安庁(FSB)の国境警備隊が発砲し、拿捕した国際事件[11]ウクライナ紛争中にロシア軍が公然とウクライナ軍と交戦したのは初めてのことであった。

2014年、ロシアはウクライナ領土として国際的に認められているクリミア半島を併合し、その後、海峡を渡るクリミア大橋を建設した。2003年の条約下で、海峡とアゾフ海は両国の共有領海であり、自由にアクセスできるようになっている[12][13]。一方、ロシアは、2003年の条約は法的に有効なままであるが、ウクライナの船舶は、海洋条約の法律で規定されているように、国境を越える航行の際は、クリミア半島の周辺沿いのロシアの海域に入る前に許可を求めなければならないと主張している[14]。ロシアによるクリミア併合はウクライナが認めていないため、ウクライナはクリミア海域についての国際条約の発動は違法であるとみなしている[15]

2隻の砲艦と1隻の航洋曳船で構成された船団がケルチ海峡に近づくと、ロシア国境警備隊は、ウクライナ海軍艦艇に対し、国境警備隊が「ロシア領海」と呼ぶ所から離れるよう繰り返し要請したと述べた。彼らは、艦艇が海峡を通過するための正式な手順に従わなかった、ウクライナの艦艇が危険な操舵をしていた、そして彼らは無線通信に応答していなかったと述べた[16] [17]。ウクライナは、ロシア側に艦艇が海峡を通過することをロシア側に事前通知したこと、船団がロシアに無線で連絡したが、応答がなかったことを伝え、船団がロシアの領海に入ったとする主張に反する2003年の条約を引用した[18][19][20]。ロシアはウクライナ海軍艦艇を制止としたが、船団は橋の方向へと航行を続けた。ウクライナ海軍艦艇が橋に近づくと、ロシア当局は橋の下に大型貨物船を配置し、アゾフ海への経路を阻止した。ウクライナ海軍艦艇は、海峡で8時間停泊し続けた後、オデッサ港へと引き返した。ロシア国境警備隊は、海峡を離れるウクライナ海軍艦艇を追跡し、後にクリミア沖の公海で船団に発砲し、拿捕した[16][21][22][23]。衝突で3人のウクライナ人乗組員が負傷し、拿捕された艦艇の24人のウクライナ海軍将兵全員がロシアに拘束された[7][24]

ウクライナ大統領はこの事件をロシアによる侵略の前兆の可能性として特徴づけ、ロシアとの国境沿いおよび黒海沿岸地域で戒厳令を宣言した(2018年12月26日に失効)[25][26]。ロシア政府は、この事件を2019年のウクライナ大統領選挙を控えたウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領による意図的な挑発と呼んだ[27]。ケルチ海峡事件は2018年のG20ブエノスアイレスサミットの数日前に発生し、西側の指導者たちは、ロシアに対する制裁について話した際にこの事件に言及した。
背景

ロシアは2014年にクリミアを併合した[25]。この併合は国連が公式に認めていない[28][29]

アゾフ海黒海をつなぐケルチ海峡は、ロシアのタマン半島と同国の占領下のクリミア半島の海岸によって形成されており、ウクライナ東部の港湾都市、特にマリウポリとの間を行き来する船の唯一のアクセスポイントとなっている。ウクライナとロシアは、トゥーズラ島事件後の2003年に海峡とアゾフ海を通過する自由の原則に同意したが[12]、クリミアの併合以来、ロシアは海峡の両側を支配してきた。2018年5月までに、ロシアはケルチ海峡内にクリミアとタマン半島をつなぐ全長19kmのクリミア大橋の建設を完了した[30]。橋の建設はウクライナや他の国々から違法行為と批判され[31]、さらに、ウクライナとアメリカの政府は、橋がアゾフ海のウクライナ港のハイブリッド封鎖の一部としてロシアが使用しているとし、橋が2018年5月に開通して以来、ロシアの船舶検査が急増し、伝えられるところによると、一部では通過を許可される前に3-7日待つことを余儀なくされている[32][33][34][35]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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