ケムール人
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ケムール人
ウルトラシリーズのキャラクター
初登場『ウルトラQ』第19話「2020年の挑戦」
作者

成田亨(デザイン)

高山良策(造形)

千束北男(脚本)

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ケムール人は、特撮テレビドラマ『ウルトラQ』をはじめとする「ウルトラシリーズ」に登場する架空の宇宙人[1]。別名は誘拐怪人[注釈 1]

名前は「煙のごとく消える」という発想からネーミングしたもの[3][4]
デザイン

デザインは成田亨[5][6]。エジプト絵画独特の平面性を取り入れたとされ[7]、成田自身は会心の作と称している[5][6]。また、頭部を一周するように配置された目は、常に怯えて周囲をうかがっている未来人をイメージしたものである[3]。頭部デザインにはどの角度から見ても同様に見えるシンクロナイゼーションを採用し、シンメトリーを排して人間の顔を四方から捉えたものをまとめて構成している[8][6]

細い体躯、いびつな細長い頭部には、縦横方向にうねうねと亀裂が走っている。横方向の亀裂は左右非対称の高さで頭部を一周しており、その亀裂に埋まるように前方左右と後頭部左側に計3つの目が配されている。頭頂部からはチョウチンアンコウの釣竿(イリシウム)のような管状の器官が伸びているほか、漏斗のように開いている先端からは消去エネルギー源を出す。手足を高く上げる走り方が特徴として挙げられるほか、「フォ、フォ、フォ」という不気味な声を発し、歩行音も不気味なものとなっている。体色は白黒作品だったこともあり、諸説が存在する。

ウエットスーツで造形された宇宙人というコンセプトは、後のウルトラマンの造型につながっていった[9]
『ウルトラQ』に登場するケムール人

諸元ケムール人


KEMUR
[出典 1]

KEMURJIN[14]

別名誘拐怪人
身長1.9 - 30 m[出典 2]
体重40 kg - 1万5千 t[出典 2]
出身地

ケムール星[出典 3]

2020年の世界[17]

ウルトラQ』第19話「2020年の挑戦」に登場。

2020年のケムール星から1960年代の地球を来訪した異星人。人類の未来の姿であるとも言われるが、定かではない。かつて、Xチャンネル光波で交信した内容を記録したという神田博士の著書『2020年の挑戦』によれば、医学技術の驚異的な発達により、内臓移植や皮膚の生成を繰り返して500歳という寿命を得るようになったが、歳月とともに進行する肉体の衰えには勝てず、地球人の若い肉体に着目して地球を来訪したとされている。

衰えたとはいえ、その身体は地球人を凌駕する運動能力を備えており、本気で走ればパトカー以上の速度で走行して移動する。後述の変身能力も持つほか、頭頂部の漏斗状の器官から放射する消去エネルギー源[出典 4][注釈 2]と呼ばれるゼリー状の可燃性物体を操り、触れたものを次々と消滅させ、ケムール星へ電送・誘拐する。天野と共に自家用飛行機に乗っていた物語の主人公・万城目淳も、この消去エネルギー源によって誘拐される。その夜、電話ボックスで電話をしていた由利子も消去エネルギー源を天井から浴びせられそうになったところを宇田川警部によって助けられるが、彼が目を離したすきに由利子は遊園地へ連れ去られる。ケムール人は変身能力で万城目に化け、由利子を油断させて不敵な笑みを浮かべながら正体を現し、逃げる彼女を襲い始める。そこへ駆けつけた警官隊に追い詰められ、宇田川に銃撃されると巨大化して消去エネルギー源を滴らせながら観覧車などを破壊するが、神田博士の発明品K・ミニオードから発せられるXチャンネル光波を東京タワーから放射されると悶絶して倒れ、頭頂部から消去エネルギー源を自身に滴らせながら消滅する。その直後、誘拐されていた万城目たちも上空から降りてきた煙にまぎれる形で出現し、生還する。

だが、消滅後に残った消去エネルギー源の水たまりはまだ人間を消去する機能を有していたため、事件解決後に不用意に水たまりに足をつけた宇田川は消去エネルギー源の力で消滅してしまった。

スーツアクター:古谷敏[17][3]

デザイナーの成田亨は、ケムール人とラゴンを演じた古谷のプロポーションに惚れ込み、ウルトラマンのデザインを着想したとされる[9][21]


脚本は、「映画『美女と液体人間』のようなもの」という円谷一からの要望をもとに、千束北男(飯島敏宏)が自身の愛好する宇宙の要素を加え、宇宙人による消失ものとなった[3][22]。消去エネルギー源の描写は、『美女と液体人間』に登場する液体人間と同じく有機ガラスを用いて撮影された[22]

等身大時の声には1963年公開の東宝映画『マタンゴ』に登場する怪物マタンゴ(マタンゴ怪人)のものが流用されており[出典 7]1966年放送の『ウルトラマン』に登場するバルタン星人の声と同一である。数種類あるこの笑い声の音源は、ビクターエンタテインメントから発売されている効果音CDで確認できる。

巨大化時の声には1955年公開の東宝映画『ゴジラの逆襲』に登場した時のゴジラアンギラスとの戦闘時)のものが流用されたが、『ウルトラゾーン』以降は等身大時の声に流用された。

両手を大きく振り上げてジャンプするように走るという独特の走法は、飯島敏宏の演技指導によるものである[3]。速く走るためにローラースケートを履くなどの発想があったが、目を動かすためにモーターを3つ入れるなどしてスーツが重かったため、撮影では使えなかったという[26]。パトカーの前を走る描写は、パトカーの映像にケムール人を焼き込んでいる[3]

初代を写したカラー写真は現存しないため、二代目などに流用された顔部以外の体色は不明であったが、デザインおよび着ぐるみに塗装した成田がギザギザ模様は鮮やかなブルーだった(ペンキを成田が自身で混色したと述べている)と証言したため、フィギュアなどはこの証言に基づいて塗装されている。特撮雑誌『宇宙船』Vol.31では、成田の塗装によるフィギュアが公開された[27]

2012年の『総天然色ウルトラQ』でも、成田が後年に描いたケムール人の絵を基として藍色っぽい青に着色されている[15][9]。頭部は『ウルトラマン』に登場する二代目にそのまま使用されていたが、デザイナーの意志の尊重と全体での統一感を持たせるため、目の色以外は異なるものとなった[15][9]。夜間シーンが多いことから着色が難しく、テストが繰り返された[15]


着ぐるみの造形は、頭部・グローブ・ブーツを高山良策、ボディを成田と特撮班の美術スタッフが担当した[3][9]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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