クロピドグレル
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クロピドグレル

IUPAC命名法による物質名
IUPAC名

(+)-(S)-methyl 2-(2-chlorophenyl)-2-(6,7-dihydrothieno[3,2-c]pyridin-5(4H)-yl)acetate

臨床データ
販売名Plavix
Drugs.commonograph
MedlinePlusa601040
ライセンスUS FDA:リンク
胎児危険度分類

AU: B1

US: B




法的規制

AU: 処方箋薬(S4)

UK: 処方箋のみ (POM)

US: ?-only

投与経路Oral
薬物動態データ
生物学的利用能>50%
血漿タンパク結合94?98%
代謝Hepatic
半減期7?8 hours (inactive metabolite)
排泄50% renal
46% biliary
識別
CAS番号
113665-84-2 
ATCコードB01AC04 (WHO)
PubChemCID: 60606
IUPHAR/BPS7150
DrugBankDB00758en:Template:drugbankcite
ChemSpider54632 
UNIIA74586SNO7 
KEGGD07729 en:Template:keggcite
ChEBICHEBI:37941en:Template:ebicite
ChEMBLCHEMBL1771en:Template:ebicite
化学的データ
化学式C16H16ClNO2S
分子量321.82 g/mol
SMILES

COC(=O)[C@H](c1ccccc1Cl)N2CCc3c(ccs3)C2

InChI

InChI=1S/C16H16ClNO2S/c1-20-16(19)15(12-4-2-3-5-13(12)17)18-8-6-14-11(10-18)7-9-21-14/h2-5,7,9,15H,6,8,10H2,1H3/t15-/m0/s1 

Key:GKTWGGQPFAXNFI-HNNXBMFYSA-N 

テンプレートを表示

クロピドグレル(Clopidogrel)は、チエノピリジン系の抗血小板剤の1つであり、虚血性心疾患閉塞性動脈硬化症脳血管障害での血栓生成抑制ならびに心筋梗塞予防に用いられる。商品名プラビックス(開発コードSR25990C)。血小板膜上のアデノシン二リン酸(ADP)受容体であるP2Y12(英語版)を阻害する。ただし、クロピドグレルはプロドラッグであって、活性体になるには主にCYP2C19による代謝を受ける必要があるものの、CYP2C19には活性の高いヒトと活性の低いヒトが存在しているために、薬効の出現には個体差が大きい[1]チクロピジンより副作用の頻度が低いが[1]、時に致死的な出血、重篤な好中球減少症血栓性血小板減少性紫斑病などの副作用を生じる。アスピリンとの合剤(商品名コンプラビン配合錠)が販売されている。
特徴

チクロピジンと共通のチエノピリジン骨格を有する第2世代のチエノピリジン。分子内にキラル中心を1つ持っているため1組の鏡像異性体が存在するものの、このうちS体のみがクロピドグレルとして用いられる。したがって、クロピドグレルの溶液は光学活性を持っている。なお、立体配置と旋光の方向との間に関連性はないが、クロピドグレルの溶液の場合は右旋性を示す。
効能・効果

日本で承認されている効能・効果は、下記の通りである[2]。コンプラビン配合錠は2の虚血性心疾患についてのみ承認されている[3]
虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制

経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)、安定狭心症、陳旧性心筋梗塞

末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制

これらに含まれる用途として、ステントの狭窄・血栓症の予防にも用いられる[1]。この場合の投与期間はステントにより異なる[4]

クロピドグレル等を用いた下記の疾患に対する治療が、アメリカ心臓協会および米国心臓病学会(英語版)から推奨されている。

下記を含むST上昇型心筋梗塞(STEMI)の治療[5]

経皮的冠動脈形成術(PCI)施行に先立つローディングドーズの投与、血管ステント留置後の1年以上の投与

線溶療法に先立つローディングドーズの投与、14日以上の継続投与


非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)または不安定狭心症の治療[6]

PCI術後またはアスピリン治療に不忍容の場合のローディングドーズの投与とメンテナンス治療

中?高リスク患者が非侵襲性治療を選択した場合の12ヶ月までのメンテナンス治療


安定虚血性心疾患[7] 治療へのクロピドグレルの単剤使用は、アスピリン治療に不忍容の患者やクロピドグレルとアスピリンの併用療法が高リスクである患者に対する「妥当」なオプションとされている。

冠状動脈ステント(英語版)留置後の血栓症予防を目的に、クロピドグレル・アスピリン併用療法が実施される[8]。アスピリンに不忍容の場合は他の抗血小板薬が用いられる[9]

合意に基づく治療ガイドラインは消化管出血の既往を有する患者に対しても、アスピリンよりクロピドグレルを奨めている。この様な患者ではアスピリンのプロスタグランジン合成阻害が状態を増悪させ得るからである。しかし、アスピリン誘発性潰瘍治癒後の患者では、クロピドグレルよりもアスピリンとプロトンポンプ阻害薬エソメプラゾール)の併用の方が潰瘍再出血の危険が低い[10]急性冠症候群後の再発予防にプロトンポンプ阻害薬とクロピドグレルを併用すると、心血管系の有害事象が増加する。
副作用

臨床試験では、アスピリンを併用しない場合で29.1%、併用する場合で35.6%の患者に副作用が見られた[2]

添付文書に記載されている重大な副作用は、

時に致死的な出血(脳出血などの頭蓋内出血(<1%)、硬膜下血腫(<0.1%)、吐血、下血(<1%)、胃腸出血(<1%)、眼底出血(<1%)、関節血腫(<0.1%)等)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)[11][12]、血小板減少、無顆粒球症、再生不良性貧血、汎血球減少症、

胃・十二指腸潰瘍、ALT(GPT)上昇、γ‐GTP上昇、AST(GOT)上昇、黄疸、急性肝不全、肝炎、黄疸、

間質性肺炎(< 0.1%)、好酸球性肺炎後天性血友病横紋筋融解症

中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、多形滲出性紅斑急性汎発性発疹性膿疱症、薬剤性過敏症症候群


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