クリーピー_偽りの隣人
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クリーピー
CREEPY
著者
前川裕
イラスト坂野公一+吉田友美(welle design)
発行日2012年2月20日
発行元光文社
ジャンルサスペンス
日本
言語日本語
形態四六判上製カバー装
ページ数328
次作クリーピー スクリーチ
コードISBN 978-4-334-92808-7
ISBN 978-4-334-76708-2文庫本

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『クリーピー』は前川裕による日本小説。第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

募集は2011年5月10日に締め切られ、応募総数157編の中から本作と川中大樹『サンパギータ』が選出された。最終選考委員は綾辻行人近藤史恵今野敏藤田宜永の4名。[1]

2016年4月12日に続編『クリーピー スクリーチ』が刊行された[2]
あらすじ

東洛大学で犯罪心理学を教える大学教授の高倉は、高校の同窓会でおよそ30年ぶりに再会した警視庁捜査一課の警部・野上誠次と改めて会う。彼は最近、殺人事件の時効撤廃によって改めて捜査態勢を見直すことになった8年前の日野市一家三人行方不明事件の専従を命じられ、その事件の生き残りである本多早紀の証言に信憑性があるかどうかを高倉に判断してほしいと依頼してきたのだった。しかし事件のことより、空き地やアパートの存在によって孤立したような区画になっている高倉の生活環境に興味を示し、「こんな環境だと近所の家族が別の人間と入れ替わっていても、誰も気が付かないこともあるんじゃないか」などと言い出す野上に、高倉は真意をはかりかね困惑する。

高倉の隣の家には西野昭雄という中年男性が中学生くらいの娘・澪と住んでいた。しかし高倉の妻・康子は以前から西野が娘を見る目つきがおかしい、最近は夜中に泣き声が聞こえる気もすると気にしていた。向かいの家に住んでいる田中母娘に聞いてみると、西野は10年くらい前から住んでいて、当初は妻もいたし息子もいたはずだというが、今はその2人を見ることも無い。野上の本当の目的は西野を探ることだったのか?そんな高倉の疑問を裏付けるかのように、数日後、高倉の研究室を訪れた警視庁所属の谷本刑事によって、高倉の家を訪問した後に野上が行方不明になっていることを知らされ、その後、田中母娘の家が火事になり、焼け跡から頭を拳銃で撃ち抜かれた田中母娘の遺体と、野上の遺体が発見される。高倉は、田中家が燃え上がる様子を見ていた西野の冷たい表情に「情勢欠如」という言葉を思い浮かべていたが、ある日の夜中、高倉家に「あの人は本当の父親ではない」と訴え逃げ込んできた澪を包丁を持って追いかけてきた西野の様子も明らかに常軌を逸していた。警察を呼ぶが、未成年者略取だと西野が訴えたため、逆に高倉たちが警察に事情を聞かれるはめになってしまう。澪は児童相談所に保護されたが、谷本に連絡したことでなんとか解放された高倉たちが児童相談所で改めて澪に事情を聞こうとした矢先、西野は事務室の女性や所長、康子を刺して無理矢理澪を連れ去ってしまう。そして自宅に戻った高倉を待っていたのは、片脚を切り落とされた女性の遺体だった。遺体は澪の母親・信子のものであると判明し、パソコンには「プレゼント」というタイトルで「これ以上首をつっこむな」という警告メールが送られてきていた。

西野と名乗る男と澪はそのまま行方知れずとなったが、クラシックピアニストで野上の元妻である河合園子から高倉の元に手紙が届く。高倉が訪ねると、園子は野上に腹違いの姉兄がいたこと、そのうちの兄・矢島善雄に悩まされてきたことなどを打ち明け、最後に野上から送られてきたという手紙を託す。手紙には、野上が矢島の借金の保証人にならされたり、矢島が経営していた会社のために警察権限で調べものをさせられていたことなどが打ち明けられていた。この手紙によって西野昭雄=矢島善雄と断定され全国指名手配扱いとなり、神奈川県三浦海岸沖で西野澪の兄・西野進が、岐阜県の漬物工場跡地の納屋から本物の西野昭雄の白骨遺体が発見されるが、肝心の矢島はやはり見つからずじまいだった。

そんな中、康子の元に、高倉と担当するゼミの女子学生・影山燐子の2ショット写真が送られてくる。以前2人でエレベーターに乗った時に一緒に乗ってきた怪しげな男…あれがやはり、前から燐子に積極的に近づき、卑猥なメールも送ってきていた同じゼミの大和田で犯人だと思った高倉だったが、本人は否定する。ただし、最近彼の隣の部屋に引っ越してきた増田という男に求められてゼミ生のメールアドレスのリストを見せたというので3人で増田を直撃したところ、なんと増田は探し求めていた矢島であった。しかし矢島はナイフを持ち出し、大和田を刺して逃走する。

10年後。結果的に教え子を巻き込み亡くしてしまった責任を感じた高倉は東洛大学を辞め、福岡県の女子大の文学部特任教授になっていた。ある日手にとったチラシに書かれていた「河合優」という名前が気になってそのピアノリサイタルへ行くと、そこに出演していたのはやはり河合園子の娘であった。しかしその顔に園子の面影を見つけられない高倉は、改めて野上の手紙について谷本に話を聞きに行き、ある可能性に思い当たる。そして河合優に実際に会い、予想通り彼女が澪だと確信した高倉は園子に再び会い、矢島の行方、そして事件の真相を知る。
登場人物
高倉(たかくら)
西新宿にある東洛大学文学部教授で専門は犯罪心理学。46歳。テレビに出演することもあるため、世間的にもそこそこ知られた存在。JR荻窪駅から約15分の距離にある典型的な住宅街に夫婦2人で住んでいる。子供はいない。183cmほどの長身で、高校のクラスの中でも1,2位を争うほどだった。ペーパードライバー。事件後は家を壊し、土地を売って中野駅近くの3DKマンションに引っ越したが、自身は福岡の女子大の文学部特任教授となったため、平日は福岡市のウィークリーマンションに滞在し、週末に東京に帰るという生活スタイルをとる。
康子(やすこ)
高倉の妻。高倉より6歳年下で、40歳になったばかり。実家は目黒で、千葉県に兄夫婦が住んでいる。ペーパードライバー。
西野 昭雄(にしの あきお)
高倉家の西隣に住んでいるおしゃれな中年男性。綺麗に切りそろえた口髭・細いフレームの金縁眼鏡がトレードマークで、強いバイタリス(70年代に1番流行ったリキッド)の臭いがする。薄いサーモンピンクのトヨタ・プラッツに乗っている。現在は「オリエント協会」理事を名乗っている。
西野 澪(にしの みお)
西野昭雄の娘。髪の短い男の子のような印象。元々は快活で成績が良く、ピアノが大好き。「あの人、お父さんじゃありません」と言って今の父親が別人であると康子に助けを求める。
影山 燐子(かげやま りんこ)
高倉のゼミの学生。


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