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グラビアアイドルとは、日本で発祥した女性のモデル、タレント、アイドルの一種である。
女性タレントが、雑誌のグラビアページを主体とした各種メディアでセクシーな姿を魅せるアイドルとして活動し、グラドルとも略称される[1][2][3]。そのうち、グラビアアイドルの中で特に高く評価される者は、グラビアクイーンとも称される[4][5][6]。
英語では、ピンナップモデル (Pin-up model) やピンナップガール (Pin-up girl)、ビキニモデル (Bikini model)、センシュアルガール (Sensual girl) などと称される[7][8]。
グラビア (en:Gravure) の本来語義は凹版版画の技法であり、後述のグラビア誌面の印刷がかつてはそれによって行われていたことが、「グラビアアイドル」の由来となっている[8]。 グラビアアイドルの主な活動の場は、雑誌グラビアページやポスター、写真集などであり、特に青年誌・ヤング誌などといった男性向け雑誌では、グラビアアイドルの被写体によっても売れ行きが左右されるなど、非常に重要なファクターとなっている。そのような成立の経緯から、セクシャルな想像を掻き立てる表現ができること、すなわちセックスアピールに優れていることなどが絶対的な条件であり、大きな特徴である。 前述の通り、男性向け雑誌へのグラビアページ掲載を中心としており、「グラビアタレント」は女性が一般的であるが、多様化するニーズに応える形で、女性向けの男性グラビアモデルもわずかではあるが、登場し始めている[9]。 アスリートの武井壮は、海外ではあまり見られない文化で、日本独自に近い職種、存在であると論評している[10]。 印刷媒体と並行し、グラビアタレントの活動として重要なものにイメージビデオの制作がある。 ビデオ媒体は、2000年代前半に家庭用ビデオレコーダーの規格がVHSからDVD-Videoへ移行し、製造費が非常に安価になった。そのため、個人経営を含む中小製造会社が大量に参入し、毎月の発売本数の増加などがみられるようになり、供給過多状態に陥った。 着エロは、露出度の高さを売りにしてこうした状況から他社を出し抜いて躍進するために一部の製造会社が執った、経営戦略上の産物でもある。着エロの盛行により、ヌードグラビアや、アダルトビデオとグラビアとのハードルを下げることにつながる。着エログラビアに出演していたモデルがAV女優やヌードモデルに転向する例も多く、2000年代以降のグラビアタレント全体の閉塞感を生みだす一因ともなっていく。 2020年以降は雑誌の売り上げ低下を補うべく、各出版社から毎月大量のデジタル写真集が発売されていった。これには資源再利用の側面もあり、この裏側をさらに撮影したグラビアオフショット動画の需要も2022年時点で「週プレChannel」のチャンネル登録者数は約100万人、「講談社ヤンマガch」は約73万人、「ヤンジャンTV」は約40万人と増えている[11]。一方、一時代を築いたDVDでのイメージビデオ販売は斜陽となっており、売り上げを補填するため過激化路線へと移行している[11] 現在のグラビアページの傾向としては、以下のパターンに大別できる。 グラビアタレントは、主に男性誌グラビアを中心に起用される。そのうち、水着は最も多いグラビア制作の手段であり、メインアイテムとして扱われている。元来、雑誌グラビアとは男性が見て楽しむことを目的にしたものであり、性に対しての規制が厳しい日本では、セミヌードに代わるグラビア素材としてビキニなどの女性の体を隠す範囲の狭い水着を使うことを早くから行なってきた。 1970年代から、女性アイドルが歌手活動と連動して水着グラビアに出演するプロモートが、積極的に行われていた。グラビアモデルも局所を隠した状態ならば、比較的自由に動けることもあり、それまでのセミヌード中心のアンダーな世界観を、一気に開放的で明るいものへと変貌させた。 撮影も、初期の頃は浜辺やプールサイドなど、水着に合った環境でのロケーションが多かったが、次第に水着にはまったく関係性の無い場所、それこそ街中や店先、アミューズメント施設内においても、水着グラビアを披露している場面が見受けられるようになっている。 その昔は露出度の高い水着を人前で着ることや、肌を晒す行為自体に抵抗感を覚えるタレントも数多くいた。 水着姿は、旧来より現在もグラビア制作で最も多用される手法だが、読者の反応は次第に鈍化して雑誌の売上部数も低下した。 グラビアは男性誌の売上を左右する重要なコンテンツであることから、グラビアタレントの刷新だけでなく、水着以外の様々な趣向を凝らしたグラビア作品が多数編み出されている。シンプルなもの、透けるもの、極小で隠される部位の面積が小さいもの、ビキニ様のカラフルな「見せ下着」などを用いる「下着・ランジェリー」姿のグラビアもあり、着崩して一層扇情的にしたグラビアも増えている。 「着エロ」と称する過激なグラビアは、水着グラビアとヌードグラビアの間にあり、Tバック水着あるいは水着を着けず手など体の一部や小物などで女性の局所を隠し、大股開きなど挑発的なポーズで強く刺激する写真を用いる。 写真フィルムによる製版からデジタル処理された製版へ印刷技術が向上して画像修正が容易になり、タレントのほくろ、吹き出物、傷、虫刺され跡、肌色などを修正する場合も多く見られる。 露出度の高い制作物が猥褻物になる事例、未成年モデルが児童ポルノとして関係者が逮捕される事例、アダルトビデオやヌードグラビアなどの強要事例、などの事件も散見される。 グラビアの仕事として、ヌードやセミヌードを専門に披露するグラビアタレントも、男性向け雑誌の創刊とともに、長らく存在する。後にモデル、歌手や女優、各種女性タレントなどが、こうしたヌードやセミヌードを披露することもある。90年代からはヌードモデルとグラビアアイドルをもじってヌードルの造語も誕生させた。 かつては太田八重子、フラワー・メグ、ハニー・レーヌ、小松みどり、麻田奈美、大島ゆう子、岩浪とも子、柳沢麻里など、1990年代からは水谷ケイ、秋乃桜子、三浦綺音、斉藤美保、渡辺由架、木内美穂、三浦敦子、仲谷かおり、田中玲那、生田依子、平沙織、寺嶋早紀、大原麻琴、遠藤賀子、前島かおり、河合美果、間宮沙希子、沢田奈緒美、麻丘実希、伊藤かな、綾瀬麻理、星野陽子、白石さおり、梶原亜紀、江口ナオ、のはら歩、河合あすか、小峰佳世、三浦ふみこ、上原綾、麻田かおり、白井夏、桜井美代子、池上麗子、桜井美代子、染谷まさ美、角松かのりなどがおり、以降は藤間瑠依、伊藤ミライ、坂ノ上朝美、YUE、祥子、兎丸愛美などの活動がみられる。 ロシア出身のアメリ、ポーランド出身のシルヴィア・パツラ 一方で、所属事務所の戦略により、将来的に本格派女優として売り出そうとしているタレントの清純なイメージを壊さぬように、あるいは当人が水着を含むセクシャルなイメージのグラビアを敬遠した場合は、極力肌の露出を抑えた浴衣姿やワンピースといった普段着に近い通常ファッションの写真を使用した情緒的作品も、アイドルに清純なイメージを求めているファンには好まれる傾向にある。 水着グラビアは“卒業”したものの、グラビア活動を継続するタレント、職業柄セクシーな露出を必要としないフリーアナウンサー・キャスターなどは、概して通常ファッションやセクシーなドレスなどを着用したグラビアを披露していく(後述)。 最も新しい表現手法に「コスプレ」と呼ばれるものでのものがあり、これはいわゆるおたくの「萌え」文化の影響を受けて生まれた表現方法である。 元は漫画やアニメといった2次元世界の衣装を実際に作成し、自ら着用することで、そのキャラクターになりきって仲間内同士で楽しむ行為(通常彼らは「コスプレイヤー」と呼ばれる)であった。当初はコミックマーケットなどの同人誌即売会で、一部の愛好者が着用し、流行り出したのが始まりである。 その後、インターネットの普及で、自身のブログなどで、コスプレをした姿を写真に写して公開する「ネットアイドル」が急増したが、そういったシチュエーションをそのまま雑誌グラビアに転用したのを「コスプレグラビア」と呼び、人気を博するグラビアタレントも後述のとおり出現している。これらは独特の世界観をグラビアに持ち込むことになった。 また、コスプレの一環として、学校制服や体操着(ブルマーを穿く場合も)、スクール水着などを着用して、学校生活を想起させる手法がある。こうした手法は前述の清純なイメージを求める手法とは明らかに表現方法が異なり、衣類を着用しただけでなく、身体の形を強調したり、さらに脱衣シーンやその後の見せ下着・水着姿を同時に披露したりと、エロティックさを狙ったものである。これは90年代に創刊してこうした誌面づくりを主にしていた「お菓子系」と呼ばれている雑誌が多用していた。かつて、得てしてこうしたグラビアのモデルとなっていたのは、20歳を過ぎたグラビアモデルなどもいたのであるが、実際に現役の小学生から高校生らがグラビアタレントとなって、披露している場合が多い。 一般的に、グラビアタレントのキャリアは短いとされてきた。1970年代から2000年代初頭にかけてのグラビアタレントは、早ければ10代、遅くても大学卒業相当(22 - 23歳)の年齢でグラビアを卒業することがほとんどだった。 しかし、2000年代以降はその限りでなく、従来には見られなかった30歳を過ぎてもグラビアから撤退せずに第一線で活躍し続けるタレントが増えてきた。その流れを作ったと言えるのがほしのあきで、彼女は10代でファッション雑誌の専属モデルとしてデビューし、2001年頃からグラビアの仕事を始める。そして、20代後半に差し掛かった2000年代後半になると、これまで少なかった「年長グラビアアイドル」の草分け的存在として話題になる。 現在、グラビアアイドルとして活動するタレントの年齢層は、上は30代以上から下は10代前半までと、幅広くなっていく。 上限については優木まおみなどのように大学を卒業してから、あるいは井上和香や壇蜜などのように社会人を経験した後に芸能界デビューする者も多く見受けられるようになったためである。 下限については、1990年代以降注目されるようになった、小学生から中学生の子役女優を指した「チャイドル」や「ジュニアアイドル」が、度々水着でグラビアを飾っており、小池里奈や紗綾など、その流れを汲んだタレントのグラビアは根強い人気を維持している。 しかし、中には10歳に満たない小学生がグラビアデビューを飾る例も出てきており、しばしば児童ポルノに該当するとの指摘がなされるなど、批判の対象になる事例も少なくない(ジュニアアイドル#DVD撮影・発売における逮捕も参照)。低年齢化の流れは2014年の児童ポルノ法改正を受け、アマゾン、DMMなどが自主規制により、被写体が成人の作品のみの取り扱いとなったため、批判は収まっていった。
グラビアアイドルの特徴
表現手法
水着
下着姿、着エロ
ヌードやセミヌード
通常ファッション
コスプレ(お菓子系)
年齢層の拡大
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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