ケバブ
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アフガニスタン料理店のカバーブ

ケバブ(トルコ語: kebap)は、中東とその周辺地域で供される、野菜などをローストして調理する料理の総称。アラビア文字表記は ????‎ (kab?b, カバーブ) で、日本語ではカバブという表記も一般的である(シシカバブを参照)。

中東諸言語のうちで「ケバブ」はペルシア語あるいはトルコ語に由来するものであるが、現代トルコ語では語末の子音が無声化して「kebap」と表記される。その他周辺各国では、カワープ(ウイグル)、ケベプ(キルギス)、カバーブ(インドパキスタンアフガニスタンアラブ)、キャバーブ(イラン)、チェヴァプ(バルカン)などと呼ばれる。
概要

ケバブのもっとも典型的な調理法は、四角形に切った肉をに刺して焼いたものである。トルコでは、串焼きのケバブのほか、ヨーグルトを添えて食べるイスケンデルケバブ (?skender Kebab?) や、味付けした細切れ肉を重ねて塊にし、回転させながら焼いて火が通った表面から少しずつ削ぎ取って供するドネルケバブ (Doner Kebab?) などのバリエーションがあり、様々な焼肉料理がケバブと総称される。なお、焼く代わりに煮込んだり、揚げたり、蒸したりする肉料理もカバブと呼ばれることがある。ウイグルのカワープも炒め肉も含めた焼肉の総称である。

同地域では、挽肉を固めたハンバーグミートボールにあたる肉料理にはトルコではキョフテ (kofte) 、アラブ諸国ではクフタ (?????‎ kufta) あるいはコフタ、イランではクーフテ (????? kofte) 、インドではコーフター (??????? k?ft?) 、アルメニアではキュフテ (Keufteh) という名前があるが、トルコやイラン、アフガニスタンでは挽肉をつくね状にして平たい金属製の串に巻いて焼いたものはケバブ料理に含まれ、コフタ・カバーブと呼ばれる。なお、イラクではコフタを串に巻いて焼いたものをカバーブと呼び、四角形に切った肉を串に刺して焼いたものをティッカ (???‎ tikkah) と呼ぶ。
語源

アッカド語には「焼く」または「焦がす」という意味の「カバブー」 (kababu) という言葉があり、これからアラビア語の「カバーブ」が派生したという説がある[1]
串焼きのケバブシシュケバブにオルゾピラフ、タマネギ、トマトなどを添えたものチェロウ、焼いたトマトとトウガラシ、ヨーグルト、ピクルス、ライム等を添えたイランのキャバーブ詳細は「シシカバブ」を参照

串焼きのケバブは、日本ではインド料理のシークカバブが早くに紹介され、それがトルコ風に訛った「シシカバブー」という名前で親しまれてきた。近年、トルコ料理としてのシシュケバブが紹介されるにつれ、もともと同じ料理だが調理法の異なるシークカバーブとシシュケバブが混同され、日本で古くから親しまれてきた本来インド料理であるシークカバブの本場もトルコであるとの誤解も生じているようである[2]

トルコなどのイスラム教国の場合、ケバブには主に羊肉牛肉鶏肉が使われ、魚肉も使われることがある。ウイグルではアヒルや各種野鳥も使われることがある。ヒンドゥー教徒が多いインドでは、ムスリム専用食堂など一部の場を除いてシークカバーブに牛肉が使われることはなく、もっぱら羊肉や山羊肉が使用される。ほか魚や鶏肉のシークカバーブもあるが、羊のものに比べればあまり一般的ではない。

イランの国民食は、角切りにしたヒレまたはサーロインを串に刺して焼いたキャバーベ・バルグ (???? ??? kab?b-e barg) または味つけした挽肉を串に巻いて焼いたキャバーブ・クービーデ(???? ?????? kab?b k?b?de) をチェロウ (??? chelow) という白いピラフの上にのせて食べる「チェロウ・キャバーブ」である。

串焼きのケバブの標準的なサイズは各地で差があり、日本の焼き鳥程度の20cm程度の串を使う地域から、40cm程度の剣のような串を使う地域もあれば、クチャ県の1m近い巨大な串を使う例まである。
ドネルケバブ「ドネルケバブ」も参照.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、ドネルケバブに関連するカテゴリがあります。ドネルケバブケバブ店のメニュー、2006年リヨンにて。ピタに挟んだケバブが4ユーロ、皿に盛ったケバブは7ユーロ。ドネルサンド露店のケバブ

ドネルケバブ(ドナーケバブ、: Doner kebab、トルコ語: Doner Kabap)は垂直の串に味付けした肉を上から刺していって積層し、水平に回転させながらそれを囲んだ縦型グリル(主にガスと電気、以前は火が使われていた。現在でも中東の一部では使用している地域がある)の熱で外側から焼き、焼けた部分から順次肉を削ぎ落としたもので、ギリシア料理ギロ、イロ gyro、アラブ料理のシャワルマ(??????????, sh?warm?, シャーワルマー。イラクでの名称は ???? / ???? / ????(ga??, ガッス))と起源が同じで調理過程も含めほぼ同じ料理である。

トルコでは羊肉、鶏肉が主に使われ、レストランではに盛って供されるが、屋台ではパンサラダと一緒に挟む食べ方でテイクアウトメニューになっている。

欧米や日本では、トルコでのドネルケバブの食べ方の一例である、パン野菜サラダと一緒に挟む食べ方が広まっており、ギリシャ風にギロと呼ばれることも多い。トルコではフランスパンのような棒状のパンを使うが、海外では丸いパンをふたつに割ったものにサンドするのが一般的で、ドネルサンドなどと呼ばれている。肉も、羊肉の代わりに牛肉が使われることが多い。台湾ではシャワールマを音訳した「沙威瑪」(シャーウェイマー、sh?w?im?)の名で鶏肉のドネルケバブキャベツなどを細長いパンに挟んだものを販売する屋台が増えつつある。中国では「トルコ焼肉」の名でのドネルケバブキャベツなどを中国式焼きパンに挟んだものを販売する屋台がある。また、中国南部では、豚肉を使用するにも「トルコ焼肉」の名で販売するの独特の料理がある。

また、ドネルケバブのサンドイッチに使われるパンが、円形で内部が空洞のピタを半分に切って袋状にしたものであることもあり、その場合、袋状の内部にケバブとサラダが入っている。

また、ケバブとサラダをパンに挟んだあとに、チリソースハリッサなどのソースをかけることがある。ドネルケバブの肉には、香辛料ヨーグルトを用いてあらかじめ十分味付けをしてあるため、トルコでは調理後の味付けは塩を振る程度である。
中東諸国以外での普及
バルカン半島

オスマン帝国の支配下にあったバルカン半島では、チェヴァプチチ、チェヴァピ、ケバプチェなどと呼ばれる小型のハンバーグ状のケバブが伝統料理として定着している。
ヨーロッパのその他の地

ヨーロッパのその他の地域では、ドイツトルコ系の移民が持ち込んだドネルケバブが一般的で、ドネルケバブがファーストフードの定番となるほど広まっている。ドイツはトルコ移民が多くケバブ・ケバブピザ・ドネルケバブをレストランやファーストフード、屋台といった様々な形態で販売しており、味も悪くなく値段も抑えられており人気がある。[3]これはマクドナルドバーガーキングのような外資産業のようなロイヤリティや最低賃金の歯止め規定が、ケバブ売りにはまったく存在しないためである。
フランス

フランスでは、ドネルケバブにはフライドポテトがつきもので、チュニジア発祥の唐辛子ソースハリッサをかけて食べる。


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