この項目では、北欧神話の武器について説明しています。PSPゲームについては「グングニル -魔槍の軍神と英雄戦争-」を、BUMP OF CHICKENの楽曲については「THE LIVING DEAD」をご覧ください。
槍を携えて巫女の元を訪れるオーディン。(ローランス・フレーリク、1895年)アース神族とヴァン神族との戦いの始まりに槍を投げるオーディン。(フレーリク、1895年)
グングニル[1](古ノルド語: Gungnir、「揺れ動くもの」の意[2])は、北欧神話の主神オーディンが持つ槍。日本語ではグングニール[3]とも表記される[注釈 1]。 グングニルはロキがトールの妻シヴの髪を刈ってしまったため、代わりの髪を作らせた際に、その髪と船スキーズブラズニルと同時にドヴェルグ(小人)の鍛冶、イーヴァルディの息子達によって作り出された[6]。そのときロキは、ブロックルとシンドリというドヴェルグの兄弟が、これらと同じように見事な宝物を三つ作れるかどうかに自分の頭を賭けた。シンドリ兄弟が別の三つの宝物を製作した後、全ての宝物はオーディン、トール、フレイに品定めされ、グングニルはロキからオーディンへ渡された[7][8]。『散文のエッダ』「詩語法」では、グングニルの性質について「その槍は正しい場所にとまったままでいない(geirrinn nam aldri stadar i lagi)」と説明されている[7][9]。この文の意味については、「決して的を外さない」[10][11]と「敵を貫いた後に自動的に手元に戻る」[12]との二通りの解釈がある。また、この槍を向けた軍勢には必ず勝利をもたらす[13]。 グングニルの穂先はしばしばルーン文字が記される場所の1つとされている[14]。 リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』では、ヴォータン(オーディン)の槍の柄は世界樹のトネリコの枝から作られたという設定になっている[15]。このため、日本語の文献には北欧神話におけるグングニルの柄もトネリコから作られたとする記述も見られる[16][17]。またある再話では、オーディンがミーミルの泉の水を飲んで知識を得た記念として、泉の上にまで伸びていたユグドラシルの枝を折ってグングニルを作ったともされている[4]。しかし、『エッダ』にはグングニルの柄がトネリコから作られたという記述はない。
神話での描写
名称不明のオーディンの槍(英語版
『巫女の予言』では、ヴァン神族との争いで、オーディンが槍を投げつける場面がある。