クレアチニンクリアランス(英: Creatinine clearance、CcrまたはCrClと略される)は、血清中のクレアチニンのクリアランス(腎臓が身体の老廃物を排泄する能力)を計算し、腎機能を推定する検査値である。
クレアチニンは生体物質で、主に筋肉から生成され、腎糸球体でろ過されたあと、尿細管での分泌や再吸収をほとんど受けず、尿へ排泄される。また、血漿タンパク結合の影響を受けないため、クレアチニンクリアランスは糸球体濾過量 (GFR) に近似できる。生体物質なので、検査試薬を静脈内注射(静注)したり体内分布を待つ必要がなく、採血(血液検査)のみでも検査値を出せるため、簡便である。 ただし腎機能障害時において、クレアチニンは尿細管からわずかに分泌されることがあるため、クレアチニンクリアランスが真のGFRよりも高く出ることがある。 血清クレアチニン濃度(Scr, mg/dL)、尿中クレアチニン濃度(Ucr, mg/dL) 、尿量(V, mL/min)を用い、クレアチニンクリアランス(CLcr, mL/min)は次の公式で計算できる。 C L cr = U cr × V S c r {\displaystyle {CL}_{\mbox{cr}}={\frac {{U}_{\mbox{cr}}\times {V}}{{S}_{cr}}}} コッククロフト・ゴールトの式 (Cockcroft-Gault equation) では、血清クレアチニン濃度(Scr, mg/dL)と年齢(Age)、体重(Weight, kg)を用い、男性のクレアチニンクリアランス(CLcr, mL/min)を推定することができる。女性は筋肉量が少ないため、男性の CLcr を0.85倍する。この式は18歳以上の成人に用い、乳児や小児、60歳以上で筋肉量の極端に減った患者には別の式を用いる。 C L cr = ( 140 − Age ) × Weight 72 × S cr {\displaystyle {CL}_{\mbox{cr}}={\frac {({\mbox{140}}-{\mbox{Age}})\times {\mbox{Weight}}}{{\mbox{72}}\times {S}_{\mbox{cr}}}}}
原理
公式
コッククロフト・ゴールトの式
関連項目
糸球体濾過量
クリアランス_(医学)
シスタチンC
外部リンク
GFR値の自動換算 - NPO法人 日本腎臓病協会
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話
編
歴
腎・泌尿器系の正常構造・生理
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