グロムス門
[Wikipedia|▼Menu]

グロムス門
1. ホースグラムマメ科)のの中のグロムス類(青く染色): 樹枝状体(左)と嚢状体(右)
分類

ドメイン:真核生物 Eukaryota
:菌界 Fungi
:グロムス門 Glomeromycota
または
ケカビ門 Mucoromycota
亜門:グロムス亜門 Glomeromycotina

学名
Glomeromycota C. Walker & A. Schusler (2001)[1][2]

Glomeromycotina Spatafora & Stajich (2016)[1]
タイプ属
Glomus Tul. & C. Tul. (1844)[3][注 1]
和名
グロムス門[5][6]、グロムス菌門[4][7]、グロメロ菌門[8]
下位分類


パラグロムス綱[注 2]

アルカエオスポラ綱[注 2]

グロムス綱

グロムス門(グロムスもん、グロムス菌門、学名: Glomeromycota)は、菌界に属するの1つである。グロムス類は隔壁を欠く無隔菌糸をもち、特徴的な大きな厚壁胞子による無性生殖を行うが、有性生殖は知られていない。ほとんどの種は陸上植物に共生してアーバスキュラー菌根を形成する(図1)。維管束植物のおよそ80%の種はアーバスキュラー菌根をもち、グロムス類は植物細胞内で細かく分枝した樹枝状体を形成し(図1)、水や無機栄養分(特にリン)を植物に供給し、脂質を受け取る。例外的に、ゲオシフォン (Geosiphon pyriformis) では菌根形成が知られておらず、細胞内にシアノバクテリア(藍藻)のネンジュモ属を細胞内共生させ、その光合成から栄養を得ている。いずれにせよ既知のグロムス類は、すべて生きた生物から栄養を得なければ生きられない絶対共生性生物である。

50属340種ほどが知られる。伝統的に、グロムス類はアツギケカビ類と混同され、接合菌綱に分類されていたが、分子系統学的研究に基づいて2001年に独立の門とすることが提唱された。ただし、その後の研究からはグロムス類がケカビ門に含まれることが示唆されており、ケカビ門グロムス亜門に分類することも提唱されている。
特徴

グロムス類は菌糸体を形成し、菌糸は隔壁をほとんど欠く無隔菌糸を形成する[7][9]胞子形成時や菌糸が損傷した際に、二次的に隔壁が形成される[9][10](図2)。菌糸の直径はふつう2?10マイクロメートル (μm) ほどであるが、20 μm に達するものもある[9]。菌糸はトリパンブルー、クロラゾールブラック、酸性フクシンなどによって染色される[10](図1, 2b)。菌糸はときに分枝し、また菌糸どうしが吻合することがある[11]。ふつう遺伝的に同一の菌糸が吻合するが、遺伝的に異なる菌糸が吻合することもある[10]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}2a. アーバスキュラー菌根の横断面模式図: 付着器 (菌足 appressorium)、樹枝状体 (arbuscule)、厚壁胞子 (chlamydospore)、多核菌糸 (coenocytic hypha)、菌糸コイル (hyphal coil)、嚢状体 (vesicle)、緑色は植物細胞を示す。2b. アーバスキュラー菌根菌(青く染色されている)の形成した樹枝状体(左上)と嚢状体(右下)

ほとんどの種において、菌糸は根など植物体内に侵入し、アーバスキュラー菌根を形成する[7][12][9][10][5]。菌糸の一部が植物細胞内(細胞壁細胞膜の間)に侵入し、細かく分枝した樹枝状体(樹状体[13]、アーバスキュル、アーバスキュール; arbuscule)を形成する[5][7][9][10][14][15][16][17](図1, 2)。樹枝状体では、植物細胞とグロムス類の間で栄養交換が行われる(下記参照)。また、菌糸は植物細胞間または細胞内で丸く膨潤して嚢状体(ベシクル; vesicle)を形成する[7][5][14][16][17][13](図1, 2)。嚢状体は成長後期に形成され、栄養貯蔵構造として機能していると考えられている[10]。ギガスポラ目のものは嚢状体を形成せず、また土壌に伸びた菌糸上に補助細胞 (auxiliary cell) とよばれる特徴的な形をした薄壁の細胞(機能は不明)の塊が形成される[4][10](図3)。3a. Gigaspora(ギガスポラ科)の補助細胞3b. Scutellospora(スクテロスポラ科)の補助細胞4a. ゲオシフォン(ゲオシフォン科)の菌体: a = 管状菌体、b = 菌糸4b. ゲオシフォンの微細構造: pcN, No = ネンジュモの細胞、he = ネンジュモの異質細胞、ms = シンビオソームの膜、pm = 細胞膜, pcG = 細胞壁、nu = 、mi = ミトコンドリア、in = 細胞内容物、va = 液胞


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:110 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef