クー・フーリン
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出典検索?: "クー・フーリン" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2011年6月)
クランの猛犬を倒す少年時代のクー・フーリン, Stephen Reid,1904

クー・フーリン(アイルランド語: Cu Chulainn)は、ケルト神話半神半人の英雄。クー・フラン、クー・フリン、ク・ホリン、クー・ハラン、クークリン、クー・クラン、キュクレインとも。

父は太陽神ルーもしくはスアルタム(英語版)[注釈 1][注釈 2]、母はコンホヴァル王の妹デヒティネ(Deichtine)。 幼名はセタンタ(Setanta)[注釈 3][注釈 4]

御者ロイグが駆る、愛馬マハの灰色(Liath macha)とサングレンの黒毛(Dub Sainglenn)の二頭立ての戦車に乗る[1]。髪は百本の宝石の糸で飾られ、胸には百個の金のブローチを付け、左右の目には7つの宝玉が輝く[2][3]美しい容貌だが、戦意が高まり興奮が頂点に達すると「ねじれの発作」を起こし、怪物のようになる。身体は皮膚の下で回転し、髪の毛は頭から逆立ち、1つの眼は頭にのめり込み、もう1つの眼は頬に突き出る。筋肉は巨大に膨れ上がり、英雄の光を頭から発する。ある時には大きな唸り声をあげ、土着の精霊のすべてが彼と一緒に怒号し、コナハトの戦士を恐怖に陥らせたという[4]。ケルトの英雄クー・フーリンにはペルシャの英雄ロスタム、ギリシャの英雄ヘーラクレース、ドイツの英雄ヒルデブラントと類似点があることから、インド・ヨーロッパ起源であることが示唆されている[注釈 5]目次

1 説話

1.1 少年時代

1.2 青年時代

1.3 外見

1.4 持物

1.4.1 槍

1.4.2 剣

1.4.3 盾

1.4.4 その他の持物



2 政治的利用

3 脚注

3.1 注釈

3.2 出典


4 参考文献

5 関連項目

説話
少年時代

コノア王が鍛冶屋のクラン(フランス語版)(Culann クーリン)の館に招かれた際、セタンタにも声を掛けるが、セタンタはハーリングの最中であったので終わってから行くと答えた。しかし、王がそれを伝え忘れたために、館にはクランの番犬が放たれてしまう。そうと知らずに館に一人でやって来たセタンタは、この番犬に襲われるがたった一人で番犬を絞め殺してしまう。猛犬として名高い自慢の番犬を失い嘆くクランに、セタンタは自分がこの犬の仔を育て、さらにその仔が育つまで番犬としてクランの家を守ると申し出た(また、この時のことをきっかけに「決して犬の肉は食べない」と言うゲッシュ(禁忌)を立てた)。この事件をきっかけに、セタンタはクー・フーリン(クランの猛犬)と呼ばれるようになる[注釈 6]
青年時代 "チャリオットに乗り戦いに挑むクー・フーリン", J. C. Leyendecker in T. W. Rolleston's ケルト人の神話と伝説, 1911年

ある日のこと、クー・フーリンはドルイドカスバドが、今日騎士になるものはエリンに長く伝えられる英雄となるが、その生涯は短いものとなるという予言をしたのを聞き、騎士となるべく王の元へと向かった。騎士になるにはまだ早いと渋る王に対して、クー・フーリンはをへし折り、をへし曲げ、チャリオットを踏み壊して自身の力を見せつける。観念した王はクー・フーリンが騎士になるのを許し、彼の力にも耐えられる武器とチャリオットを与えた。

クー・フーリンは、フォルガル(英語版)の娘エメルに求婚するが断られたため、影の国を訪れ女武芸者スカアハの下で修行を行う。この時共に修行を行った仲間に、コノートフェルディアがおり、彼とクー・フーリンは親友となる。

修行中、影の国ではスカアハと対立するオイフェ(一説には双子の姉妹)との間に戦争が起こった。スカアハはクー・フーリンが戦場に出ることのないように睡眠薬を与えるが、クー・フーリンには効き目が薄く彼を止めることができなかった。戦いは膠着し、オイフェは一騎討ちで決着を付けようとするがスカアハは負傷していたため、代わりにクー・フーリンがオイフェと一騎討ちを行い、屈服させて生け捕りにした(これによってオイフェはクー・フーリンの妻にされ、後に息子であるコンラを授かるが、クー・フーリンはこれを知らなかった)。

スカアハの下には彼以外にも修行を行う仲間がいたが、その中でただ一人ゲイボルグを授かる。その後、帰国したクー・フーリンだが、フォルガルはエメルとの結婚を許さなかったので、フォルガルを打倒してエメルを娶った。

クーリーの牛争いに端を発するコノートの女王メイヴとの戦いで、止むを得なかったとはいえ、修業時代の親友フェルディアをゲイボルグで殺してしまい、後に彼を訪ねてきた息子コンラ[注釈 7]もやはりゲイボルグで殺してしまう(これはコンラの存在を知らなかった為と、コンラ自身がゲッシュによって名乗らなかった為)。ゲッシュを破ったために(一説ではオイフェらの策略によって次々と破らされたとも)半身が痺れたところを敵に奪われたゲイボルグに刺し貫かれて命を落とすが、その際、こぼれ落ちた内臓を水で洗って腹におさめ、石柱に己の体を縛りつけ、最後まで倒れることがなかったという。

クー・フーリンはその短い生涯において幾多の武勲を建てたものの、そのほとんどで自ら戦いを望まなかった。人々を窮地から救うため、あるいは友や自分たちの名誉を守るため、義侠心からやむにやまれぬ戦いに挑んだ。武人としての名誉と節度を重んじ、女を手に掛けることがなかった[5]
外見

クー・フーリンの外見は、『レンスターの書』などの古い写本では「背が小さく、ヒゲも生えていないくらい若い」と表現されている。髪色は黒髪、または金髪と表現されることが多い。また大変美しい容貌であり、クーリーの牛争いでは、戦闘での悪鬼のごとき姿を忘れさせるため、コノートの人々に自らの美しさを見せつけるエピソードが収録されている。苗木のように細い身体と例えられることもある。

生き残った軍勢の目の前にあらわれた、スアルダウの息子クー・フーリンの勇姿はまことに華麗であった。頭髪の色は三層に染め分けられていた。頭皮に近い根元は黒く、中程は血赤、毛先は黄色で、金の王冠さながらの形に結い上げた髪は襟足で三つ編みにまとめられ、たくみに櫛を入れた幾筋かの細長い巻き毛や、金色に輝く何本かの房毛とともに肩まで垂れていた。うなじには紫金の巻き毛が百筋ほど輝いていた。琥珀のビーズをちりばめた百本の飾り紐が、頭髪全体に彩りを添えていた。左右の頬には各々四つずつえくぼができた――黄色、緑、青、紫のえくぼだった。王者の威厳を放つ左右の目には、各々七つの宝玉がまばゆく光っていた。左右の足先には指が七本ずつ、両手にも指が七本あり、各々の先端から生えた爪――あるいはかぎ爪――には、鷹や鷲獅子に匹敵する強い握力があった。

?キアラン・カーソン,『トーイン クアルンゲの牛捕り』, P153?154
持物
槍詳細は「ゲイ・ボルグ」を参照

スカータハに、あるいは説話によってはアイフェに授かったとされる超自然的な槍。

他に「ドゥヴシェフ」という名の槍も持つ。
剣詳細は「クルージーン・カサド・ヒャン」を参照

クーリーの牛争い』ではフェルグス・マク・ロイヒカラドボルグで丘の頂を3回薙ぎ払った後、クー・フーリンが同様に丘の頂を3回薙ぎ払う場面がある。写本によってはこの時クー・フーリンが使った剣をクルージーンであるとするものがある。

法文章を中心に編纂された ダブリン大学トリニティカレッジ図書館写本 1336 に所収された説話『クー・フーリンの盾』 ("Sciath Con Culainn) には、彼が Duban という名の盾を手に入れた顛末が記されている。クー・フーリンに盾の制作を依頼された職人は、とある事情がありこれを拒否せざるをえなかった。


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