クリーヴランド管弦楽団
The Cleveland Orchestra
本拠地のセヴェランス・ホール
クリーヴランド管弦楽団(クリーヴランドかんげんがくだん、英語: The Cleveland Orchestra)は、アメリカ合衆国のオハイオ州クリーヴランドを本拠地とするオーケストラ。 「アメリカ5大オーケストラ("Big Five)」[1]の1つとして世界的に広く知られる。冬季はクリーヴランドのセヴェランス・ホール 1918年にアデラ・プレンティス・ヒューズにより、ニコライ・ソコロフを常任指揮者に迎えて創立された。 発足当初から、米国東部全体で演奏旅行を行い、ラジオ放送への出演やレコード制作にも取り組んできた。1960年代からは西海岸にも進出して演奏旅行を行なっている。 ジョージ・セルの20年以上に亘る音楽監督時代に、大幅な楽員入れ替えや猛烈なトレーニングにより、「セルの楽器」と呼ばれるほど空前絶後の精緻なアンサンブル能力を獲得し、それまでのアメリカの平凡な地方オーケストラの一つから、全米トップファイヴの一つに上り詰め、以来世界のトップオーケストラの一つとして評価される基礎を作った。 セルの没後、大幅に減少した定期会員を呼び戻し、皆無になっていたレコード会社との契約を3社にし、華やかなソリストを連れてきたのがロリン・マゼールである。ウィーンへ転出するまでの11シーズンに、厳しいトレーニングによりセル時代の規律を取り戻し、かつ馥郁たるプレゼンスをオーケストラにもたらした。このコンビは交響曲・オペラ・バレエのディスクで国内外の賞を獲得した。 マゼールの後任のクリストフ・フォン・ドホナーニはクリーヴランドに住居を構え、腰をすえて音楽監督の仕事にあたった。セルやマゼールが行ったようなドラスティックな改革こそないものの、古典から現代までのレパートリー拡張に努め、かつ鍛えに鍛えあげたアンサンブルを背景に戦後の米国オーケストラとして初めてヴァイオリン対向配置(両翼配置)をレギュラー化した。ドホナーニの任期中にホームのセヴェランスホールの3600万ドルに及ぶ大改装に着手した点も見逃せない。この改修工事によりクリーヴランドの聴衆はセルがコンクリートで覆い隠してしまったパイプオルガンを、数十年ぶりに舞台上に見ることが出来たのである。 歴代の音楽監督とともに残してきた膨大な録音点数に加えて、ウラディーミル・アシュケナージやオリヴァー・ナッセン、クルト・ザンデルリング、ヨエル・レヴィ、リッカルド・シャイー、マイケル・ティルソン・トーマスらとも録音活動に取り組んでいる。近年は、内田光子がレジデントプレイヤーに就任し、内田の弾き振りを含め、共演する機会が多い。 ※太字は音楽監督 来日公演における指揮者、おもなプログラム、期間については、以下の通り。
概要
沿革
歴代首席指揮者等
ニコライ・ソコロフ(常任指揮者1918年 - 1933年)
アルトゥール・ロジンスキ(1933年 - 1943年)
エーリヒ・ラインスドルフ(1943年 - 1946年) ※米陸軍に徴兵されたため、音楽監督としての実務は最初の1シーズンだけ
ジョージ・セル(1946年 - 1970年)
ピエール・ブーレーズ(音楽顧問:1970年 - 1972年)
ロリン・マゼール(1972年 - 1982年)
クリストフ・フォン・ドホナーニ(音楽監督:1984年 - 2002年、桂冠音楽監督:2002年 - )
フランツ・ウェルザー=メスト(2002年 - )
歴代コンサートマスター
ソル・マーコッソン(1918年 - 1919年)
ルイ・エドリン
アルトゥール・ベックウィズ
ジョセフ・フックス(1926年 - 1941年)
フーゴ・コルベルク(1941年 - 1942年)
トッシー・スピヴァコフスキー(1942年 - 1945年)
ジョセフ・クニッツァー(1945年 - 1946年)
サミュエル・サビュー(1946年 - 1947年)
ジョーゼフ・ギンゴールド(1947年 - 1960年)
ラファエル・ドルイアン(1960年 - 1969年)
ダニエル・マジェスケ(1969年 - 1993年)
マーティン・チャリフォー(1993年 - 1995年)
ウィリアム・プルーシル(1995年 - 1998年)
主な現役楽団員
ディビット・ラジンスキー(コンサートマスター、2022年 - )
ウェズリー・コリンズ(ヴィオラ首席奏者、2016年 - )
ジョシュア・スミス(フルート首席奏者、1990年 - )
エフェンディ・ユスフ(クラリネット首席奏者、2017年- )
マイケル・ザックス(トランペット首席奏者、1988年 -)
ポール・ヤンチッチ(ティンパニ、1981年 - )
ジョエラ・ジョーンズ(鍵盤楽器、1970年 - )
杉山康人(チューバ首席奏者、2006年 - 元新日本フィルハーモニー交響楽団奏者)
真覚多佳子(ヴァイオリン、1985年 - )
来日公演
1970年5月15日‐5月26日 セル指揮→シベリウス「交響曲第2番」、ベートーヴェン「交響曲第3番」、ブーレーズ指揮→ストラヴィンスキー「火の鳥」
1974年5月19日‐6月1日 マゼール指揮→ベートーヴェン「交響曲第4番」&「交響曲第5番」、ベルリオーズ「幻想交響曲」、ラヴェル「ダフニスとクロエ(全曲)」、ガーシュウィン「パリのアメリカ人」