ギレンの野望
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『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(きどうせんしガンダム ギレンのやぼう)は、1998年4月9日バンダイよりセガサターン用ソフトとして発売された戦略シミュレーションゲーム、およびそれを発展させた続編を含めたシリーズの総称。
概要

ガンダムシリーズ最初の作品である『機動戦士ガンダム』で繰り広げられた「一年戦争」を主要時間軸として、地球連邦軍大将レビルもしくはジオン公国軍総帥ギレン・ザビのいずれかの立場を選び、自軍を勝利に導くために兵器開発・資源確保・外交・戦闘といった戦略を行いゲームは進行する。

同様に一年戦争を題材としているOVAや小説、ゲーム、プラモデル(ガンプラ)といった派生作品から生まれたキャラクター、モビルスーツも相当数収録しており、キャラクターに関するセリフも声優による新規録音にて再現されている。また、ゲームの随所にガンダムの制作会社であるサンライズによって制作されたオリジナルアニメーションが組み込まれている(アクシズの脅威及び続編Vを除く)。

ガンダムの重厚な世界を骨太の戦略シミュレーションにて再現した上でキャラゲーとしての要素を随所に挿入した作りになっている。
ゲームシステム

このゲーム最大の特徴はガンダムシリーズの主人公であるアムロやシャアはあくまで脇役であり、ジオンサイドで開始の場合はギレン・ザビ、連邦サイドで開始の場合レビルが主人公。シリーズ全作に共通するのは一年戦争南極条約締結後から開始するという点で、ジオン側は「地球降下作戦」、連邦側は「V作戦」の発動直前となる。時期的には若干ジオン側が早く、緒戦の戦果の代償として国力が疲弊した状態で資源確保のため地球降下作戦を控えた段階、連邦側は宇宙艦隊がルナツーに僅かな戦力を残して壊滅し、地球上はオデッサ北米をジオンに押さえられ、豊富な資金と資源を生かしきれない状態からのスタートとなる。

基本的システムはターン制のシミュレーションパートとユニットの開発・生産を行うパートの2種類に分かれ、それぞれを自軍の有利なように運びつつ敵拠点を攻略する。特別エリア攻略には原則として攻略作戦発動が必要で、攻略順については任意ではなく一年戦争の史実に沿った形となる。

シミュレーションパートでは、自軍ターンと敵軍ターンがそれぞれ戦術フェイズと戦闘フェイズに分かれ、戦術フェイズで移動・撤退・攻撃対象指定等を行い、戦闘フェイズで一斉に攻撃開始する。被攻撃時は防御と回避に専念するか、反撃するかの指定ができる。反撃する場合は対象を指定する。

戦術的には補給ラインの確保が特徴的である。全ユニットに「物資」の概念があり、補給ラインが繋がっている拠点上にいるユニットはターン開始時に大幅に物資が回復、補給ライン上でも若干回復する。物資は移動で少量消費、戦闘で大きく消費し、物資が尽きた場合は1マスの移動と防御しかできない。また味方補給ラインを伝うと移動範囲が広くなるため、拠点を占拠しての補給ラインの確保、補給ラインに沿った進軍、搭載可能ユニットに収容しての補給、敵の補給ラインの寸断などが重要である。

敵機は全てマップ上で視認できるが、索敵が成功していない状態ではアイコンが灰色のシルエットのみとなり詳細情報も表示されず[1]、射撃攻撃の際の命中率が落ちる。その他、ガンダム世界の設定を反映してミノフスキー粒子の濃度や散布による索敵成功率・被命中率への影響、ビーム撹乱膜、Iフィールド、ニュータイプおよびニュータイプ専用武装等の要素が盛り込まれている。

兵器の有用性については原作作品での活躍とは必ずしも一致しない。特に連邦側は顕著で原作ではモビルスーツもどきと酷評されたガンタンクが拠点攻略・防衛兵器として戦局を変える目覚ましい活躍を見せ、棺桶と酷評されていたボールもコストパフォーマンスと間接射撃でかなり役立つ。また、両軍のビーム攪乱膜展開兵器であるパブリク、ジッコも思わぬ働きを見せる。ジオン側は量産機種選定においてゲルググに敗北したギャンを選ぶことも出来るようになっており、ビーム攪乱膜使用でビーム攻撃主体のジム系を封じた上で白兵戦に持ち込む戦術で効果的な働きを見せる。本作に由来したオリジナル兵器にギャンシリーズが多いことも特徴。

また、諜報・外交という要素もある。諜報については常に高い諜報度を保つことで戦力の把握のみならず軍事技術奪取と開発プラン入手という恩恵を得られる。外交については一年戦争時に中立だった「サイド6」「月都市群」「木星船団」に加え、ジオン側軍需産業として「ジオニック社」、連邦側軍需産業として「アナハイム社」が設定されている。サイド6と月都市群については戦略マップ上でも収支面でも重要な拠点だが駐留(占領)すると友好度が著しく下がる。敵側軍需産業と友好度を高めることで敵陣営兵器の入手や裏取引による開発プラン獲得も可能。つまり、ジオン側でガンダムを建造することも、連邦側でエルメスをはじめとするニュータイプ専用機を建造することも楽ではないが出来る仕様となっている。

なお、基本的なゲームシステムはアナログ・ウォー・シミュレーションゲーム(ボードを使ったウォー・シミュレーションのアナログゲーム)を元としており、そのため初代のギレンの野望には、アナログゲームでボード上に配置する「カウンター」と呼ばれる駒にグラフィック表示を切り替える機能もあった。
ユニット・パイロット

機体には固有名をもつパイロットを乗せることができ、乗せたユニットの回避率、攻撃回数、格闘攻撃発生確率等の性能が向上する他、同一部隊や指揮影響圏内にあるパイロットが乗っていない機体の性能も向上する。指揮影響圏は士官級以上しか持たず、階級によって範囲の広さ、重複した場合の優先順位が決まる。このため無能な高官は指揮影響圏を持つ指揮官が他に誰もいない際はいないよりはマシであるが、有能な指揮官が居た場合はその能力を発揮させないため邪魔になる。また仲の良いキャラクターが最大2名設定されており、これが隣接及び同部隊だと士気が上昇する。

またユニットには各個に限界能力が設定されており、パイロット能力や指揮補正で向上する性能に上限がある。また複数の武器を持つ場合、パイロットや指揮影響がなければ2番目以降の武器を使用することはなく、また能力により発生確率も変化する。

これにより、コスト度外視で生産された高性能試作機・指揮官用の高性能量産機・エースパイロット専用機、高いポテンシャルを持つ大型機などの有能なパイロットを乗せて真価を発揮する機体と、無名パイロット(一般兵)の操縦でも十分に性能が引き出せる量産機との差異が生まれ、双方をうまく使いこなす必要がある。

なおNT専用機にオールドタイプのパイロットを乗せることも出来るが本来の力は発揮できない(例として、シムスをブラウ・ブロに乗せてもオールレンジ攻撃は原則発生しない)。


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