グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンしぼうさんエステル)は、グリセリンの持つ3つのヒドロキシ基のうち1つないし2つに脂肪酸がエステル結合したもので、代表的な食品用乳化剤である。
日本の食品衛生法ではモノグリセリド誘導体とポリグリセリン脂肪酸エステルもグリセリン脂肪酸エステルに属するものとして認可されており、本項で併せて述べる。 脂肪酸が1つ結合したものがモノアシルグリセロール、2つ結合したものはジアシルグリセロールであるが、あわせてモノアシルグリセロール(Monoacylglycerol 天然の油脂にグリセリン脂肪酸エステルが含まれていることは古くから知られていたが、1854年にフランスのマルセラン・ベルテロが脂肪酸とグリセリンからグリセリン脂肪酸エステルを合成することに成功。1930年頃からマーガリンにグリセリン脂肪酸エステルが添加されるようになった。日本で製造・消費されるようになったのは1950年代に入ってからである。グリセリン脂肪酸エステルは疎水性乳化剤であるためW/O(油中水)型乳化に適しており、マーガリンの水滴分離防止などに使用されるが、他の親水性乳化剤と配合することによりO/W(水中油)型乳化も安定する。グリセリン脂肪酸エステルは澱粉と複合体を作り、パンが硬くなるのを防ぐ効果がある。このため、油脂を含め製パン分野での使用が多くなっている。この他、低温での起泡性・高温での消泡性によりケーキ用起泡剤 モノグリセリド誘導体はモノグリセリド(モノグリセライド、Monoglyceride ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンをアルカリ触媒を用いて200?260度で加熱脱水し重合して得られたポリグリセリンのヒドロキシ基の1つ以上に脂肪酸がエステル化したもので、重合度や脂肪酸の数・種類により親水性のものや疎水性のものなど多様な種類が得られる。耐酸性・耐塩性に優れ、O/WおよびW/O型乳化、粉末の液体への分散、油脂の結晶調整、自動販売機で加温販売される缶コーヒーや缶スープなどの抗菌などに用いられる。
目次
1 アシルグリセロール
2 グリセリン脂肪酸エステル
3 モノグリセリド誘導体
4 ポリグリセリン脂肪酸エステル
5 参考文献
アシルグリセロール
グリセリン脂肪酸エステルCH2OCOR
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CHOH
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CH2OH
モノグリセリドの構造式
モノグリセリド誘導体CH2OCOR
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CHOH
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CH2OCOCH2
酢酸モノグリセリド(AMG)の構造式
AMG - モノグリセリドを無水酢酸でアセチル化、またはトリアシルグリセロールとトリアセチンのエステル交換により作られ、マーガリンの伸展性向上、冷菓のチョコレートコーティングの割れ軽減、被覆性による精肉・ソーセージ・冷凍魚の水分蒸発防止や鮮度保持、ホイップクリームやケーキの起泡性向上などに効果がある。
CMG - モノグリセリドとクエン酸を混合・加熱して作られ、酸化防止剤の助剤、クリーミングパウダーのO/W型乳化に用いられる。
SMG - モノグリセリドとコハク酸無水物を反応、またはコハク酸と加熱反応して作られ、パンの品質改良に用いられる。
TMG - 酒石酸のヒドロキシ基をアセチル化してジアセチル酒石酸無水物としたあとモノグリセリドと反応させて作られ、パンの品質改良やクリーミングパウダーのO/W型乳化に用いられる。
LMG - 乳酸はモノグリセリドだけでなくジグリセリドとも反応しやすく、各種の製造法がある。ケーキの品質改良・気泡安定の作用がある。
ポリグリセリン脂肪酸エステル
参考文献
『食品用乳化剤 -基礎と応用-』戸田義郎・門田則昭・加藤友治編 1997年 光琳
更新日時:2018年11月3日(土)08:13
取得日時:2018/11/26 06:52