グロービッシュ
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「グロービッシュ」のその他の用法については「グロービッシュ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

グロービッシュ(英語: Globish)とは英語の一種。フランス人ジャン=ポール・ネリエールが国際共通語として提唱した。
概要

非ネイティブ同士が「ビジネスの場面」等
[1]で用いるためのコミュニケーションのツールとして制定[2]

英語と同じ文法を、時制、態、叙法の種類を制限して使う。[3]

基本単語1,500語とその派生語(計5,000語程度)のみを用いる。[4]

取引上必要なテクニカル・タームなどは、話者双方の合意により随意に追加する[5]

1文はなるべく15単語以内。増えても26語以内で。[4]

発音は、アクセントの位置に注意する。[4]

グロービッシュ10の基本ルール[6]
話を理解してもらおうとするのは話し手・書き手の責任であり、聞き手・読み手の責任ではない

グロービッシュの基本単語1500語を使う

主に能動態を使う

文章を短くする(15語以内に)

発言の内容を繰り返して確認する

比喩や飾った表現・慣用句を避ける

「はい」を促す非定型の質問文を避ける

ユーモアの比喩表現を避ける

頭文字を避ける

身ぶりや視覚的な要素で補う

慣用句、比喩と句動詞の扱い
慣用句とイディオム

慣用句(イディオム,Idioms)と比喩(Analogies)、「肯定する返事を求める否定の質問」、ユーモアは、避けるべきものとされる[7]
句動詞

句動詞(Phrasal Verbs)については、次のように説明される。

 1500のグロービッシュの単語は、別の意味でも有益である。これらの単語は少し別の意味をもった、さらに多くの単語をつくる基礎となるのだ。4つの方法で行う。
単語同士をつなげる

単語の前や後に何文字かを加える

別の品詞にして使う

前置詞を使って、句動詞にする。

(中略) 句動詞は、よく使うので、グロービッシュでは避けて通れない。take out(取り出す、持ち帰る)、put on(置く、着る)、get up(起きる)といった具合に、日常的に頻繁に使う。英語のネイティブすら、句動詞は動詞句のひとつであることをわすれている。ネイティブたちの間では、新しい句動詞が瞬時につくられる。誰かが「我々の会話をGlobish upしよう」というかもしれない。その意味は、おそらく、すべてグロービッシュ単語で話そう、ということだろう。(中略)多くの場合、句動詞は、英語のネイティブにとってもグロービッシュを使う人にとっても、一般的ではない英語の動詞を使わないで済むので、よい方法である[8]
提唱と展開

仕事で極東を訪れたネリエールが、グロービッシュの形式を整える必要性を感じてのことである。ネリエールは1989年に「グロービッシュ」という語を使い始めた。

ネリエールの提唱するグロービッシュは標準的な英文法であり、語彙には使用頻度の最も高い英単語1500語が使用される[9]。ネリエールによると、グロービッシュそれ自体は「言語では無」く、「道具」であり、英語を母国語としない者が国際ビジネスに適応する為に生み出した共通語といえるだろう[10]。国際ビジネスからとりのこされない為には、英語話者はグロービッシュに適応していかなければならない、とネリエールは指摘している。ネリエールは Don't Speak English, Parlez Globish (2004, Eyrolles, Paris) を始めとした数多くの著書で、英語が形を変えて世界中で使用される現象について触れ、体系化している。 全てグロービッシュで書かれた最初の本である Globish The World Over (2009, IGI, Paris) は、ネリエールとデービット・ホンの共著であり、日本語(『世界のグロービッシュ』石橋明子/ヤン・アシコイ訳)を含む数か国語に翻訳されている。2004年、グロービッシュを言語として体系化するための編纂作業をネリエールが始め、プレスから注目を浴びるようになった。

「グロービッシュ」という語は、ネリエールが提唱して以来、数多く引用され一般的な言葉として急速に認識されていった。英語が共通語でない国で英語が独自の変化をとげる現象も、English Next (2006, The British) の中で研究され、学究的な関心をあつめた。甥をnephewという難しい単語を使わずに、the son of my brother(私の兄弟の息子)と言い換えが起こるような例が、グロービッシュの中にいくつか散見される。
出版物

David Hon, Jean-Paul Nerriere."Globish The World Over",International Globish Institute (2009/7/25).

David Hon,"Teaching Globish with GNG and Skype",2011.5.3.

David Hon,"Not Quite Shakespeare",Createspace Independent Pub,2010.1.15.
ISBN 978-1450536714

日本での展開

ネリエールが2004年に刊行した「Globish The World Over」は中国、ロシア、オランダ、スペインなどで翻訳され[11]、日本では2010年ごろから雑誌記事などで紹介されはじめた[11]

2010年に発足した「財団法人グローバル人材開発」は2011年に「Globish The World Over」の和訳を出版、この年から翌年にかけて「グロービッシュ」を書名に冠した英語教材が10種類ちかく出版された。

しかし「グローバル人材開発」は、「Globish The World Over」の和訳の冒頭で「日本人のための教材を開発中である」[11]と述べておきながら、入門書1点(『非ネイティブ英語 グロービッシュ入門』)を刊行したにとどまり、続けて中級・上級の教材を出すことはなかった。この法人は改組して「グローバルビジネス・コミュニケーション協会」[注釈” 1]となるが、現在は「世界諸英語(World Englishes)」、「グローバル諸英語(Global Englishes)」の普及を掲げる団体となっている。

2011年11月、日本グロービッシュ研究所(会長:橋本大二郎[1])が「日本で唯一、グロービッシュ講師の養成を行う教育機関」として東京都杉並区にオープンし、2013年秋ごろまで活動したが、その後は活動を停止した[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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