「グリーン車」とは異なります。
グリーンシートは、非上場企業の株式(店頭取扱有価証券)などを売買できるように、日本証券業協会が1997年7月から2018年3月まで設けていた制度。また、この制度に登録されている銘柄のことをいうときもあるが、これはグリーンシート銘柄の略である。
グリーンシートという呼称はアメリカ合衆国のピンクシート (Pink Sheets)
を範としつつ、若い樹木が若葉を次々と芽吹きながら大きく成長していくように、ベンチャー企業が若々しくいきいきと活動・成長していくようにとの願いが込められている。2004年6月2日に「証券取引法等の一部を改正する法律」が可決され、同年6月9日より、証券取引法の規制を受けることになった。日本国内において、2015年から金融商品取引法等の改正を受け、クラウドファンディングでの未上場株式発行による資金調達が合法化されたことから、日本証券業協会により未上場株式の交換の場として「株式投資型クラウドファンディング」が創設されたことを受け[1]、グリーンシート制度は経過措置期間を経て、2018年3月31日に廃止されたため、同日をもってグリーンシート銘柄の取引は終了した[2][3]。経過措置期間は新たな銘柄や取扱会員の指定は行なわれなかった[4]。 「店頭取扱有価証券」の要件を満たしているもののうち、証券会社が一定の審査を行い、日本証券業協会に対して届出を行った上で、その証券会社が継続的に売り気配・買い気配を提示している銘柄がグリーンシート銘柄に指定される。従って、指定銘柄には必ず取扱会員となる証券会社が指定されている。取扱会員がゼロになればグリーンシート銘柄の指定が取り消される。取引所上場企業と同様の手順で、証券コードも付与される。 売買は銘柄ごとに指定された取扱会員または準取扱会員を通してでないと行うことができない。グリーンシート銘柄を取り扱っている証券会社であっても、その銘柄を取り扱っていなければ売買できない。四半期ごとの決算開示や適時開示など、TDnetを利用し上場会社並みの情報開示が求められる。このため、監査法人による監査が求められる。監査で適法意見がもらえず、決算が確定しない場合にはグリーンシート銘柄の指定が取り消される場合もある。市場への上場や営業活動の停止の他に、プライベートカンパニーを選択して指定取り消しとなる場合もあった。→後述 売買実績は上場証券よりかなり少なく、1週間続けて注文を出しても売買できないケースも少なくない。短期売買は極めて困難であり、換金リスクもある。このようなリスクがあることから、取扱証券会社は、取引を初めて行う顧客に対してリスク等を平易に記載した契約締結交付書面を交付し、「グリーンシート銘柄等の取引に関する確認書」を徴求し、取引の都度、グリーンシート銘柄であることを明示することが必要であった。 JASDAQや東証・マザーズなどの上場(IPO)へのステップとして宣伝されているが、実際に上場を達成できたのは13社(1年に約1?2社程度)→後述。実際には営業活動停止による指定取り消しや、プライベートカンパニーを選択して指定が取り消されるケースの方が圧倒的に多い。従って上場証券に比べて、さらにリスクが高いことを理解の上、取引に参加することが求められる。IPOバブル最盛期には「新規公開の青田買いができる」と注目されたが、新興市場の株価低迷のあおりを受け一時ほどの人気がない。グリーンシートの売買高は年々低迷していき、各証券会社とも収益の上がらないグリーンシート銘柄の取り扱いに消極的になっていた。しかしながら過去には、著名なスターを数多く輩出した沖縄アクターズスクール(キャタリスト証券)などの登録で、市場としての注目を浴びる場面もあった。 日本証券業協会が設けた制度であり、2005年頃から社会問題となった「未公開株の勧誘」とは全く異なる。 登録銘柄はエマージング、オーディナリー、投信・SPCの3つの区分に分けられている。以前はリージョナル、フェニックスいう区分もあった。 リージョナル区分は、地域密着型企業向けの区分であり、グリーンシート制度発足以前から売買されていた非上場の店頭取扱有価証券銘柄をグリーンシートの制度に組み込んだものであった。2005年4月1日をもって廃止され、代わりにオーディナリー区分が設けられた。廃止時に指定されていたのは17銘柄で北陸地方(富山県)に本社のある銘柄が多かった。 リージョナル区分廃止時に指定されていた銘柄 フェニックス区分は、時価総額や株主数の不足などで上場廃止になった銘柄で売買の場が必要だと認められた銘柄が指定される区分であった。粉飾などでの上場廃止では指定されない。かつての店頭管理銘柄に相当する。2006年3月15日、フェニックス区分の取扱いの移行基準の見直しが行なわれ、旧フェニックス銘柄であった銘柄は現在オーディナリー区分に指定されていた。 ※銘柄名(証券コード)前市場、上場廃止事由 成長性が認められた銘柄であり、多くがこの銘柄である。 気配提示開始日企業名コード業種主幹事証券
概要
リージョナル区分
金沢名鉄丸越百貨店
北日本放送
廣貫堂
センコー産業
太平
立山開発鉄道
戸出物産
富山第一銀行
富山地方鉄道
奈良交通
日本海ガス
福井鉄道
福邦銀行
ホクコン
北陸鉄道
YKK
パレスホテル
フェニックス区分
信貴造船所(7052)JQ、時価総額基準不足
太平化学製品(4223)東証2部、資本金不足
太陽毛絲紡績(3211)JQ、時価総額基準不足
チッソ(4006)東証1部、債務超過
プラス・テク(4219)東証2部、時価総額基準不足
三国商事(8062)東証2部、債務超過3期連続・資本金不足
深川製磁(5335)福証、時価総額基準不足
オリエント時計(7764)東証2部、債務超過3期連続
制度の歴史
1996年7月 - 通産省ベンチャー資金調達環境整備研究会より、未登録・未上場株式の流通性の向上が提言される。
1997年7月1日 - 気配公表銘柄制度の創設。規則化しグリーンシートが開設された。
1999年12月27日 - グリーンシート専用Webサイトが開設された。
2000年7月19日 - 毎日気配を公表する銘柄の創設し、エマージング、フェニックス、リージョナルの3区分を導入する。
2006年3月15日 - フェニックス区分の取扱い、エマージング区分からオーディナリー区分への移行基準の見直しが行なわれる。
2015年2月27日 - 日本証券業協会より「非上場株式の取引制度等に関するワーキング・グループ」報告書が公表され、新規指定を行わない経過措置期間となる。
2018年3月31日 - 制度廃止。
指定銘柄
エマージング区分
1998年3月30日パルク4809サービス業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
1998年6月19日ビーエルジェー4810情報・通信業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
1998年8月3日パフ
1999年9月ララ1732建設業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
1999年11月15日旅籠屋4807サービス業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2000年1月12日ア・ラトレ8885不動産業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2000年2月14日電子システム1733建設業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2000年3月7日クセロ4805情報・通信業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2000年4月28日ユニメディカル4562医薬品業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2000年6月アスコット・コム4804情報・通信業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2000年8月21日K-GOLDインターナショナル
(旧商号 カワシマ・ゴールド)2679小売業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2000年10月19日風船工房匠7852その他製造業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2001年5月23日大泰2699小売業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2001年6月21日レッド写真サービス4285サービス業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2001年6月21日アイシービーアイワイジャパン2704小売業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2002年3月1日コンピュータ・イメージ研究所4554情報・通信業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2002年3月1日オフィスG&P4353情報・通信業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2002年5月28日ジャパン・トゥエンティワン2308サービス業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2002年7月1日アクシコ2312サービス業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2002年7月1日ファイネストコミュニケーション2313情報・通信業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
2002年7月1日シーキューブ2739卸売業ディー・ブレイン(現 日本クラウド)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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