クラッシャージョウ
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クラッシャージョウ
ジャンル
冒険[1]アクション[1]スペースオペラ[2]
小説
著者高千穂遙
イラスト安彦良和
出版社朝日ソノラマ
早川書房
レーベルソノラマ文庫
ハヤカワ文庫
刊行期間1977年11月1日 -
巻数既刊16巻(本編13巻+別巻3巻)
(2022年2月現在)
映画:クラッシャージョウ(CRUSHER JOE)
原作高千穂遙
監督安彦良和
脚本高千穂遙、安彦良和
キャラクターデザイン安彦良和
メカニックデザイン河森正治
音楽前田憲男
制作日本サンライズ
製作吉井孝幸
配給富士映画
封切日 1983年3月12日
上映時間132分
OVA:クラッシャージョウ
原作高千穂遙
監督滝沢敏文
脚本五武冬史
キャラクターデザイン安彦良和
メカニックデザイン河森正治、石津泰志
音楽奥慶一
アニメーション制作サンライズ
発売日1989年2月5日、1989年6月5日
話数2話
漫画:クラッシャージョウ
原作・原案など高千穂遙
作画細野不二彦
出版社朝日ソノラマ

その他の出版社
メディアファクトリー

掲載誌マンガ少年
レーベルサンコミックス
発表期間1979年 - 1983年
巻数全1巻
漫画:クラッシャージョウ
原作・原案など高千穂遙
作画このま和歩
出版社講談社
掲載誌コミックボンボン
発表号1982年12月号 - 1983年4月号
話数全5話
漫画:クラッシャージョウ REBIRTH
原作・原案など高千穂遙(原作)
安彦良和(キャラクター原案)
作画針井佑
出版社講談社
掲載誌イブニング
レーベルイブニングKC
発表号2017年19号 -
発表期間2017年9月12日[3] -
巻数既刊5巻(2022年2月22日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ文学

『クラッシャージョウ』は、高千穂遙による日本SF小説。イラストは安彦良和が担当している。ソノラマ文庫ハヤカワ文庫朝日ソノラマ早川書房)より1977年11月から刊行されている。第11回星雲賞日本短編部門賞受賞作品[2]。1970 - 1980年代の日本におけるスペースオペラ草分け的存在である[4]

1983年に劇場用アニメーションが公開され、1989年にはOVAが制作された。またコミカライズも何度も行われている[5]
あらすじ

舞台は22世紀、2160年代の宇宙空間。西暦2111年、人類はワープ機関を完成させる。以後、宇宙開発は一気に加速、他の恒星系への進出が進む。しかしそれには、宇宙航路の整備、移住先の惑星の環境調整など、難題が山積していた。西暦2120年頃、そうした荒事を専門に請負う者たちが出現を始める。それがクラッシャーと呼ばれる人々だった。彼らは膨大な数の惑星を居住可能なものに改造し、人類の銀河開発の尖兵となった。西暦2129年の惑星トプロスの独立宣言を皮切りに、惑星国家の時代が到来。西暦2134年、独自の宇宙軍を保有する銀河連合設立。西暦2143年、地球連邦はそれまで惑星単位だった国家の規模を太陽系単位に改め、あらたに太陽系国家ソルとして生まれ変わった。これをきっかけに、人類の歴史は1つの太陽系を1つの政治国家とする太陽系国家の時代へと変わっていくと同時に、太陽系単位の改造は急ピッチで進んだ。それから20年近く経過し、8000の太陽系国家が連合に加盟し、銀河は安定と繁栄の頂点を迎える。しかし、その影では非合法組織や宇宙海賊もその勢力を延ばしていた。惑星改造を主な仕事としていたクラッシャーは、そうした荒くれ者とのもめ事も引き受けるようになっていく[4]
設定

「クラッシャー」とは、宇宙時代に登場した「何でも屋」的な宇宙生活者のことである。もともとは惑星開発に従事し、テラフォーミングや航路の障害物の破壊を行なっていたため、「壊し屋=クラッシャー」と呼ばれるようになった。護衛・危険物の輸送・人命救助、そのほか、犯罪以外なら報酬次第で何でも引き受けるため、人によってはただのならず者と見なすこともある。しかし、実際は非合法なことはやらず、自分の仕事を完璧にやり遂げるために様々な技術や専門知識を身につけた宇宙のエリート集団である。

シンボルマークは「流星マーク」と呼ばれる、3本の光条を引いて飛ぶ山吹色の流星。チームシンボルはこれにリーダーのイニシャルの飾り文字を組み合わせる。チームのメンバーは「クラッシュジャケット」と呼ばれる共通のデザインの制服を着用している。このジャケットはメンバーごとに上衣の色が異なり、個人識別に使用される[注釈 1]。また防弾耐熱で気密性も高いことから簡易宇宙服潜水服にもなり、様々な隠し武器も装備されている。

主人公ジョウとその仲間達はそのクラッシャーのチームのひとつとして様々な事件に挑む。

後述するドレーク、エギルやダーナ以外にも、劇中には幾つかのクラッシャーのチームが登場する。映画版とそのノベライズ版『虹色の地獄』には惑星改造などの大技を得意とするクラッシャーケビン[注釈 2]が、『虹色の地獄』には危険物輸送のエキスパートであるクラッシャーガレアが登場する。
登場人物

声はアニメ版。
ジョウ
- 竹村拓[6]惑星アラミス出身。西暦2142年生 19歳 身長180センチメートル、体重75キログラム。「ミネルバ」の責任者で副操縦士並びに火器管制担当。ジャケットは青。ただし、他のメンバーとは異なり、袖は白である。生え抜きのクラッシャーで、若年ながらチームリーダーを務める。スペースシャトルに酷似した外観をもつ専用宇宙船「ミネルバ」を拠点に活動する。父親はダン、母親はユリア。ユリアはジョウを出産して間もなく亡くなっている。若くして特Aクラスのクラッシャーとなった技量の持ち主。また、ダン譲りの勇気も持ち合せている。リッキーからは「兄貴」と呼ばれている。後にアルフィンと結婚し、タクマという息子をもうけた。
アルフィン
声 - 佐々木るん[6]連帯型惑星ピザン出身。西暦2144年生 17歳 身長163センチメートル、体重48キログラム。「ミネルバ」の航法士。ジャケットは赤。王制を敷いているピザンの元王女。父親はハルマン3世、母親はエリアナ。ただし選挙君主制な上に、候補者たる満3歳の全国民に対し一斉に行われる適性検査[注釈 3]で不適格とされたため王位継承権は無い。ミニグラマーで金髪碧眼、ミス・ギャラクシー級の超美少女で、『ワームウッドの幻獣』では実際にミスコンに出場している。とんでもないお転婆娘でしかも酒乱癖がある[注釈 4]ため仲間、特にリッキーを恐れさせている。ピザン軍の技術将校ガラモスがクーデターを起こし全権を掌握した際、銀河連合へ助けを請うべく独り小型ロケットで脱出させられたが、燃料切れを起こして漂流している所をジョウたちに救われ、ピザンの解放を依頼する。ガンビーノ亡き後、押し掛けで彼らの仲間になった。積極的にジョウにアタックするものの、なかなか良い雰囲気にはならない。後にジョウと結婚し、タクマという息子をもうけた。
タロス
声 - 小林清志[6]地球出身。西暦2109年生 52歳 身長209センチメートル、体重132キログラム。「ミネルバ」の機長。ジャケットは黒。ジョウの父ダンの片腕を務めていた超ベテランクラッシャー。度重なる名誉の負傷から体の80%以上を機械化したサイボーグ[注釈 5]。おかげで、若い頃は男前だった外見が、今ではほとんどフランケンシュタインの怪物と化していると評される。左腕にはガトリング砲を内蔵[注釈 6]。凄腕のパイロットで、連合宇宙軍からもスカウトの声がかかった程の操船技術を誇る。ダンの信頼も厚く、彼の引退時には盟友ガンビーノと共に若いジョウの後見役を仰せつかって仲間となった。当初は疲れ知らずのタフ・ガイだったが、物語が進むにつれてやや設定が変わり、後期の作品では鈍重でスタミナのないウドの大木的な扱いをされることが少なくない。なお、両親については、なぜか語ろうとはしない。リッキーのことを映画版では、「足手まとい」「ガキ」「世間知らず」「単細胞」「チビ」「坊っちゃん」と呼んでいるが、「旦那」と呼んで煽てたこともある。
リッキー
声 - 小原乃梨子[6]惑星ローデス出身。西暦2146年生 15歳 身長140センチメートル、体重36キログラム。「ミネルバ」の機関士。ジャケットは緑。孤児であり、ストリートキッドとして育ったためか、体格は小柄で、非力ではあるがすばしこく、小さな穴でも平気でくぐる。ジョウたちの船へ忍び込んでクラッシャーになった。タロスとは年代差を越えた喧嘩友達で、大人と子供以上の体格差があるにも関わらず、果敢に喧嘩を挑む。映画版でも、「オタンコナス」「木偶の坊」などと呼んでいるシーンがある。しょっちゅうタロスと喧嘩してはアルフィンにこっぴどく怒鳴られるのが常である。アルフィンが酒乱モードに入った時には、タロスと共に甚大な被害を受ける。アルフィンがミネルバに密航し、仲間になりたいと申し出た時には、自分の前例を根拠に賛成し、渋るジョウを説得したためにアルフィンが仲間になれたという功績を持つ。いつもアルフィンには酷い目に合わされているが、二人は所謂B級映画には目がない、という意外な面もある。なお、機関士とは、本来新入り用のポジションであるとのこと。『悪霊都市ククル』は、彼の故郷が舞台である。他にも後期の作品では見せ場が回ってくることがやや多くなってきている。また、『ガブリエルの猟犬』で、成長期に入り体格が大きく変わったことも触れられている。なお、最初の劇場用アニメ化の際に容姿が大幅に変更されている。
コワルスキー
声 - 納谷悟朗[6]連合宇宙軍大佐巡洋艦(映画版では重巡洋艦)「コルドバ」の艦長。映画版では第三特別巡視隊司令を務めている。頑固で融通の利かない典型的な職業軍人で、クラッシャーをならず者と見做している。また、20年にも及ぶ軍人生活を宇宙海賊の撲滅に尽力しているが、これは海賊に同僚を殺されたことによる。ジョウたちを宇宙海賊容疑で逮捕し、しつこい取り調べでジョウを辟易させる。原作では『撃滅!宇宙海賊の罠』と『銀河系最後の秘宝』、別巻『コワルスキーの大冒険』に登場。『銀河系最後の秘宝』で乗艦もろともブラックホールに吸い込まれる。ジョウ達には殉職したと思われていたが、実は生存しており、『コワルスキーの大冒険』で未知の宇宙で部下と共に活躍する。『クラッシャージョウ REBIRTH』の『銀河系最後の秘宝』編では、必ず戻るとの言葉を残してオオルル人と共に異なる宇宙へと旅立った[7]。『コワルスキーの大冒険』に登場した、部下で機関長のリュミノ少佐が語るところでは、普通ならば戦艦の艦長になっている筈の人物だが、「短気で、直情型で、馬鹿馬鹿しい位に正義にこだわり、上の命令を平気で無視する」「海賊相手の戦功で出世したが、任されるのは重巡洋艦止まり」とのことである。映画版とそのノベライズ『虹色の地獄』ではジョウたちを犯罪者とみなして追う役ながらも憎めない人物として活躍する。なお、演じた納谷は、『クラッシャージョウ大研究』で、「コワルスキーのイメージが僕にとってはなんとなく銭形なんですね。なじみやすい感じですね」とコメントしている。
バード
声 - 小林修[6]「アトラス」の元機関士。連合宇宙軍中佐。偵察艦(特殊工作船)「ドラクーン」の艦長。元はダンの仲間の一人で「アトラス」の優秀な機関士だったが、タロスと奪い合っていたケイと結婚するために危険なクラッシャー業から足を洗っており、彼の後に、クラッシャードレークがチームに在籍していた時期があった[注釈 7]。しかし、短い新婚生活で彼女を失い、その後は義父の薦めで連合宇宙軍に入隊した。「なるべく危険な任務を」志願した結果、現在は情報部2課所属、階級は中佐で「ドラクーン」の艦長をも兼任しているが、ジョウたちの巻き添えを食う形で艦を三度失っている。映画版とそのノベライズ『虹色の地獄』では運送業者に扮しており、「ドラクーン」も民間の貨物船に偽装している。
ダン
声 - 久米明[6]最初にクラッシャーと呼ばれた男。ジョウの父親。クラッシャー評議会議長。62歳。クラッシャーの黎明期に勇名を轟かせたが、ある事件で失敗し重傷を負って脱出不可能になった時、当時10歳だったジョウに命を救われたことで体力の限界と時代の変化を悟って引退[注釈 8][注釈 9]。現在は惑星アラミスでクラッシャー評議会議長として、後進の指導とクラッシャーの地位向上運動に専念している[注釈 10]。「アトラス」での愛称はおやっさん[注釈 11]。ほぼ同時期にデビューし、クラッシャーダーナ率いる“地獄の三姉妹”を娘にもつクラッシャーエギルとは、現在も公私にわたり良きライバルである。また、『銀河帝国への野望』で登場した、ド・テオギュール銀河連合首席とは、銀河開拓時代からの親友である。なお、彼の専用宇宙船「アトラス」は、ジョウの「ミネルバ」とほぼ同型の水平型宇宙船で、外見上の相違点は尾翼がミネルバの2枚に対して1枚であること。『銀河帝国への野望』で失われる。なかなかの策士であり、ジョウが気がつけばダンの手のひらで踊らされていたことが度々ある。
ドンゴ
声 - 二又一成[6]惑星ドルロイ製。T:112.5センチメートル W:121キログラム。ジョウ達のサポートロボット(Type : MAB 8945-GP)。ジョウらが船外で活動する際は留守居役、また戦闘で損傷した「ミネルバ」等の修理担当を務める。「ミネルバ」を操縦して駆けつけ、チームのピンチを救うこともしばしばである。ユニークな外見に似合わず、技術惑星ドルロイの優秀なテクノロジーの粋が結集されている。元々はダン達の宇宙船「アトラス」のために作られ(『ドルロイの嵐』でザルバコフ技師長からプレゼントされた)、ダンの引退後にジョウの「ミネルバ」へ。バードいわく「人情のある」ロボット。口癖(?)は「キャハ」。映画版では留守番中エロ本を読んでいた。
ガンビーノ
元はダンの仲間の一人。「ミネルバ」の初代航法士。ジョウの後見役。ジャケットは灰[注釈 12]。若年のバードとは、後年のタロスとリッキーの如き迷コンビだった。ダンが引退の折、タロスとともにジョウの後見役としてチームに残留。外見は白髪白髭の好々爺だが、実際にはかなりの深慮を持つ人物。口癖は「ワシの若い頃は?」。すでに相当の高齢となっていた(『連帯惑星ピザンの危機』48-49ページで「30歳を過ぎてクラッシャーになった」「クラッシャー歴は38年」とあるため、少なくとも68歳)ためにミネルバではほとんど前線に出ることはなく、厨房が主担当となっていた。料理の腕は超一流で、なまじのコックでは歯が立たないほど。ピザンの事件では脱出不可能の事態に陥りつつあったジョウを救うために敵の只中に飛び込み、ジョウの眼前で壮絶な戦死を遂げる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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