クォータリング
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マーシャリング(: Marshalling)は、紋章学において2つ以上の紋章を統合したり、統合した紋章の場所をある定石に従って移動したり、統合した紋章を取り除いたりして紋章記述を整列・整理することである。マーシャリングは、主に紋章を持つ2つの家が婚姻する際に行われるが、戦争侵略の結果や政略的な合意に基づく国家あるいは領土の併合又は分割の際にも実施される。


目次

1 統合

1.1 ディミディエイション

1.2 インペイルメント

1.3 プリテンディング

1.4 クォータリング


2 整理

3 脚注

4 関連項目

5 外部リンク


統合

紋章の主な統合方法は4つある。紋章を縦に2つに分割して左右にそれぞれ1つずつ統合された紋章を示すディミディエイション及びインペイルメント、十字に4つに分割してそれぞれの領域に統合前の紋章を示すクォータリング、そして、本来は下位位置に統合すべき紋章を持つ者が紋章の相続人である場合に用いるプリテンディングである。

なお、女性の紋章は通常、ロズンジをエスカッシャンとして描かれるが、どのような方法で統合したとしても、結婚後は妻も夫と同じようにシールドに紋章を描くようになる[1]
ディミディエイションディミディエイション
2つの紋章を結合したことがわかりやすい例。ベンド・シニスター(夫)とベンド(妻)の紋章を結合すると、1つのシェブロンのように見える。

ディミディエイション(: Dimidiation)は、統合しようとする2つの紋章のうちの片方の紋章のデキスター側(向かって左)の半分と、他方のシニスター側(向かって右)の半分を左右に並べて配置して統合する方法である。

しばらくの間、ディミディエイションはインペイルメントとして知られている方法よりも先に用いられていた。婚姻の場合、夫の紋章のデキスター側の半分を、妻の紋章のシニスター側の半分と一緒に置く。場合によっては、それが2つの紋章の組合せというよりは元から1つの紋章であったかのように見えるシールドとなってしまうことがあるため、この方法は徐々に使用されていなくなっていった。例えば、右の図に示すようなベンド・シニスターの紋章とベンドの紋章とを統合すると単にシェブロンのように見える組合せとなることがある。つまり、2つの紋章が結合されたという事実をわからなくしてしまうおそれがあった。他にも、ボーデュアオール及びトレッシャーといったシールド全体を取り囲むチャージの連続性にも問題があると考えられている[2]

この混乱を避けるために、ディミディエイションでそれらを結合するとき、各々の紋章の半分だけではなく、より広い部分を使うことが慣例になっていった。一旦この習慣が広まりはじめると、双方の紋章の全体を新しいシールドに含むのが慣例となっていった。そのため、実質的に、インペイルメントは紋章を結合する方法としてディミディエイションにとって代わることになったのである。

インペイルメントインペイルメントインペイルメント
ディミディエイションでは結合したことがわかりにくかったものが、インペイルメントでは改善されている。

インペイルメント(: Impalement)は、統合しようとする2つの紋章を左右に並べて1つのシールドに双方の紋章の全体を配置して統合する方法である。紋章学ではインペイルメントは、婚姻を意味するために使われる。

ディミディエイションと同様に、紋章学で垂直分割を意味するパー・ペイルで分割する。インペイルメントを行うことを「インペイルする」と言うが、インペイルされたシールドは、その上辺から底辺に達する直線で中央を垂直にまっすぐに分けられ、2つの紋章をこの分割の両側に配置する。夫婦の婚姻の場合、通常、夫の紋章を向かって左(デキスター=盾を構える人間からは「右」に当たる)に、妻の紋章を向かって右(シニスター=同じく盾を持つ人間にとっての「左」を意味する)に配置する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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