クリスマスブーツ
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クリスマスブーツのイラスト

クリスマスブーツ(Christmas Boots)は、日本クリスマス商品の1つ。赤いブーツ型の容器に菓子などを詰めた物[1]

サンタクロースクリスマスツリーとは異なり、日本発祥で日本独自の物とされる[2][3]1950年代中期[4]昭和30年代初期、異説あり[5])に販売が開始されて以来、日本中で一定の人気を保っている[6]。菓子製造業など多くの業界にとって、クリスマスケーキなどと共に、クリスマス時期の定番商品の1つである[1][6]
歴史

滋賀県草津市草津駅西口商店街にある包装容器製造卸・株式会社近商物産によれば、戦後しばらく後に初代社長らが、銀紙を巻いた紙製のブーツに菓子を入れてクリスマス商品として売り出すこと[6]、または、クリスマスツリーの装飾品の靴下やブーツを見て、それを大きくして菓子を入れることを発案して[2]、大手菓子メーカーを回ったことで、クリスマスブーツ製造を始めたという[6]。ツリーに飾られた靴下やブーツは、サンタクロースの起源とされるミラのニコラオスが貧しい女性たちのため、干してあった靴下に金貨を入れたという謂れから、クリスマスツリーにブーツや靴下を吊るす習慣に由来する[7](クリスマスの靴下(英語版)も参照)。各メーカーは在庫商品も盛り込めることで、同社のブーツに自社菓子を詰めて売り出した[6]

最初の製造時期は、草津市によると1957年(昭和32年)頃とされるが[4][8][9]、それより前の1955年(昭和30年)[10]、または1947年(昭和22年)との説もあり[5][11][12]、明確な文献資料は確認されていない[5]

菓子を詰めたクリスマスブーツは、登場当初は爆発的な売上を記録した[10]クリスマスケーキを買うほどの余裕のない家庭でも購入することができ、様々な大きさのブーツがあるために金銭的な都合に応じた物を選ぶことができることも、人気の要因となった[13]。その後は日本全国に広がり、クリスマスの菓子売り場の風物詩[10]、クリスマスケーキ同様の12月の定番商品として定着した[6]。プレゼントとしての気軽さも、定着に繋がった[14]。昭和30年前後には袋詰め菓子の登場により種類も増え、高度経済成長期と共に日本中の家庭に広がった[6]。昭和30年代には1個が350円から600円程度で売られていた[6]JR草津駅構内。草津市がクリスマスブーツの発祥であることがアピールされている。

こうした経緯から草津市、および同市と友好交流協定にある福島県伊達市では、草津市をクリスマスブーツの発祥としている[8][15][16]。もっとも近商物産は、同社がクリスマスブーツを日本に広めたことは認めているものの[15]、先述の通り、当時の経緯を証明する文献が残されておらず、当時のクリスマスブーツも残っていないため、伝聞でしかわからないという[2]

近商物産でのブーツの出荷は、最盛期の昭和後半は300万本であった[6]2009年平成21年)から2013年(平成25年)にかけても、年間200万本以上の出荷があった[6][17]。業界の半数近くのシェアを占めており[6]2017年(平成29年)時点においても、日本国内シェアのトップを守り続けている[4]。ブーツの大きさや形は、販売開始当時からほとんど変化していない[2]2010年代以降においても、1つ1つが手作りで作られており[18]、毎年1月から作り始めないと間に合わないという[17]

他に1960年代頃からクリスマスブーツを作り続けている老舗として、大阪府東大阪市の株式会社浪花堂がある。当時の社長が造花や店内装飾を担当していた時代、クリスマスの装飾の1つとして菓子容器を作る話があったのがきっかけであり、最初はアルミ箔による銀色の靴だったが、後にプラスチック製になったという[2]。年間10万個が製作されており、クリスマスブーツ以外は製作されていない[19]

近商物産によれば、以前はサンタクロースをあしらった、綿や光輝く装飾のブーツが多く[2]、そうした装飾の物が売れ筋傾向にあった[6]。後の2000年代以降は、単にブーツに菓子などを詰めただけの基本的なブーツは需要が落ちる傾向にあり[2]、その一方でディズニーや人気テレビ番組のキャラクターなどの絵柄をつけた物が主流となっている[2][6]。旧来の菓子が廃れた理由には、大手菓子メーカーの多くが、本来業務を外れた菓子詰め作業が負担になったことも挙げられる[6]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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