ケノーシャ_(ウィスコンシン州)
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ケノーシャのダウンタウン

ケノーシャ(Kenosha)は、アメリカ合衆国ウィスコンシン州南東端に位置する都市。シカゴの北約85km、ミルウォーキーの南約55kmに位置する。人口は9万9986人(2020年)[1]で、ミルウォーキー、マディソングリーンベイに次ぐ州第4の都市である。

1900年代から1980年代までにかけては、ケノーシャは自動車産業の街として発展したが、その後は主にシカゴやミルウォーキーへの通勤者が住む郊外都市として機能している。物理的な距離はシカゴよりミルウォーキーのほうが近いものの、統計的にはシカゴ都市圏に含まれており、また実際にもシカゴの近郊列車であるメトラの終点となっていたり、イリノイ州北部からの移入者を多く集めている[2]など、シカゴ都市圏最北端の郊外都市という位置付けになっている。しかし、地域経済や文化はシカゴとミルウォーキーの両方の影響を受けている。
歴史

この地には最終氷期には既に人類が住み着いていたと考えられている[3]。少なくとも13,500年前には、この地にはパレオ・インディアンが住み着いていた[4]。やがて時代が下って住み着いたネイティブ・アメリカンは、この地で繁殖するパイクに由来する名をつけた。ポタワトミ族は、この地を「パイクの地」を意味するgnozheと呼び、オジブワ族もまた、「パイクが一堂に集まる地」を意味するMasu-kinojaと呼んだ。

この地に初めて入植したヨーロッパ人は、1830年代初頭にニューヨーク州トロイおよびハンニバルからやってきた、ジョン・ブレン・ジュニア率いる西部移出会社の一団であった。彼らはミルウォーキーラシーンを経由して、1835年6月6日にブレンが購入したこの地のパイク・クリークのほとりにたどり着き、丸太小屋や木造の家屋、学校、教会を建て、入植地を創設した[5]。入植者が増え、最初の郵便局が開局すると、この入植地はやがてパイクという名で知られていくようになった。その後、この地がミシガン湖の重要な港になると、村はサウスポートと名を変えた。村は1850年に正式な自治体となり、かつてポタワトミ族がつけたgnozheという名を英語読みしたケノーシャという名に変えられた[6]トマス・B・ジェフリー・カンパニーの工場(1915年頃)

20世紀初頭から1930年代にかけては、イタリア系、アイルランド系、ポーランド系、ドイツ系の移民がケノーシャに流入し、この地の建設、建築、文化、文学の分野に貢献した。また、20世紀に入ると、ケノーシャでは自動車産業が興った。1900年、ケノーシャ市内のサリバン・ベッカーの工場でプロトタイプ蒸気自動車が製造された。その2年後、1902年には、トマス・B・ジェフリー・カンパニーが大量生産技術を用いてランブラーの製造を始めた。トマス・B・ジェフリー・カンパニーは1916年チャールズ・W・ナッシュに買収され、ナッシュ・モーターズとなった。同社は第二次世界大戦中には一時期自動車の生産を中止し、航空機のエンジンやプロペラを生産していたが、終戦後に自動車生産を復活させた。1954年にはナッシュ・モーターズがデトロイトハドソン・モーター・カー・カンパニーを買収し、アメリカン・モーターズ・コーポレーション(AMC)となった。1960年代には、AMCは17,000人を超える従業員を抱え、全盛期を迎えていた[7]

しかし、1970年代中盤に入るとAMCの業績に陰りが見え始めた。1979年にはAMCはルノーの傘下に入り、1987年にはルノーによりクライスラーに売却された。翌1988年、クライスラーはAMCから引き継いだケノーシャ工場の操業を停止し、ケノーシャにおける自動車産業は86年の歴史に幕を閉じた。ケノーシャ工場はその2年後、1990年に取り壊された[7]。その後、ミシガン湖岸のこの工場の跡地はコンドミニアムやヨットハーバーを有するハーバー・パークとして整備された。

1993年6月には、ダウンタウンの6thアベニュー、54thストリートと59thストリートの間にシェリダン・ルグランデ街灯が設置された。この街灯は、もともとは1928年ウェスティングハウス・エレクトリックがケノーシャ市のために特別にデザインしたものであった。また、2000年6月には、68年ぶりに路面電車が復活した[8]

2020年8月23日、警察官が丸腰の黒人男性を銃撃したジェイコブ・ブレークへの銃撃事件が発生。当日から抗議のデモが発生して夜間には放火も発生する一方、デモ参加者が銃撃を受けて死傷者が出るなど市内が大混乱となった[9]。同年9月には、2020年アメリカ大統領選挙を戦うドナルド・トランプ(現職大統領、共和党候補)とジョー・バイデン(民主党候補)が相次いで市内を訪問した[10]
地理ウィスコンシン州におけるケノーシャの位置

ケノーシャは.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯42度34分56秒 西経87度50分44秒 / 北緯42.58222度 西経87.84556度 / 42.58222; -87.84556に位置している。市の中心部はシカゴからは北へ約85km、ミルウォーキーからは南へ約55km、イリノイウィスコンシン州境からは北へ約12kmに位置する。市はミシガン湖に面している。市の標高は184mである。

アメリカ合衆国国勢調査局によると、ケノーシャ市は総面積62.1km2(24.0mi2)である。そのうち61.7km2(23.8mi2)が陸地で0.4km2(0.2mi2)が水域である。総面積の0.63%が水域となっている。ケノーシャを中心とするケノーシャ郡は、ウィスコンシン州の郡としては唯一、シカゴ都市圏に含まれている。シカゴ都市圏はイリノイ・インディアナ・ウィスコンシン3州の14郡にまたがり、総面積は24,815km2(9,581mi2)、人口は900万人を超える。

ケノーシャの気候は五大湖岸によく見られる、寒さの厳しい冬と涼しい夏に特徴付けられる大陸性の気候である。最も暖かい7月の月平均気温は21℃、最高気温の平均は26℃で、日中でも30℃を超えることは少ない。最も寒い1月の平均気温は氷点下7℃で、日中でも0℃に達さない日が続き、夜は氷点下15℃以下に下がることも珍しくない。降水は夏季、7月から9月までにかけて多く、月間100mm前後に達する。冬季は概ね乾燥しているが、12月から3月までは月間15-30cm程度の降雪が見られる。年間降水量は840mm程度である[11]ケッペンの気候区分では、ケノーシャは亜寒帯湿潤気候(Dfb)に属する。

ケノーシャの気候[11]1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月


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