M18 クレイモア地雷(M18 Claymore)は、アメリカ軍の使用する指向性対人地雷の1つである。
ニックネームの"クレイモア"は、スコットランドで使われた大剣にちなんだ名称である。
概要1956年にMacleodが取得した特許。形状と加害範囲の指向性が描かれている。クレイモアを設置するアメリカ海兵隊員
重量は1.6キログラム。湾曲した箱状の外側に700個の鉄球とC-4を内包する。
内側は比重が大きく強固な外殻で覆われており、ミスナイ・シャルディン効果によって鉄球のある前面に爆風が集中することで加害範囲に前方への指向性を持たせている。
地上に敷設して起爆すると前方に向けて鉄球が飛び散り、1基で広範囲に殺傷能力を発揮する。鉄球の最大加害距離は約250m、有効加害距離は約50mで、左右に60度、上下それぞれ最大18度の範囲に撃ち出される。鉄球1つあたりのエネルギー量はおよそ50-60フィート重量ポンドに達し、強力な空気銃弾に相当する。設置時の立入禁止エリアは前方180度、半径16m圏内で、危険区域は加害範囲外半径100m圏内である。価格は1基あたり$250である。
設置する際は、本体頂部にある2箇所の信管挿入口に起爆信管を1-2個装着する。目的により、有線リモコンによる手動起爆、ワイヤートラップに繋げてワイヤーが引っ張られて起爆、時限装置による起爆などを選べるが、その内ワイヤートラップ連動の場合は地雷のように接近する人間を無差別に殺傷可能なため、対人地雷禁止条約の規制対象になる。リモコン操作の場合は人間が起爆するため無差別殺傷に当たらず、条約規制対象外である。
2箇所の信管挿入口の間にある凹部は簡易照準器になっており、ここを通して加害範囲を確認ことで設置の位置や角度を調節する。
敵歩兵らによる自陣への侵攻を阻止する待ち伏せ攻撃や、非装甲車両への攻撃に使用される。ソビエト連邦は、ベトナム戦争でベトコンや北ベトナム軍が鹵獲したM18を入手して模倣し、MON-50(英語版、ロシア語版)やMON-90(英語版、ロシア語版)などを生産してアフガニスタン侵攻などで使用した。
アメリカ軍においては本体1個と付属品一式、あるいは本体2個を収納できるキャンバス製の肩掛式ショルダーバッグであるM7 bandolierとセットで支給される。このショルダーバッグには使用方法の図解が縫い付けられている。バッグは収容能力が大きく、ある程度の防水性があるため、クレイモア地雷の使用後には雑嚢として重宝された。
その他M5 MCCMを側面に装備したM113装甲兵員輸送車
似た外見の装備としてM5 Modular Crowd Control Munition(群衆制御弾薬)がある。M5は正面の外見こそクレイモアと同様の暗緑色だが、ゴムやプラスチックの弾を打ち出す非致死性兵器であり、区別のため裏面が明るい緑色で、四角錐の凹凸がつけられている。
イラクにおいては、刑務所を警備するアメリカ空軍のM113装甲兵員輸送車が外部の攻撃や収容者の暴動に対処するためM5を車体側面に搭載しているが、外見の似たクレイモアを搭載していると誤認されたこともあった。詳細は「en:M5 crowd control munition」を参照
日本の陸上自衛隊が装備する指向性散弾も名称や仕組みや加害効果がクレイモアに似ているが、これはスウェーデンが開発した指向性対車両地雷であるFordonsmina 13(FFV 013)のライセンス生産品で、クレイモアより大型で威力が大きい。詳細は「Fordonsmina 13」を参照
なお、陸上自衛隊が導入したFFV 013はリモコンのみで操作する型に限定されているため、対人地雷禁止条約の規制対象外である。 本体
諸元
幅:約21.6センチメートル
奥行き:約3.5センチメートル
高さ:約8.3センチメートル
重量:約1.6キログラム
登場作品
映画・テレビドラマ
『SP THE MOTION PICTURE』
革命篇にて、国会議事堂を占拠したテロリストが通路の至るところに仕掛けている。
『S.W.A.T.』
下水道に逃げ込んだギャンブルが、追ってくるSWATを足留めするためにセットする。その後、ストリートが回収し、施錠された出口を爆破するのに使用する。
『コマンドー』
主人公、ジョン・メイトリックス大佐が遠隔操作タイプを使用。しかし、本作ではただの強力な爆弾として描かれており、本物以上の大爆発を起こして建物を木っ端微塵に吹き飛ばしている。
『ゴースト ?天国からのささやき』
『沈黙の要塞』
スティーブン・セガール演じる主人公が、追撃してくる敵に対して使用する。
『ティアーズ・オブ・ザ・サン』
『プラトーン』
第25歩兵師団が防衛する陣地の前に仕掛けられており、夜間に襲撃してきた北ベトナム軍に対して使用する。
『ランボー/最後の戦場』
『Mr.ノーバディ』
ハッチがロシア人マフィアに対して使用する。
漫画・アニメ
『HELLSING』
傭兵部隊「ワイルドギース」がヘルシング機関防衛の際に大量に設置する。
『RESET』
『行け!!南国アイスホッケー部』
『創造者の罠
主人公・宮代能活が最終決戦時に「人の罠」として使用。
『代紋TAKE2』
フランスの傭兵部隊、カルロス・クライバー大佐が阿久津組と千葉阿久津連合との戦闘で使用する。
『ディエンビエンフー』
小学館版にて、カリフラワーのじじいが「お姫様」との戦闘の際に使用する。
『東京ESP』
『Fate/Zero』
衛宮切嗣がケイネス・エルメロイ・アーチボルトの襲撃を迎撃する際に使用。
『甘い生活』
河野美也がペントハウス侵入者用に設置。
ゲーム
『Operation Flashpoint: Dragon Rising』
アメリカ海兵隊陣営で使用可能な地雷として登場する。
『コール オブ デューティシリーズ』
『CoD4』
キャンペーンとマルチプレイで使用可能。
『CoD:MW2』
キャンペーン、マルチプレイ、スペシャルオプスで使用可能。
『CoD:MW3』
キャンペーン、マルチプレイ、サバイバルモードで使用可能。
『CoD:BO』
キャンペーン、マルチプレイ、ゾンビモードで使用可能。
『CoD:BO2』
キャンペーン、マルチプレイ、ゾンビモードで使用可能。他作品とは異なり、本来「M18A1」と刻印されている部分が「CT6 A2」と刻印されている。
『地球防衛軍シリーズ』
地球防衛軍3
陸戦兵の武器として、似た外見の指向性地雷「インパルス」が登場する。
EDF4
エアレイダーの武器として、似た外見の指向性地雷「インパルス」が登場する。
『バトルフィールドシリーズ』