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クロダイ
分類
クロダイ(黒鯛、烏頬魚[1]、学名 Acanthopagrus schlegelii)は、タイ科に分類される魚の1種。東アジア沿岸域に分布する大型魚で、食用や釣りの対象として人気がある。
日本ではチヌ(茅渟、海?)という別名もよく用いられる。学名の属名 Acanthopagrus は「棘のある鯛」の意で、種小名 schlegelii は日本の脊椎動物を多数記載したヘルマン・シュレーゲルに対する献名である。 全長は最大70 cmを超えるが、よく漁獲される個体は30 cm前までである。クロダイ 2018年9月4日 鹿島港 背側と鰭膜は和名通り黒、ないし灰色で、腹側は白い。体側は銀色に光る灰色だが、不明瞭な縦縞があるものも多い。鰓蓋上端・目の後方やや上に、目と同程度の黒斑が1つある。体型は左右から押しつぶされたように平たい楕円形で、典型的な鯛の体型だが、マダイに比べると口が前に突き出す。顎の前方には3対の犬歯、側面には3列以上の臼歯があり、ヘダイ亜科の特徴を示す。近縁種のキチヌは、腹ビレ、臀ビレ、尾美ビレ下葉が黄色いが、クロダイも幼魚はヒレが黄色いことがある。キチヌのほうが吻がとがることが多い。さらに、キチヌのほうが鱗が大きい[2]。 背鰭は11棘条・11軟条、尻鰭は3棘条・8軟条からなり、クロダイ属のラテン語名 Acanthopagrus は発達した棘条に由来する。特に尻鰭の第2棘条が強大に発達する。側線鱗(そくせんりん)数は48?56枚、背鰭と側線の間の鱗は6?7列で、この点で近縁種と区別できる。 北は北海道の南部、日本列島、朝鮮半島から台湾までの東アジア沿岸域に分布する。ただし奄美大島以南の南西諸島には分布せず、ミナミクロダイ、ナンヨウチヌ、ヘダイといった近縁種が分布する。 タイ科の大型魚としては珍しく水深50 m以浅の沿岸域に生息し、河口の汽水域にもよく進入する。さらに河川の淡水域まで遡上することもあるため、能登地方では川鯛とも呼ばれる。環境への適応力が高く、岩礁から砂泥底 産卵は春に海域で行われ、直径0.8 - 0.9 mmほどの分離浮性卵を産卵し、水温20 ℃では約30時間で孵化する。孵化直後の仔魚は体長2 mmほどで卵黄嚢をもつ。体長8 mmほどから砂浜海岸の波打ち際や干潟域、河口域などの浅所に集まり、プランクトンを捕食して成長する。生後1年で体長12 cm、5年で26 cm、9年で40 cmほどに成長するが、マダイと比べると成長が遅い。夏から秋には海岸域で全長10cm足らずの若魚を見ることができる。若魚はスーッと泳いではピタッと停まるのを繰り返しながら餌を探す。水中の砂底
特徴
生態
成長によって性転換する魚としても知られる。性転換する魚はメス→オスが一般的(マダイなど)だが、クロダイを含めたヘダイ亜科は雄性先熟を行い、オス→メスに性転換する。2 - 3歳までは精巣が発達したオスだが、4 - 5歳になると卵巣が発達してメスになる。ただし全てがメスになるわけではなく、雌性ホルモン(エストラジオール-17β=E2)が不足したオスは性転換しない。
夜行性で日没以降食料を求めて活動する。 身近な海域に生息する大型魚 釣り上げるには高い技術が必要とされる[3]。大都市圏の海にも多く、手近ながら奥の深い釣りの対象として人気があり、様々な技法が発達している。上から落ちてくる物体に喰いつく性質を利用したヘチ釣り
人間との関わり
漁獲
釣り
釣り餌は悪食な食性に対応してゴカイ類や甲殻類に始まり、海藻類、小魚、貝類、カイコの蛹、トウモロコシの粒やスイカの小片やミカン等に至るまで、様々なものが用いられている。トウモロコシやスイカと言った本来であれば海中に存在しないエサは他の魚を寄せ付けないため、エサ盗りに悩まされたときの有効手段とされる。夜行性の性質から夜釣りの対象魚である。 身はタイ科らしく歯ごたえがある白身で、特に旬を迎えた冬期のものは脂がのってマダイにも劣らない美味である。しかし季節や棲息場所によっては磯臭い個体にあたることもある。刺身、洗い、塩焼き、煮付けなど和風料理の他、ムニエルやアクアパッツア等の洋風料理でも食べられる。 先述の通り環境適応力が高く、一時的であれば真水でも活かしておける事から、冷蔵技術の無かった時代は重宝され、高値で取引された。そのため、一時は稚魚放流・養殖などもされていたが、マダイの養殖技術が確立したため現在は安値で流通している。21世紀においては価格がマダイの約4分の1にとどまることから、漁業者からは好まれず、味も淡白であるため、食材としての人気も高くはない[3]。 21世紀に入って以降、クロダイが養殖海苔やアサリ、カキなどを食害する被害が報じられている[4][3][5][6]。
食材
漁業被害