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ケヤキ
樹齢約1,000年といわれる野間の大ケヤキ
(大阪府豊能郡能勢町)
分類(APG III)
ケヤキ(欅[2]、学名: Zelkova serrata)は、ニレ科ケヤキ属の落葉高木。ツキ(槻)ともいう[1]。日本では代表的な広葉樹の一つで、枝ぶりが整った樹形が好まれて植栽や街路樹にも使われる。材は建築材として良材で、寺社建築によく使われる。 和名「ケヤキ」の由来は、「ケヤ」は古語で「すばらしい」という意味があり、「けやしの木」が転訛したものだといわれる[3]。中国名は「?樹」[1]。 朝鮮半島、中国、台湾と日本に分布し[4]、日本では本州、四国、九州に分布する[5]。山野に生え[6]、丘陵から山地[2]、平地まで自生する[7]。 自然分布の他に、人の手によって街路や公園、人家のまわりにも植えられたものもよく見られる[4]。日本では特に関東平野に多く見られ、屋敷林に使われることが多い[8]。北海道には自然分布はないが、函館や札幌などの都市部で、庭園樹や公園樹として植えられたものもある[9]。 落葉広葉樹の高木で[4]、高さ15 - 25メートル (m) になり[7][6]、大きなものでは幹径3 m、高さ30 - 50 mほどの個体もある[8]。開けた場所に生える個体は、枝が扇状に大きく斜めに広がり、独特の美しい樹形になる[10][2]。樹皮は灰白色から灰褐色で、若木のうちは滑らかで横長の皮目があるが[2]、老木になるとモザイク状や鱗片状、あるいは大きく反り返って剥がれるなど、剥がれ方は一様ではなく、幹の表面はまだら模様になる[4][6][2]。一年枝は褐色で無毛、ジグザグ状に伸びて皮目がある[2]。 花期は4 - 5月ごろ[2]。開花は目立たないが、葉が出る前に本年枝に数個ずつ薄い黄緑色の花が咲く[4][6]。雌雄同株で雌雄異花。本年枝の下部に数個ずつ雄花が、上部の葉腋に1 - 3個の雌花がつき[6]、雄花と雌花をつけた短い枝を「着果短枝」という[10]。花後に長枝が伸びて、本葉が出る[10]。 葉は互生し、葉身は長さ3 - 10センチメートル (cm) の卵形から卵状披針形で、葉縁にある鋸歯は曲線的に葉先に向かう特徴的な形であり、鋸歯の先端は尖る[6]。葉の正面はざらつく[7]。春の新緑や秋の紅葉(黄葉)が美しい樹木でもある[6][10]。都市部ではあまり鮮やかに紅葉せず黄褐色から褐色になって落葉してしまうが、寒冷地では個体によって色が異なり、黄色・橙色・赤色など色鮮やかに紅葉する[3]。若木や徒長枝の葉は大きく、赤色に紅葉する傾向が強い[3]。紅葉は褐色を帯びるのが比較的早く、落ち葉もすぐに褐色になる[7]。 果期は10月[10]。果実は長さ約5ミリメートル (mm) の平たい球形をした痩果で、秋に暗褐色に熟す[6]。小枝についた葉が翼となって、果実がついたまま長さ10 - 15 cmの小枝ごと木から離れ、風に乗って遠く運ばれて分布を広げる[3][2]。 冬芽は互生し、小さな卵形で暗褐色の8 - 10枚の芽鱗に包まれており、横に副芽を付けることがある[2]。枝先には仮頂芽がつき、側芽は枝に沿わずに開出してつく[2]。冬芽の横には、しばしば副芽がつく[2]。冬芽のわきにある葉痕は半円形で、維管束痕が3個ある[2]。 葉の裏と柄に短毛の密生する変種をメゲヤキという。 箒を逆さにしたような樹形が美しく、街路樹や公園樹としてよく親しまれ、防火や防風の目的で庭木などとしてもよく植えられる[4][6]。特に関東地方での利用が多い[4]。巨木が国や地方自治体の天然記念物になっていることがある。朝鮮半島では、ケヤキの春の若葉を茹でて食べることもあり、餅にも入れられる[9]。 ケヤキの花言葉は、「幸運」[10]「長寿」[10]とされる。 日本の材としては、ジャパニーズ・ウイスキーの樽に使われることで有名なミズナラとともに、導管を塞ぐ「チロース 寺社建築に盛んに使われるようになったのは、縦引き鋸が使われ出した室町時代以降のことである[10]。ヒノキやスギは縦に割って使うことができたが、ケヤキの材はかたく、割るのは困難であったためである[10]。材の強度は、ヒノキとは反対に伐採後から次第に低下していくといわれ、薬師寺東塔に使われたケヤキ材は1200年を経過していて、破断状態にあったという[10]。広葉樹、特にケヤキは道管が環状に並んで年輪がはっきりと見える板となり、年輪幅が広い方がかたくて、重い良材となる[10]。 チロースが発達しているので、伐採後も長い間導管内に水分が閉じ込められたままになる。そのため、伐採してから、乾燥し枯れるまでの間、右に左にと、大きく反っていくので、何年も寝かせないと使えない。特に大黒柱に大木を使った場合、家を動かすほど反ることがあるので大工泣かせの木材である。また、中心部の赤身といわれる部分が主に使われ、周囲の白太は捨てられるので、よほど太い原木でないと立派な柱は取れない。 1940年、戦時色の強まった日本では、用材生産統制規則により特定の樹種について用途指定を実施。ケヤキ材の使用用途については軍需、内地使用の船舶、車両用に限られることとなった[11]。 多くの自治体が、「県の木」「市の木」といったシンボルにケヤキを指定している。
名称
分布
形態・生態
樹皮
葉
新芽と雄花序
紅葉した梢
紅葉(10月)
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人間との関わり
木材ケヤキ無垢板;塗装済み
シンボル
ケヤキをシンボルに指定している都道府県
宮城県
福島県
埼玉県
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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