クループ
小児のクループ患者の頸部レントゲン写真。「steeple sign」(尖塔のように狭窄した主気管)が認められる。
概要
診療科呼吸器学, 小児科学
分類および外部参照情報
ICD-10J05.0
クループ (英: croup, laryngotracheobronchitis) は、急性の喉頭狭窄により吸気性喘鳴や犬吠様咳嗽、嗄声、吸気性呼吸困難などを呈する疾患の総称。クルップ、コロップともいう[1]。感染性が多いが、異物、外傷、アレルギーによるものもある。感染性クループにはジフテリアによる真性クループとそれ以外の仮性クループがある。DPTワクチンによりジフテリアはほぼ見られなくなったため、現在感染性クループの多くは上気道のウイルス感染により惹き起こされる。感染によって喉が腫れ、呼吸が妨げられて呼吸困難に陥りやすい。症状の程度は様々だが、夜間に増悪する事が多い。治療法にはよくステロイドの経口単回投与が用いられ、重度の場合はアドレナリン吸入を使用することもある。入院の必要性は低いことが多い。
クループは臨床現場でこれより重度の病因(例:喉頭蓋炎や気道内 誤嚥等)が除外されたのち、診断される。通常、血液検査やX線、培養検査等の追加の検査は不要とされる。比較的よくみられる症状で、小児の約15%が一度は感染を経験し、生後6ヵ月から5?6歳の小児に最も多い。10代や成人の感染例はまずない。かつてはジフテリアが主因であったが、ジフテリアは現在日本や西洋ではワクチン接種の成功や公衆衛生および生活水準の向上により主に歴史的意義を残すものとなっている。日本ではDT,DPT,DPT-IPVワクチンが公費で定期予防接種として投与されている。これらのワクチンの「D」はジフテリアを意味する。
徴候と症状.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}Stridorクループ患者(生後13ヵ月小児)の呼気時および吸気時喘鳴この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。
クループは犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)、吸気時喘鳴(ぜんめい)、嗄声(させい)および夜間に悪化する呼吸困難を特徴とする。[2] 犬吠様咳嗽はアザラシやアシカの鳴き声に例えられることが多い。[3] 喘鳴は興奮したり泣いたりすることによって悪化し、もし安静時にも聞こえるようであれば気道の狭窄が危険な状態にある可能性がある。クループが悪化するにつれ、喘鳴が著明に減少することがある。[2]
この他の症状には発熱、鼻感冒(風邪のような症状)および胸壁の陥没などがある。[2][4] よだれや非常に重篤な様子がみられる場合は別の疾患が疑われる。[4] クループは通常、ウイルス感染により惹き起こされると考えられている。[2][5] 広義には急性喉頭気管炎、痙性クループ、喉頭ジフテリア、細菌性気管炎、喉頭気管気管支炎、喉頭気管気管支肺炎が含まれる。このうち急性喉頭気管炎および痙性クループはウイルス感染を伴い、症候は一般に軽度である。喉頭ジフテリア、細菌性気管炎、喉頭気管支炎、喉頭気管気管支肺炎は細菌感染によるもので、重症になることが多い。[3] ウイルス性クループ、急性喉頭気管炎の75%がパラインフルエンザウイルス、特に1型および2型によるものである。[6] これ以外の起因ウイルスにはインフルエンザ A型およびB型、麻疹、アデノウイルスおよびRSウイルス (RSV)[3]、コロナウイルス(特にヒトコロナウイルスNL63[7])がある。このようなウイルス群は急性喉頭気管炎のほか痙攣性クループの原因となることもあるが通常の感染の徴候 (発熱、咽喉痛、白血球数の増加等)がみられない。[3] 治療法および治療への反応はほぼ同じである。[6] 細菌性クループは喉頭ジフテリア、細菌性気管炎、喉頭気管気管支炎および喉頭気管気管支肺炎に分けられる。[3] 喉頭ジフテリアはジフテリア菌を原因とし、細菌性気管炎、喉頭気管気管支炎および喉頭気管気管支肺炎は通常、ウイルスに感染した後、細菌に二次感染することにより発症する。 最もよく知られる原因菌は黄色ブドウ球菌、肺炎レンサ球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスである。[3] クループの原因となるウイルスに感染すると、白血球(特に組織球、リンパ球、形質細胞および好中球)の浸潤により[3]喉頭部や気管、気管支の腫脹を生じさせる[5]。この腫脹により気道が狭窄し、顕著な場合は呼吸仕事量が大きく増大して喘鳴として知られる特徴的な呼吸音が目立つようになる。[5] Westley Score: クループの重症度分類[6][8]特徴各特徴に割り当てられた点数 クループは臨床的に診断される。[5] まず、クループ以外で上気道狭窄の原因として疑われる喉頭蓋炎や気道内誤嚥、声門下狭窄 頸部正面X線撮影は常用されないが、[5] 実施した場合、声門下狭窄により「steeple sign」(尖塔のように狭窄した主気管)と呼ばれる特徴的な気管狭窄が観察されることがある。
原因
ウイルス性
細菌性
病態
診断
012345
胸壁陥没無軽度中等度重度
喘鳴無興奮時安静時
チアノーゼ無興奮時安静時
意識レベル正常意識朦朧
Air入り正常低下顕著な低下
Size:61 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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