クモの網
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「くもの糸」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「くもの糸 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
クモの網にかかったトンボクモが向精神薬の影響を受けた場合の網の作り方(英語版)

クモの網(クモのあみ)は、クモ(蜘蛛)が腹部の吐糸管(英語版)から出すで作ったである。

獲物を捕らえるための罠であるとともに、外敵から身を守る防御の役割もある[1]
呼称

クモは広い空間に糸を張り、それを組み合わせて精巧な網目状の構造を作ることでよく知られる。これは、基本的には餌となる昆虫などの小動物をとらえるための構造で、つまり人間が魚を捕らえる網と似た働きのものである。

日本語ではこれを古くから「くもの巣」と呼び習わしてきたが、古くはまた「くもの網」(くものい)と呼ぶことも多かった。

秋風は吹きな破りそわが宿のあばら隠せるくもの巣構(すが)きを (拾遺和歌集・雑秋)
風吹けば絶えぬと見ゆる蜘蛛の網(い)もまた懸き継がで止むとやは聞く (後撰和歌集・雑C)

現在では「くもの巣」(クモの巣、蜘蛛の巣)と呼ぶのが一般的である。

ただし、蜘蛛が生活の上で形成する構造物としては穴の中に作る糸で作ったトンネルや卵嚢を中において、雌グモが共にこもるテント状のものなどがあり、と呼ばれるべきなのはこのようなものがふさわしい。ただし、「クモの巣」と呼ばれるものの中には、実際に巣として機能するもの、網と巣がつながっているものなどがあり、厳密に網と巣を区別するのは難しい。様々な形がある。それらの形は、クモの分類群と強く結び付いており、場合によってはとても精巧な構造をしている。
円網円網(英語: Orb web)の張り方粘着性のある糸の拡大写真。粘球が並んでいるのがわかる。

一般にクモの網として想像されるのは、おそらく、中央から放射状に引かれた糸に、同心円状に細かく糸が張られたものであろう。このような構造の網を円網(えんもう)と呼び、主としてコガネグモ科アシナガグモ科ウズグモ科などのものが張る網である。
網の構造

中心から放射状に張られた糸を縦糸(たていと)、縦糸に対して直角に、同心円状に張られた糸を横糸(よこいと)という。横糸は実際には同心円ではなく、螺旋状に張られている。網の中心付近には横糸がなく、縦糸の交わるところには縦横に糸のからんだ中心部を「こしき」という。クモが網にいる場合には、普通ここに居場所を定めている。巣を固定する付着盤と係留糸、網の外側には縦糸を張る枠にあたる枠糸(わくいと)がある[2]

網の中で粘り気があるのは横糸だけである。横糸をよく見ると、数珠のように粘球が並んでいるのがわかる。横糸は螺旋状に張られているが、普通網の下側の方が数が多い。これは、網の下側では一部が螺旋ではなく、往復で張られているからである。

円網の構造、クモの糸の構造[3]

網の張り方餌を捕らえたクモ

網を張るには、まず枠糸を張らなければならない。普通、クモは出糸突起から糸を出し、それを風に乗せて飛ばし、向こう側に引っ掛かると、その糸の上を往復して糸を強化することで枠を作る。そのため、川の流れを越えて網を張ることができるものもいる。次に、枠の内側に縦糸を張る。縦糸を張り終えると、中心から外側に向けて、螺旋状に粗く糸を張る。これは、横糸ではなく、後に横糸を張る時の足場であるという意味で、足場糸(あしばいと)と呼ばれる。足場糸が引き終わると、今度は外側から内側へと横糸を引き始める。横糸を張る時、クモは縦糸に出糸突起をつけて糸をくっつけると、中心に向かって進み、足場糸にさわると外側へ針路を変更し、次の縦糸に糸をくっつけるという動作を繰り返す。足場糸が横糸を張る邪魔になると、その足場糸は切る。最終的にはすべての足場糸は切り捨てられ、細かく横糸が張られて完成する。普通の円網では、完成まで1時間とかからない。
網のたたみ方隠れ帯(白帯)

オニグモの仲間では、夜間だけ網をはるものが多い。夕方に網を張り、明け方には片付けてしまう。この時、網を張る手順のほぼ逆の手順で、規則正しく網をかたづける。枠だけは残しておいて、次回も使う場合もある。

片付けた網はどうするかについて、ファーブルは、それを食べてしまう、とする観察を残した。後にそれは疑問視され、網を壊して団子にするが、それを弾き飛ばして捨ててしまうとの観察も出された[4]。しかし、放射性同位体を使った調査により、少なくとも一部のクモの場合、網を食べるのは事実であり、しかもそれが翌日には再び糸として再利用されていることが確認された[要出典]。
網の特徴

コガネグモの場合、常に円網の中心に陣取っているが、アオオニグモなどでは円網の枠糸の端に葉を丸めて巣を作り、その中に潜んでいる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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