この項目では、クリスマスの前夜について説明しています。その他の用法については「クリスマス・イヴ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
「聖夜」はこの項目へ転送されています。『聖夜』という訳題でも知られるクリスマス・キャロルについては「きよしこの夜」を、コレッジョの絵画については「聖夜 (コレッジョ)」をご覧ください。
『クリスマス・イヴ』1904年 - 1905年、 スウェーデン人画家のカール・ラーション(1853年 - 1919年)による水彩画。
クリスマス・イヴ(英: Christmas Eve)は、「クリスマスの夜」である。教会暦における12月25日の夜、すなわち常用時における12月24日の夜を指す英語の音訳である。ただし現在もユリウス暦を用いる教会では、現行のグレゴリオ暦の1月6日(常用時)の夜を指すことになる。
日本では、誤って「クリスマス(12月25日)の前夜」と認識されることが多い。日常会話では単に「イヴ」(またはイブ)と呼ばれることがある。 「イヴ」(eve
語源・表記
日本語の表記は「クリスマス・イヴ」とも「クリスマス・イブ」ともされる。
日付教会暦におけるクリスマスの日付。黄色が12月24日、緑色が12月25日を表す。常用時とは異なり、教会暦の日界は日没であるため、24日(常用時)の日没から25日(常用時)の日没までが12月25日、即ちクリスマスである。クリスマス・イヴは24日(常用時)の日没から24日(常用時)の24時(=25日の0時)までである。
ユダヤ暦およびそれを継承する教会暦では、常用時における日界(正子すなわち0時)とは異なり、日没が日界(日付の変り目)である[1][2]。したがって、この暦を採用する教会では、12月24日(常用時)の日没から12月25日(教会暦)が始まるので、この日没時から正子までがクリスマス・イヴである。そしてクリスマスの一日は12月25日(常用時)の日没に終わることになる。12月25日(常用時)の日没以後は12月26日(教会暦)である[注 1]。
つまり、「クリスマス・イヴ」とは「クリスマスの前夜」ではなく、その言葉の通り、まさに「クリスマス当日の夜」なのである(日#一日の始まりも参照)[3][4][5]。ただし、キリスト教国(en:christendom)においても常用時の概念を用いて「クリスマスの前夜」と説明することがある[6]。転じて、俗に12月24日全体を指すこともある[7]。
カトリックの典礼暦の日界も日没である[8]。重要な祭日や主日(毎週日曜日)の典礼と同様に、クリスマスは12月24日(常用時)の「晩の祈り」から始まる。この時点から正子(24時)までがラテン語: vigiliaと位置づけられている。24日(常用時)の晩には固有のミサが存在するが、日本などでは夜半ミサを前にずらして24日(常用時)の夜に行うことがほとんどで、前夜ミサが行われることは皆無に近い。
正教会では24日(常用時)の夜に翌日(25日)の聖体礼儀を準備する晩祷が行われる。ただし、ユリウス暦を現在も使用する教会(エルサレム総主教庁、ロシア正教会など)では、グレゴリオ暦とユリウス暦の間に現在13日のずれがあるため、クリスマス・イヴは1月6日(常用日)の日没?正子であり、クリスマスも翌1月7日である。
教会での祭正教会(ポーランド正教会)の降誕祭奉神礼の模様。中央にディキリとトリキリを持つ主教。ニューヨークにある聖公会の聖堂でのイヴ礼拝の模様
教会においては、クリスマス・イヴに多くの教派(正教会[9]・聖公会[10]・プロテスタント[11])で晩の礼拝が行われる。前述の通り日没を日界としている教会暦では12月24日(常用時)の晩は、12月25日(教会暦、クリスマス当日)であるため、直ぐに最初のクリスマス礼拝が行われる。