クーリエ:最高機密の運び屋
The Courier
監督ドミニク・クック
『クーリエ:最高機密の運び屋』(クーリエ さいこうきみつのはこびや、The Courier)は、2020年に公開されたイギリスとアメリカ合衆国の合作によるスパイスリラー映画。監督はドミニク・クック(英語版)、主演はベネディクト・カンバーバッチ。キューバ危機において重要な役割を果たしたとされる実在のイギリスのスパイで電気技師のグレヴィル・ウィン(英語版)の半生を描いている[5]。(「クーリエ」とは情報の運び屋の意) 1960年のこと。極秘の核情報にアクセス出来るソ連高官兼GRU情報将校オレグ・ペンコフスキーは、米国との核戦争の脅威が増大していることから、フルシチョフの指導力に幻滅していた。彼はCIAに連絡を取り、緊張緩和に資する情報を提供すること申し出、自分の米国への亡命の希望も伝える。ペンコフスキーは、妻子を伴ったソ連脱出と、亡命先での厚遇を求めて、政府の機密を漏洩する覚悟を決めていた。CIAは、たまたまソ連政府内部のスパイを失った直後だった為に、イギリスのMI6に協力を求めた。CIAとMI6は自分たちの諜報員を使うのではなく、一般のビジネスマンに仲介役を務めてもらう方が良いと判断する。 彼らは東欧の国々で工業機械を売る英国人セールスマンのグレヴィル・ウィンに、商機を探るという口実でモスクワに行くよう持ちかける。ウィンはペンコフスキーと一見正常な商売上の関係を確立し、ペンコフスキーは西側諜報機関に情報を提供する。 彼は、自分はソ連の監視下に置かれることを理由に、今後もウィンを連絡員として使い続けるよう要請する。当初はこの任務を断ったウィンだが、CIA職員のエミリー・ドノバンがウィンの努力が核戦争の防止に役立つと強調したことや、自宅を訪れたペンコフスキーがウィンの成功に命を賭けていると言ったこともあり、最終的には同意する。 ウィンはモスクワへの出張を利用して、ペンコフスキーから提供されたメッセージや荷物を定期的にCIAに渡す。しかし、この仕事は彼の私生活に悪影響を及ぼし始める。彼の行動には動揺が見られるようになり、妻は彼が浮気をしているのではないかと疑うようになる。 ペンコフスキーは、ソ連がキューバを米国に対する核の脅威の拠点にしたいと考えていることを知り、写真や軍事計画とと共にこの情報をCIAに伝え、CIAは自らの諜報活動によりこれを検証する。米国のこの早くからの情報収集は、キューバ危機の際に有利に働いた。一方、ソ連の方も、二重スパイを使った諜報活動により、自国側に情報上の脆弱性があることに気づいている。モスクワでウィンはホテルの自分の部屋が捜索されたことに気づくが、それをペンコフスキーに伝えられないまま出国してしまう。 ペンコフスキーが取り残された場合の運命を心配したウィンは、MI6の忠告に反してペンコフスキーの亡命手配を手伝うためにモスクワに戻ることを志願する。しかし、ソ連はペンコフスキーに毒を盛り入院させ、その最中にペンコフスキーの所持品を調べていたことから、2人の計画を阻止し、2人を逮捕する。 ウィンは刑務所に送られ、そこでの過酷な環境に耐えるが、健康状態が著しく悪化してしまう。彼は、ペンコフスキーをビジネス上の顧客としてしか知らなかったし、彼が渡して来た荷物の中身は知らなかったと主張し、無罪を執拗に主張する。数か月後、彼は妻からの訪問を許可され、ソ連がキューバからミサイルを撤去したと告げられ、彼の士気は高まる。彼はまた、取り調べ中に刑務所でペンコフスキーと面会出来、自分の犠牲にはそれだけの価値があると語り、2人は手を握り合う。 1964年4月、ウィンは1年半に及ぶ拘束の末、ソ連のスパイ、コノン・モロディと引き換えに釈放され、ロンドンに戻る。そしてビジネスマンとして残りの人生を過ごす。ペンコフスキーは反逆罪で裁判にかけられ処刑され、刻印のない墓に埋葬されたが、家族はモスクワに住むことを許されたことが明らかになる。米国とソ連の間には、将来の核戦争を防ぐための首脳間の連絡ホットラインが設置されている。
ストーリー
キャスト
グレヴィル・ウィン(英語版