グリフォン
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この項目では、伝説の生物について説明しています。その他の用法については「グリフォン (曖昧さ回避)」をご覧ください。

「グリフィン」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「グリフィン (曖昧さ回避)」をご覧ください。
グリフォン ヒッポグリフ

グリフォン(フランス語: griffon, gryphon)、グリフィン(英語: griffin)、グライフ(ドイツ語: Greif)、グリュプス(ラテン語: gryps, ギリシア語: γρ?ψ)は、(あるいは)の翼と上半身、ライオンの下半身をもつ伝説上の生物
概要

語源はギリシア語のグリュプス(γρυψ)で、「曲がった嘴」の意味。古くから多くの物語に登場しており(ヘーロドトスの『歴史』など)、伝説の生物としての歴史は古い。

イラン神話では、鷲獅子を意味する Shirdal という名で登場し、紀元前3千年紀初期頃のスーサ製シリンダーの封印にも見られる[1]。その後も、古代イラン芸術、古代ギリシャ芸術や、その後の中世の紋章など、多くの芸術でモチーフとされている。
形態

鷲の部分は金色で、ライオンの部分はキリストの人性を表した白であるともいう。コーカサス山中に住み、鋭い鈎爪で牛や馬をまとめて数頭掴んで飛べたという。紋章学では、グリフォンは黄金を発見し守るという言い伝えから、「知識」を象徴する図像として用いられ、また、鳥の王・獣の王が合体しているため、「王家」の象徴としてももてはやされた。

グリフォンと雌馬の間に生まれた、鷹の上半身にの下半身をもつ生物は、ヒッポグリフ(hippogriff)と呼ばれる。

多くの描写では足は鳥のような鉤爪であるが、古い絵ではライオンの前肢の物もある。紋章学では、これにラクダのような長い首と尻尾を持つものを Opinicus と呼ぶ。
役目

グリフォンには重要な役目が2つある。

1つは、ゼウスアポローン等の天上の神々の車を引くことであるが、ギリシア神話の女神ネメシスの車を引くグリフォンは、ほかのグリフォンと違い身体も翼も漆黒である。馬を目の敵にしており、馬を喰うと言われるが、これは同じ戦車を引く役目を持つ馬をライバル視しているためである[2]。そこから不可能なことを表すのに「グリフォンと馬を交配させるようなもの」という言葉が生まれたが、それをヒントに生み出されたのが前述のヒッポグリフである(このため、グリフォンが殺すのは牡馬だけであり、牝馬は殺さず犯して仔を産ませるとする伝承もある)[3]

2つ目は、黄金を守る、あるいは、ディオニューソスクラテール(酒)を守ることとされる[4]。自身が守る黄金を求める人間を引き裂くといわれている[5]。その地は北方のヒュペルボレイオイ人の国とアリマスポイ人の地の国にあるリーパイオス(Rhipaios)山脈とされるが、エチオピアインドの砂漠(現在ではパキスタン近辺か)などの異説もある。
紋章学

グリフォンは、様々な紋章や意匠に利用されている。

クリミア共和国国章

ポメラニアポーランド西ポモージェ県の紋章

ドイツグライフスヴァルトの市章

ポーランドのグリフ家の紋章

後世における展開

前述のようにヘーロドトスは『歴史』の中で翼のある怪物としてグリフォンに触れ、プリニウスは『博物誌』(10巻70)の中ですでに伝説の生物として語っている。14世紀には、架空の人物であるジョン・マンデヴィルによって書かれたとされる『旅行記』(東方旅行記、東方諸国旅行記)によって詳細な描写がなされた(第85章)。またヨーロッパ中世においては、動物物語集等では悪魔として表されたものの、多くはキリストの象徴とされ、神学者セビーリャのイシドールスも『語源』(Etymologiae)でその立場をとる。ダンテが「キリストの人性」をグリフォンの部位の色に表したと、ディドロン(Didron)によって解釈されるのは『神曲』「浄化篇」第29曲での、凱旋車を曳く場面である[6]

中世の伝承において、Stephen Friar's New Dictionary of Heraldryによれば、爪は医療効果を持ち、羽根も失明を治すと信じられていた[7]。中世ヨーロッパの宮廷では、グリフォンの爪(実際はレイヨウの角)やグリフォンの卵(実際はダチョウの卵)で作られたゴブレットが珍重された[8]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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