クレベリン
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この項目では、大幸薬品の製品「クレベリン」について説明しています。

ドイツの医学者・精神科医「クレペリン」については「エミール・クレペリン」をご覧ください。

クレペリンの研究から派生した性格検査法については「内田クレペリン精神検査」をご覧ください。

クレベリン

クレベリン(cleverin )は、大幸薬品が発売する二酸化塩素を主成分とするいわゆる「空間除菌」グッズである[1][2]効果や安全性が確認されていないため、どの公的機関も推奨していない[3][4]。医薬品ではなく「雑貨」として販売され、効果を誤認させる宣伝方法が問題になっている[1][5]消費者庁は、2014年と2022年に景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして措置命令を出した(後述[6][7]。2022年5月、大幸薬品は優良誤認を認めたが、雑貨として販売が続けられている[8][9]
製品概要

クレベリンは、大幸薬品のブランドで、同社の登録商標(第5593423号ほか)である[10][11]。「ウイルス除去・除菌・消臭」を謳って販売されていたが、医薬品医療機器ではなく、雑貨であるため、日本の薬機法に基づいた有効性・安全性・品質は確認されていない[12]

部屋に置いて二酸化塩素を室内に放出させるゲルタイプや、スプレータイプ、気体を出す容器を胸ポケットなどに持ち歩くペンタイプがあり、ウイルスから体を守ることをイメージさせる広告が氾濫していた[13][14]。しかし、二酸化塩素ガスによる健康被害があることから[15][16][17]、アメリカでは米環境保護局(EPA)がAmazonとeBayに対してこの種の製品の販売停止を命令している[18][19]。日本では、消費者庁が広告や表示の是正を求める処分を下したが、製品が「雑貨」に区分されるため薬機法による販売停止を命じることが出来ず、雑貨として販売が続けられている[8][9]

製品名である「クレベリン」とは「今までになかった方法でclever(賢く)clean(キレイにする)」からの造語である[20]

2018年9月に発売以来初となる全面リニューアルが行われた[21]。デザインが刷新され、容器は白基調となり、新たに設けた「シードット」と呼ばれるアイコンと「cleverin」の英字のロゴを表記するのみとなり、外箱に表示のブランドロゴは従来の英字ロゴメインからカタカナロゴメインに改められた。また、外箱や置き型・スプレーの容器ラベルに大幸薬品の社章である「ラッパのマーク」を表記しない代わりに、英字の「TAIKO」ロゴを表記するようになった。

2019年5月、日常除菌分野に特化した姉妹ブランド「クレベ&アンド」を立ち上げると発表。同年9月より3つの新商品が発売されている。
クレベリン 置き型置き型の内容物

部屋に置いて使うゲルタイプ。大幸薬品によれば、容器内のゲル剤から発生する二酸化塩素により空間中に存在するウイルス、菌、ニオイを除去する効果があると謳われている[22]。主な使用場所は寝室やリビング等の室内で、内容量60gと150gの2種類がある。

発売当初は「クレベリン ゲル」として発売されていたが、2018年9月のリニューアルで製品名が改められた。また、翌月には「置き型 専用ケース」が発売された。専用ケースには置き型 150gが同梱されており、同梱分が交換時期を迎えても新しい「クレベリン 置き型」に交換して継続使用が可能である。
クレベリン スプレー

空間中にスプレーしたり、直接吹きかけて使うスプレータイプ。大幸薬品によれば、長期間溶液中に二酸化塩素の有効濃度が維持していると謳われている。使用場所は、居住空間、洗面所、トイレ、キッチン用品等。また、嘔吐物、オムツや生ゴミ、ゴミ箱内等には直接吹き付けて使う[23]。300ml入りの「クレベリン スプレー」と、60ml入りの「クレベリン ミニスプレー」、がある。
クレベリン スティック

スティックタイプ。スティックを曲げることで、スティック内の液剤とゲル化剤が混り、成分(二酸化塩素)が発生しはじめる。ペン型の専用ケースにスティックを入れ、ケースを胸ポケットやネームホルダーなどに装着して使用する[24]

発売当初は「クレベリン パワーセイバー」として発売されていたが、2018年9月のリニューアルで製品名が改められた。

また、白のみだったカラーバリエーションが2019年9月にブラックを追加して2色展開となり、同時に、着脱可能なフックパーツを同梱し、ベビーベッドにかけたり、机に置くことが可能な「スティック フックタイプ」が発売された。

なお、キャラクターとのコラボレーションによる数量限定品が発売されており、専用ケースを収納するストラップカバーが追加される。
「クレベ&アンド」ブランド

クレベ&アンド ウイルス・菌除去スプレー - テーブルや食器、子供のおもちゃ等に直接吹き付けて使う。万が一口に入っても問題のない
アルコール製剤を使用している。

クレベ&アンド ハンドスプレー - 手に直接吹き付けて使う。ベンザルコニウム塩化物と弱酸性エタノールにより、幅広いウイルスや菌の除去ができる。20mlのミニスプレーで展開。

クレベ&アンド ハンドジェル - 上記ハンドスプレーと同様の成分が配合されたジェルタイプ。300mlのポンプ式ボトルで展開。

クレベ&アンド ウイルスプロテクトマスク - 2020年12月に発売。マスク表面に付着したウイルスの数を減少させる「抗ウイルス加工不織布」、細菌の増殖を抑制する「抗菌防臭加工不織布」を採用。1袋5枚入り、ふつうサイズと小さめサイズで展開。

クレベ&アンド ウイルス・菌除去シート - 一袋50枚入り。

開発経緯

二酸化塩素を液体に溶存させたとき、二酸化塩素ガス濃度は時間経過と共に減少してしまうため、その濃度を一定化させることが不可能であったとされる。大幸薬品は、「溶存二酸化塩素ガス、亜塩素酸塩、pH調整剤を構成成分とすることで二酸化塩素濃度を一定にできる」という理論により、液体中の二酸化塩素濃度の一定保持化に成功。この技術により、今まで困難であった二酸化塩素液剤・ゲル剤の流通製品化が可能となった[25]

国民生活センターは2010年8月?10月、二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品について、使用中にどのくらいの二酸化塩素が放散されているのか等を消費者に情報提供をすることを目的に9銘柄[26]に関して調べた。この結果、クレベリンは二酸化塩素ガスの安定的な放散が認められることが示され、国民生活センターの報告書に記載された。なお同センターは発表に際し、「明らかな放散があればよいといった判断をしたものではない」旨コメントしている[27]
問題・危険性
保健機関などの見解

WHOは消毒剤を室内で人体に対して空間噴霧することはいかなる状況であっても推奨されないとしており、屋外であっても、人の健康に有害となり得るとしている[3]。また、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、医療施設における消毒・滅菌に関するガイドラインの中で、「消毒剤の(空間)噴霧は、空気や環境表面の除染方法としては不十分であり、日常的な患者ケア区域における一般的な感染管理として推奨しない」としている[3]厚生労働省は、消毒剤やその他ウイルスの量を減少させる物質について、眼や皮膚への付着や吸入による健康影響のおそれがある場所での空間噴霧を推奨していない[3]


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