クリケット
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、球技について説明しています。その他の用法については「クリケット (曖昧さ回避)」をご覧ください。

クリケット
クリケットの試合風景 ベージュ色の線がピッチ。右側で黒いズボンを着用しているのが審判。
統括団体国際クリケット評議会
起源16世紀前半
イングランド
特徴
身体接触無
選手数グラウンド上:11人
男女混合男女別
カテゴリチーム競技、屋外競技、バットアンドボール
用品クリケットボールクリケットバットウィケットスタンプベイル
実施状況
オリンピック1900年2028年(予定)
テンプレートを表示

クリケット(: cricket、英語発音: [?krikit] )は、クリケットバットクリケットボールを用いて1チームが11人の計2チームの間で行われるスポーツ球技)である。中国語表記や和名は板球。長径140メートル程の楕円形のフィールドの中で、長さ20メートル程の長方形のピッチを中心に各チームが交互に攻撃と守備を行い、得点数の優劣に基づいて勝敗を競う。国際クリケット評議会(ICC)の発表によると、世界の16歳以上の競技人口は3億人以上である[1][注 1]
概要

クリケットは16世紀にイングランド南部で始まったスポーツの一種であり、最初の競技規則は1744年に制定された[2]。18世紀末までには、イングランドの国民的スポーツへと発展し、大英帝国の拡大によって海外でもプレーされるようになった。初の国際試合は1844年アメリカニューヨークで開催された[3]イギリスで発祥したスポーツであるため、英連邦諸国で高い人気を誇り、インドパキスタンバングラデシュなどインド亜大陸では最も人気のあるスポーツである。インドでは圧倒的に一番人気スポーツであり、他のスポーツを大きく引き離している[4]。伝統的にオーストラリアニュージーランド南アフリカジンバブエアフガニスタン西インド諸島でも人気がある。北米中東にもプロリーグがあり、100カ国以上でプレーされている[5]国際クリケット評議会(ICC)の調査によると、世界の16?69歳のクリケットファンは10億人を越えており[1]、全年齢では推定25億人である[6][7]

全面芝のフィールドでプレイされ、試合中にはティータイムもある。その優雅な雰囲気から別名「紳士・淑女のスポーツ」といわれる[8]。イギリスでは上流階級がたしなむスポーツとされており、格式や伝統あるエリート校の体育ではクリケットは必修種目とされている[8]。1805年に開始されたイートン校ハロウ校との間で毎年開催される定期戦は、世界で最も歴史の長いスポーツイベントの一つであり、クリケットの聖地と呼ばれるローズ・クリケット・グラウンドで200年以上行われている[9]オックスフォード大学ケンブリッジ大学との間で毎年開催されている定期戦も200年近くの歴史がある[10]イギリス王室と歴史的に深く結びついており、大英帝国勲章ナイトの称号を授与されたクリケット選手はスポーツ界の中で特に多い[11]

2023年現在、12の国・地域の協会がクリケットの統括団体であるICCの正会員であり、96の国・地域が準会員である[12]クリケット・ワールドカップは200以上の国・地域で視聴されており[13]FIFAワールドカップ夏季オリンピックに次いで世界で3番目に視聴者数の多いスポーツイベントである[14]世界選手権大会は他にT20ワールドカップ女子クリケット・ワールドカップ等がある。2022年の男子T20ワールドカップでは、ICCの動画配信プラットフォームにおいて65億8000万回の視聴回数を記録した[15]

世界の競技人口は16歳以上で3億人を越えており、16歳未満も含めれば更に加算される[1]。世界的な競技人口やファン人口が多いことから、サッカーに次いで2番目に人気の高いスポーツである[16][17]。一方で世界のクリケットファンの大半をインド亜大陸で占めていることから、地域的な人気の偏りが強い[18]日本クリケット協会によると、日本の競技人口は約4,000人であり[19]、人気や認知度は低くマイナースポーツとされている。ただ日本には早い時期に伝わっており、幕末の1863年に日本で最初のクリケットの試合となった横浜商人とイギリス海軍の試合が横浜で行われた[8]。また、プロ野球・横浜DeNAベイスターズの本拠地でもある横浜スタジアムの前身・横浜公園平和野球場は元々1876年に居留外国人向けにクリケットグラウンドを開設したことに起因している[20]。アメリカでは英領アメリカ時代の1709年から言及が始まり、1861年に起きた南北戦争以前は一番人気のスポーツだったが、19世紀後半に野球やアメリカンフットボールなど後発のアメリカ発祥のスポーツの発展により衰退した[21][22]。しかし、近年はアメリカで新プロリーグが創設されるなど徐々に人気が復活している[23]攻撃側のバッターサチン・テンドルカール)と守備側のウィケットキーパーおよび2人のフィールダー

国際公式試合はテスト・クリケットワン・デイ・インターナショナル(ODI)、トゥエンティ20(T20)の3形式がある[24]。これらの試合はICCによって承認された規則と規制に基づいて行われる[24]。テスト・クリケットは1877年に国際試合が開始された伝統的な形式で、現在は2イニング制の5日間に渡って行われる。正会員の12のナショナルチームしか行うことができない[24]。多くの国際試合は2カ国の間で行われるテストマッチシリーズであり、イングランド代表オーストラリア代表ジ・アッシズが有名である。ワン・デイ・インターナショナル(ODI)は、1971年に国際試合が開始された規定投球数が50オーバー(300球)[注 2]ずつの1イニング制であり、7時間程度で試合が終了する形式である。1975年に開始されたクリケット・ワールドカップはこの形式であり、正会員とODIの試合を行う権利を得た一部の準会員のナショナルチームしか行うことができない。トゥエンティ20(T20)は、2003年にイングランドの国内リーグで導入され、国際試合では2005年に開始された規定投球数が20オーバー(120球)ずつの1イニング制であり、3時間程度で試合が終了する形式となる。全ての準会員を含めた100以上のナショナルチームで行うことができる[24]。これにより夜のプライムタイムに試合を開始することも可能になり、この形式のプロリーグが世界で急速に普及した。世界最大のプロリーグは2008年に発足したインドのインディアン・プレミアリーグ(IPL)であり、世界のトップクラスの選手の多くはこのリーグでプレーしている。IPLは2023年から5年間の放映権を総額4839億ルピー(約8470億円[25])で契約しており、1試合当たりの放映権料は世界のプロスポーツリーグでNFLに次いで2番目に高額である[26]。オーストラリアのビッグ・バッシュ・リーグや西インド諸島のカリビアン・プレミアリーグも高い人気がある。アメリカでは2023年にメジャーリーグクリケット(MLC)が開幕した。また、女子のT20形式のプロリーグも急速に発展しており、インドでは2023年に女子プレミアリーグ(WPL)が開幕した。WPLはバスケットボールのWNBAと並び、女子プロスポーツリーグとして世界屈指の経済規模がある[27]

オリンピックでは1900年のパリ大会においてクリケット競技が1度だけ行われたが、2028年ロサンゼルスオリンピックで再び実施されることが2023年のIOC総会で決定した[28]。男女2種目のトゥエンティ20(T20)形式で行われる予定である[29]。オリンピック参加に長い間消極的だったこともあり、1世紀以上に渡って実施されなかった。特に強い発言力を持つとされるイングランド・ウェールズクリケット委員会インドクリケット管理委員会は、長期においてオリンピック参加に反対の立場をとっていた[30]。しかし、近年はクリケットを再びオリンピック競技にしようとする動きが高まっていた[31]。ICCは2021年、ロサンゼルス大会をターゲットとして推進する意向を表明し[32]、その2年後に同大会でのオリンピック復帰が決定となった。LA28大会組織委員会のワッサーマン委員長は、クリケット採用に関し、「25億人のファンを有するスポーツを我々の都市にもたらす好機」と述べた[33]クリケットバット

クリケットの競技規則は、メリルボーン・クリケット・クラブ(MCC)が管理しているクリケット法を基準としている。試合は1チーム11人の2チームによって交互に攻撃と守備を1回ずつの1イニング制、または2回ずつの2イニング制で行われる。守備側が攻撃側から10アウトを取るか、規定投球数を投げ切るかで攻守交代となる。試合を行うフィールド[注 3]は長径140メートル程の楕円形であり、その中央には長さ22ヤード(20.12メートル)の長方形のピッチがある。

主な得点方法は攻撃側の選手(バッター[注 4]が守備側の選手(ボウラー)の投げたボールバットで打ち、その間に2人の攻撃側選手がピッチの反対側まで走り、守備側の返球でウィケットと呼ばれる杭を倒されるよりも早く、2人とも体の一部かバットがクリースと呼ばれるラインを越えると1点となる[8]。また打球がフィールド境界線のバウンダリーをゴロで越えると4点、ノーバウンドで越えると6点となる[8]。主なアウトの方法はボウラーが投球によってウィケットを倒すことや野球のフライアウトのようにバッターの打った飛球をグラウンドに着く前にキャッチすることである[8]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:238 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef