グレイ
gray
記号Gy
系国際単位系 (SI)
種類一貫性のあるSI組立単位
量吸収線量・比エネルギー分与
グレイ (gray、単位記号:Gy) は、放射線によって人体をはじめとした物体に与えられたエネルギーを表す計量単位である。国際単位系における固有の名称と記号を持つ22個のSI組立単位の一つである。
吸収線量[1]またはカーマ[1]の計量単位として主に用いられる。
医療の現場における被治療者の被曝線量を表す臓器吸収線量の単位などに用いられる[2]。 かつては吸収線量の計量単位としてラド (単位記号 rad) が用いられていた。 1ラド = 0.01 グレイである[1]。 ラドは国際単位系では一貫性のない非SI単位であるので、現在ではほとんど用いられない。ただし計量法では、法定計量単位としてなおも認めている。米国のNISTのSP811は、ラド、キュリー(en:curie グレイは、1940年に同様の概念の単位を使用したルイス・ハロルド・グレイ(1905年 - 1965年)を記念して1975年に定められた。ルイス・ハロルド・グレイは、「1レントゲンの放射能によって単位体積の水中に生じるエネルギーに等しい量のエネルギーの増加を単位体積当たりの組織の中で生じる中性子放射線の総量」を単位とした。単位の関連については「放射線#単位」を参照 記号UnicodeJIS X 0213文字参照名称 Unicodeには、グレイを表す上記の文字が収録されている。これはCJK互換用文字であり、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであるので、使用は推奨されない[4][5]。
定義
吸収線量の単位電離放射線の照射により物質 1 kg につき 1 J の仕事に相当するエネルギーが与えられるときの吸収線量を1グレイと定義する[1]。
カーマの単位間接電離放射線の照射により直接放出される全荷電粒子の初期運動エネルギーの和が物質 1 kg につき 1 J の仕事に相当するときのカーマを1グレイと定義する[1]。J/kg = m2 s?2、すなわちT?2 M2の次元をもつ。
ラド
語源
符号位置
㏉U+33C9-㏉
㏉グレイ
脚注[脚注の使い方]^ a b c d e 1992年(平成4年)11月18日政令第357号「計量単位令」別表第1、項番58 吸収線量、項番60 カーマ
^ 医療の領域では、数mGyの診断に伴う被曝から、放射線治療に伴う数10Gyに及ぶ線量まで幅広い線量領域の被曝が取り扱われる。そのため、定義から等価線量、実効線量は用いることはできない(数Gyに比例する高い線量域において等価線量は適用できない)。この幅広い線量領域で共通して使える線量は、線量概念の基本量としての吸収線量である。草間(2005) p.22
^ NIST SP811
^ “ ⇒CJK Compatibility” (2015年). 2016年2月21日閲覧。
^ “ ⇒The Unicode Standard, Version 8.0.0”. Mountain View, CA: The Unicode Consortium (2015年). 2016年2月21日閲覧。
参考文献
草間 朋子『あなたと患者のための放射線防護 Q&A』(改訂新版)医療科学社、2005年。https://books.google.co.jp/books?id=hqmojLoKQ_QC&printsec=frontcover&source=gbs_ge_summary_r&cad=0#v=onepage&q&f=false
関連項目
シーベルト
計量単位一覧
放射能に関する単位と量[編集]量単位記号定義導入年SI単位
放射能 (A)キュリーCi3.7×1010 s?11953年3.7×1010 Bq
ベクレルBqs?11974年SI単位
ラザフォードRd106 s?11946年MBq
照射線量 (X)レントゲンResu / 0.001293 g(空気)1928年2.58×10?4 C/kg
フルエンス (Φ)毎平方メートルm?2m?21962年SI単位
吸収線量 (D)エルグergerg?g?11950年10?4 Gy
ラドrad100 erg·g?11953年10?2 Gy
グレイGyJ·kg?11974年SI単位
等価線量 (H)レムrem100 erg·g?11971年10?2 Sv
シーベルトSvJ·kg?1 × WR1977年SI単位
表
話
編
歴
SI単位
基本単位
秒
メートル
キログラム
アンペア
ケルビン
モル
カンデラ
組立単位
ラジアン
ステラジアン
ヘルツ
ニュートン
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ファラド
オーム
ジーメンス
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テスラ
ヘンリー
セルシウス度
ルーメン
ルクス
ベクレル