グリーン・ベレー_(映画)
[Wikipedia|▼Menu]

グリーンベレー
The Green Berets
監督
ジョン・ウェイン
レイ・ケロッグ
マーヴィン・ルロイ(クレジット無し)
脚本ジェームズ・リー・バレット
原作ロビン・ムーア
製作マイケル・ウェイン
製作総指揮ジョン・ウェイン(クレジット無し)
出演者ジョン・ウェイン
デヴィッド・ジャンセン
ジム・ハットン
アルド・レイ
ジョージ・タケイ
ルーク・アスキュー
マイク・ヘンリー
音楽ロージャ・ミクローシュ
撮影ウィントン・ホック
編集オソー・ラヴァリング
配給 ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ
公開 1968年7月4日
上映時間141分
製作国 アメリカ合衆国
言語英語
ベトナム語
製作費$7,000,000
興行収入$11,000,000
テンプレートを表示

『グリーン・ベレー』(原題:The Green Berets)は、1968年アメリカで公開された戦争映画アメリカ陸軍特殊部隊、通称グリーンベレーを題材とした映画。1965年に出版されたロビン・ムーアの同名小説を原作とするが、内容は大きく異なる。多くの戦争映画と異なり、今日に至るまで評価が二分されている映画である。
概要

本作の主題は、反共主義南ベトナムにおけるアメリカ軍の肯定的プロパガンダである。本作が制作された1968年ベトナム戦争に対するアメリカの介入が頂点に達し、後にベトナム戦争最大の戦いとも言われたテト攻勢のあった年である。ジョン・ウェインはアメリカ国内で盛り上がる反戦・厭戦の雰囲気と社会的不満に反対する形で、この映画の製作に踏み切った。ウェインは常にベトナム戦争に対するアメリカの介入を支持する立場にあり、この「グリーン・ベレー」をベトナムで戦う兵士達に対する敬意として示そうとした。彼は製作にあたり、アメリカ陸軍の完全な協力を当時の大統領リンドン・ジョンソンに要請し、それを得る事に成功している。また、撮影に当りウェインは映画の共同制作者となった為、主人公ライズマン少佐役としてオファーされていた特攻大作戦への出演を断った。

しかし原作小説の映画化権利を購入していたコロンビア ピクチャーズの脚本家デイビット・L・ウォルパーは、軍当局の了承を得られる脚本を作れなかった[1]。次に脚本を手がけたのはジェームズ・リー・バレットだったが、このときにも陸軍はいくつかの修正を求めた。第一に、南ベトナム軍が防衛している駐屯地での戦闘シーン、第二に北ベトナムで将軍を誘拐する作戦の描写について、何点かの要求を行ったとされる。[2]

作中、悪役である北ベトナム軍ベトコンはサディスティックな暴君であり、しかしまた有能かつ自発的な敵として描かれている。また本作では、ベトナム戦争がこれまでアメリカが経験した対外戦争と異なり、決まった前線を持たず、敵がどこからでも現われる密林戦の特性を表現している他、敵に関する情報を提供する洗練されたベトコンと北ベトナム軍のスパイ活動についても描写されている。肉弾08作戦(英語版)のように、南ベトナム軍について前向きな見解をする珍しい映画の一つである。
あらすじ

新聞記者ジョージ・バックワースは、ガブリエル演習場(初めてベトナムで戦死した特殊部隊隊員ジミー・ガブリエル軍曹に由来する)にて特殊部隊グリーンベレーのベトナム戦争介入に関するブリーフィングに見学者として参加していた。

アメリカが何故アジアでの戦争に加担するのか、軍事介入に懐疑的な一般人やジャーナリストに語られた理由とは即ち、国際的な共産主義こそがアメリカがベトナムで対峙している敵だということだった。その証明として、グリーンベレーはベトナムで鹵獲したソビエト連邦チェコスロバキア中国など共産国製の武器や機材を示す。

しかし、バックワースは依然としてベトナム戦争の大義に懐疑的なままだった。そこでグリーンベレーのマイク・カービー大佐は、バックワースにベトナムに従軍して真実をその目で見ることを提案する。
キャスト

役名俳優日本語吹替
TBSフジテレビ
マイク・カービー大佐ジョン・ウェイン小林昭二
ジョージ・バックワース記者デヴィッド・ジャンセン森川公也睦五朗
ピーターソン軍曹ジム・ハットン横光勝彦富山敬
マルドゥーン曹長アルド・レイ宮川洋一
"ドック"マギー軍曹レイモンド・セント・ジャック内海賢二
モーガン大佐ブルース・キャボット木村幌
カイ大佐ジャック・スー青野武
ニム大尉ジョージ・タケイ
ジャミソン中尉パトリック・ウェイン
プロボ軍曹ルーク・アスキュー
リンアイリーン・ツー上田みゆき
マクダニエル大尉エドワード・フォークナー
コールマン大尉ジェイソン・エヴァース
コワルスキー軍曹マイク・ヘンリー
ハムチャンククレイグ・ジュー池田真
司令官ジェームズ・シー千葉順二


TBS版:初回放送日1974年3月25日『月曜ロードショー

フジテレビ版:初回放送日1980年3月7日『ゴールデン洋画劇場

その他:納谷六朗市川治城山知馨夫若本紀昭加藤修伊武雅之安田隆幹本雄之日高晤郎石丸博也広瀬正志竹口安芸子小滝進飯塚昭三

制作:東北新社


評価

本作はベトナム戦争に対して肯定的な見方をした点で特に批判されている。

封切りと同時に、シカゴ新聞の映画評論家・ロジャー・イーバートはこの映画を「星0つ」として、「使い古された決まり文句により、『カウボーイとインディアン』の戦いを描いた『高圧的で時代遅れの映画』である」と評した。[3]オリバー・ストーンの反戦映画『プラトーン』はその一部に本作への批判を込めているという[4]

ベトナム戦争に関わる政治的な批判の他、映像面における撮影ミスも指摘された。以下の二点がしばしば指摘される。

ラストシーンでは夕日が海に沈んでゆくが、ベトナムはインドシナ半島東部に位置する為、ベトナム国内の海岸でこのような光景が見られる場所は存在しない。

劇中、カービー大佐がM16小銃を樹木に叩き付けてへし折るシーンがあるが、この小銃が明らかにマテル社の玩具であった。

前者は実際の撮影がフォート・ベニング駐屯地(第75レンジャー連隊本部)のあるジョージア州で行われた為であり、後者はカービー大佐の力強さを示す必要からこのシーンに限り敢えて壊れやすい玩具を使ったものである。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:20 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef