クロコーチ
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クロコーチ
ジャンル
クライム・サスペンス青年漫画
漫画
原作・原案などリチャード・ウー
作画コウノコウジ
出版社日本文芸社
掲載誌週刊漫画ゴラク
レーベルニチブンコミックス
発表号2012年2月17日号[1] - 2018年3月9日号
発表期間2012年2月3日 - 2018年2月23日
巻数全23巻
話数全223話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『クロコーチ』は、リチャード・ウー(原作)およびコウノコウジ(作画)による日本漫画、またそれを原作としたテレビドラマ[2]

数々の未解決事件に対し、1つの仮説を示すことが趣旨である。ジャンルとしては「ダーク・ミステリー」とされる。

日本文芸社漫画雑誌週刊漫画ゴラク』で、2012年にまず読切として連載され、後に長編として2018年2月23日発売号まで連載された。2013年10月からはこれを原作とした同タイトルのテレビドラマが放送された。

本作終了後に開始された同作者の漫画『警部補ダイマジン』は本作と同一の世界で数年後を舞台としており、清家などが再登場している。
あらすじ

県警捜査第二課に所属する警部補・黒河内圭太は政治家や実業家の醜聞を握って強請を行い、時に彼らの犯罪をもみ消す悪徳警官であった。県警の上司達も弱みを握られ、「県警最悪の警察官」「化物」などと呼称され恐れられる黒河内の元に、清廉潔白な若きキャリア・清家真吾管理官が配属される。清家に対して自らの犯罪を隠す気がない黒河内を清家は告発しようとするが、黒河内は自身が追っている更なる巨悪の存在を明らかにし、半ば事態に流されつつ清家は黒河内と協力することを選択する。
WEBデザイナー一家殺人事件編

黒河内は、郷田県議の殺人を揉み消し、その狙いが現職の県知事である沢渡にあることを清家に明かす。沢渡は15年前に起こり、迷宮入りしたWEBデザイナー一家殺人事件や女子高生殺人事件の真犯人であり、さらに警察内部にも協力者がいるという。清家は半信半疑だったものの、直後、清家自身も知る現職警官2人に襲われたことで、黒河内に協力することを決める。黒河内は政治家らを巧みに操って沢渡を失職させ追い込むが、一方で沢渡を立件できる有力な証人は次々と首吊り自殺に見せかけて殺されていく。

沢渡に対する決定打は無く、黒河内は沢渡に敗北を認めて阿るが、沢渡は先の2人の刑事殺しを垂れ込んで黒河内を追い込む。だが、それこそが黒河内の狙いであり、証拠偽装によって、沢渡は刑事殺しとWEBデザイナー一家殺人事件の容疑者として逮捕される。
三億円事件 / 桜吹雪会編

沢渡を逮捕させることに成功した黒河内は、更に沢渡を確実に仕留めるべく担当検事の越後を脅す。越後は、12年前にIT界の寵児と呼ばれる綾瀬から彼の粉飾事件に絡んで5000万円の賄賂を受け取った過去があり、さらに黒河内は、綾瀬のために銀行強盗を行い出所した高宮に接触して、綾瀬の灰谷殺しを証明し、逮捕する。沢渡は越後に黒河内を始末する代わりに不起訴とする取引を持ちかけ、黒河内は赤刃組の組員に襲われ重傷を追う。黒河内と清家の捜査の結果、赤刃組の背後には警察の闇組織・桜吹雪会がいた。

綾瀬を不起訴にさせた黒河内は桜吹雪会との停戦に成功したという。一方、清家は亡き父の友人でもあった遠藤から、3億円事件や桜吹雪会について教えられる。だが、その直後に遠藤は辻班に殺害されてしまう。だが、辻班も、桜吹雪会の功労者である遠藤殺害命令が下ったことに納得がいかず、城尾に掛け合うといった班長の辻は無残な死体で発見され、他の班員も次々と殺されていく。黒幕は桜吹雪会のボスである城尾と思われていたが、城尾と対面した黒河内は彼が既に実権を失っていることを見抜く。さらに桜吹雪会の設立経緯を追っていた2人は、3億事件の真犯人である桐谷英人が生きていること、消えた3億円を元手に当時のテロ対策の一環でマネー・ロンダリングされ300億円となり、桜吹雪会の原資になったことなどを突き止める。

黒河内は沢渡を桜吹雪会に殺させようと策謀し、越後に不起訴にさせる。赤刃組組長・青松は釈放直後の沢渡の命を狙うが、黒河内の狙いに気づいた越後が持ち前の正義感で沢渡を庇い、殉職する。黒河内は自分の策で越後が死んでしまったことに強いショックを受けるが越後の妻より、彼の言葉と3億円事件の有力な情報を伝言される。

やがて高橋がすべての黒幕で、金を独り占めにするために殺害指令を出していたことが判明する。高橋は城尾を殺し、すべての罪を加賀になすりつけて逃亡しようとするが、加賀と井出の逆襲にあって深手を置い、更に錯乱した綾瀬に刺されて力尽きる。桜吹雪会の上層部が壊滅した中、幹部の西郷と栗塚によって桜吹雪会は活動を停止することが決定する。後日、黒河内は、栗塚こそが桐谷本人だと気づき、3億円事件とそれに絡む公安の影の仕事、そして一連の事件の真相を知る。
警察庁長官銃撃事件 / 大人は判ってくれない編

伝説の桜吹雪会を解明した黒河内と清家だったが、これをきっかけに公安の監視対象となる。新たに赴任した清家の美人上司・緑川もまた公安であった。その中で、黒河内は霊感商法、清家は白骨死体の捜査を行っていたが、やがてそれらは15年前に起こったカルト宗教団体・ピュア達磨教[注 1]の大規模テロ事件や、迷宮入りした警察庁長官銃撃事件に繋がっていく。清家父の死も、実は警察庁長官銃撃事件の極秘捜査中のことであった。

やがて事件には「囁く男」と呼ばれる赤軍テロリストであり同時に公安のS(スパイ)でもある人物が浮かび上がる。さらには、伝説のテロ組織「大人は判ってくれない」の参謀役が警察上層部に紛れこんでいることが明かされる。その謎の参謀役を捜査している公安の若王子は、彼を突き止めるために、赤軍テロ組織の内幕に詳しい桐谷(栗塚)の協力が欲しく、黒河内に協力を求める。

黒河内の捜査と、栗塚に協力を求められ帰国を果たした露口によって参謀は青沼審議官と判明するが、その矢先に栗塚が殺されてしまう。復讐を誓う黒河内は「囁く男」こと鳥尾恭児を捕まえるべく奔走するが、その途中で、これが彼らの罠であることに気づく。真の黒幕は目黒審議官であり、鳥尾と目黒は、カルト教団残党を操り原発テロを企てていた。さらにはそれすらも囮で、かつては失敗に終わった警察庁長官銃撃事件の再来を狙っていた。しかし、黒河内の機転で事件は未然に解決し、鳥尾は目黒を殺して逃亡する。

その後、清家は緑川より父の死の真相を知らされ、目黒に唆されたとはいえ、知古の先輩・野中が犯人であった。鳥尾に唆された野中は清家と緑川を人質に黒河内を殺そうとするが、先手を打った黒河内に拘束される。目黒の件、野中の件は共に警察の威信に関わるため秘匿されることとなり、不信感を抱いた清家は辞職を考えるが、鳥尾の行方を追う黒河内の説得で公安への異動を決める。
照銀事件 / スサノオの桜編

戦後間もなくできた秘密結社スサノオの桜に匿われることとなった鳥尾は、彼らの毒殺実験に関わり、不本意ながら大量虐殺に加担する日々を過ごしていた。一連の事件に鳥尾が関わっていることや、スサノオの桜の存在を掴んだ黒河内は、これが戦後間もない頃に起こった怪事件・照銀事件の再現だと気づく。清家は黒河内の介在もあり、公安でも特に警察内部を調査する通称「ピンク」に配属され、スサノオの桜や照銀事件について調べ始める。

清家は内通者のボビー海部などを通し、スサノオの桜が憲法改正などを目論んで、某アジアの大国が国会を襲撃するというシナリオの大規模テロを計画しているとわかる。公安を中心に警察はテロの主犯と思わしき中国人の男・林伊健をマークするが、黒河内は林は囮で、真の計画は別にあると推測する。やがて黒河内は、スサノオが行おうとしていることが、特殊な飲料を使った国会議員の大量毒殺と新幹線テロだと気づく。黒河内は、緑川や野中を現場復帰させテロ防止を目論み、最小限の被害に押さえ込むものの、緑川が殉職してしまう。

スサノオの桜の首領・桜木がイタリアへ高飛びし、事後を幹部の灰田に任せる。また、鳥尾は偶然から桜木に裏切り者と誤解されてしまい、彼らに命を狙われ始めたことで、改めて自身の信条に向き合い、逆に桜木や灰田の命を狙い始める。一方、黒河内はクレジットカードの不正引き出し事件の出し子の捜査を担当することになり、新しい部下・浅黄と共に行動する。出し子グループの中心核は実は桜木の孫であり、黒河内はそこから桜木に迫ろうとする。

鳥尾は灰田を襲うものの、返り討ちに遭い致命傷を負うが、予め仕掛けていた爆弾で灰田を爆死させ、黒河内に情報を託して息を引き取る。間もなく桜木は灰田以外のテロの実行犯達を謀殺して帰国を果たすが、黒河内は鳥尾が桜木邸に残した爆弾を再起動させて、彼を爆死させる。
M資金 / 沢渡一成編

スサノオの桜のテロ計画により酒井総理が辞職すると、沢渡が再び暗躍し始める。沢渡は桜木に調合してもらった薬を使って猟奇殺人を再開する一方で、国政への復帰を宣言する。当選すら絶望的かと思われていたが、沢渡はM資金の話を元に引退した政治家や無所属の政治家を味方につけて沢渡派を形成し、総理大臣職まで狙っていた。そして、政局を巧みに操ると、持ち前のポピュリズムで大衆の人気を獲得してトップ当選を果たし、総理大臣の目が見えてくる。

一方、黒河内と清家は沢渡の正体について調査し、どこかの国の破壊工作員と予想するが、ただ純粋な悪としか言えない人物像に謎は深まっていく。そんな折、警察では警察内警察「グレイ」が発足され、担当で正義感の強い白雪警視は黒河内を追い詰めようとしていた。清家は白雪よりグレイへの参加を切望され、黒河内との関係から渋るが、白雪が清家文吾殺しの真相を茜屋長官に公表させたため、最終的にグレイに入ることを決める。

与党重鎮達の要請もあり、沢渡の首相就任を防止したい警察であったが、沢渡は支配下にあるピュア達磨教や暗殺者を雇うなどして立場を盤石なものにし、次期総理に内定する。黒河内は、沢渡の犯行を立証できるかもしれない少女・マミを発見し、彼女を守ろうと奮闘するが、力及ばず沢渡の放った暗殺者に殺害されてしまう。さらに白雪は、沢渡よりも黒河内の身柄を狙う。

総理就任間近となった沢渡は、部下(白須・一色)と、自分と敵対関係にある警察関係者(清家・青沼・浅黄・牛井・栗田)らを集める。その中で自らの犯罪を告白し始め、しかし自分をもはや止めることはできないと場を挑発する。そんな中、遅刻してやってきた黒河内は有無を言わさず沢渡を拳銃で撃ち、沢渡は自分が死んでも次の時限爆弾があると言い残して絶命する。そして逮捕されようとする黒河内であったが、同席した青沼が現場から逃げるように言い、黒河内は現場から消える。

沢渡殺しの捜査を白雪が担当することとなり、猟奇殺人犯の極悪人と言えど次期総理であった人物の殺しは死刑もありうる内乱罪として黒河内を追い詰めようとする。ところが、現場に居合わせた牛井・栗田・浅黄・一色は何も見ていないと答え、青沼・白須に至っては黒河内が殺したものの正当防衛だったと主張する。白雪が期待した最後の清家は、辞表を提出し、白雪に正義とは何かと問うて証言を拒絶する。ついに諦めた白雪は、沢渡殺しの犯人はピュア達磨教と公表するように茜屋に進言し、黒河内は正式に見逃される。

警察辞職後、清家は酒井より政治家となるよう勧められる。断ろうとする清家であったが、酒井から政治家には正義も悪も必要だとし、今の清家にはその資質が備わっていると説得され、清家は政治家となることを決める。一方、黒河内は沢渡の巨額の隠し資産を追って海外におり、彼の資産を回収した上でマネーロンダリングで綺麗な金に変えていた。そして、高宮にいずれ総理となる清家の政治資金に役立ててほしいと、その資産を引き渡す。
登場人物
主要登場人物
黒河内 圭太(くろこうち けいた)
本作の主人公。県警
[3]捜査二課所属の警部補。通称クロコーチ。県警最悪の警官と呼ばれる中年の悪徳警官。捜査で知り得た情報から政治家や実業家を強請って大金をせしめ、時に彼らの犯罪を揉み消す。これらは公然の秘密となっているが、証拠は残さず、更に上司の弱みも握るため、誰も手がつけられない。
清家 真吾(せいけ しんご)
本作の主人公。県警捜査一課所属。警視。東大卒のキャリア組で、正義感の強い新人青年刑事。県警捜査一課の管理官として配属され、そこで黒河内の内偵を任されたことから、不本意ながら彼と組むこととなる。同作者の次の作品『警部補ダイマジン』にも青年政治家として登場している。


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