ケタガラン族(凱達格蘭族)はかつて台湾北部に居住する平埔族(漢人などと同化が進んだ台湾原住民)の一つ。現在の新北市・台北市・基隆市・桃園市一帯に広がる台北盆地に居住し、前史時代には国家的なものも形成されていたようである。
ケタガラン族にはルイラン族(雷朗族)・バサイ族(巴賽族)・トルビアワン族(??美遠族)という三つの支族があり、それぞれ現在の桃園付近・基隆付近・宜蘭付近に居住していた。商いや航海に長じ、早くから漢人や南蛮人・日本人と交易を行い栄えていたが、鄭氏政権の頃から漢人との同化が進み、日本統治時代初期には既にケタガラン独自の文化というものはほとんど消滅してしまった。
ケタガラン族は文字を持たなかったため、文化と共にその言葉もほとんどが失われてしまった。しかし台北北部にはケタガランの言葉に由来する地名が多く残っている。「??」(萬華地区の古称)や北投などの地名はケタガランやその支族であるバサイ族の言葉に漢字を宛てたものである。
台北県貢寮区に原子力発電所が建築された際、ケタガラン族の集落の遺跡が発見された。しかし十分な調査を行わずに建築を強行し、遺跡を破壊したため、ケタガラン族の末裔や非核団体などから強い批判を浴びた。
なお陳水扁政権は台湾正名運動の一環として総統府に面した道を「介寿路」から「凱達格蘭大道」に変更したが、これはケタガラン族に由来するものである。
タイヤル語群
タイヤル族(泰雅族) - タロコ族(太魯閣族) - セデック族(賽コ克族)
パイワン語群
アミ族(阿美族) - パイワン族(排灣族) - ブヌン族(布農族) - プユマ族(卑南族) - サイシャット族(賽夏族) - サオ族(邵族) - クバラン族(?瑪蘭族) - サキザヤ族(撒奇?雅族)
ツォウ語群
ツォウ族(鄒族) - カナカナブ族(?那?那富族) - サアロア族(拉阿魯哇族)
ルカイ語群
ルカイ族(魯凱族)
バタニック語群
タオ族(達悟族)
公認されていない原住民族
パイワン語群
バブザ族(巴布薩族) - ホアンヤ族(和安雅族) - ケタガラン族(凱達格蘭族) - ルイラン族(雷朗族) - クーロン族(亀崙族) - バサイ族(巴賽族) - パポラ族(巴布拉族) - パゼッヘ族(巴宰族) - カハブ族(?哈巫族) - カウカット族(猴猴族) - タオカス族(道?斯族) - シラヤ族(西拉雅族) - タイボアン族(大満族) - マカット族(馬?道族)