ギャンビット
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ギャンビット (Gambit) はチェスのオープニングにおける戦術の一つ。駒(通常はポーン1個)を先に損する代償に、駒の展開や陣形の優位を求めようとする定跡を言う。イタリア語の足(Gamba)の派生形が語源とされている。
目次

1 概要

2 カウンター・ギャンビット

3 種類

3.1 キングズ・ギャンビット

3.2 クイーンズ・ギャンビット

3.3 ダニッシュ・ギャンビット

3.4 スコッチ・ギャンビット

3.5 スミスモラ・ギャンビット

3.6 ウィング・ギャンビット

3.7 エヴァンス・ギャンビット

3.8 ラトヴィアン・ギャンビット

3.9 ブダペスト・ギャンビット

3.10 エーニッシュ・ギャンビット

3.11 マーシャル・ギャンビット

3.12 センター・カウンター・ギャンビット

3.13 チャイニーズ・ギャンビット

3.14 ベンコー・ギャンビット

3.15 ブリュメンフェルト・ギャンビット


4 関連項目

5 参考文献

6 脚注・出典

概要

序盤でポーンを1つ(時には複数)相手にわざと取らせる事により、他の面での優位を得る。ポーンの捨て方にも種類があり、それぞれ名前が付いている。定跡化したものをギャンビットと言い、その場で考えたものは通常ギャンビットとは呼ばない。

ポーンを取らせる事の代償は、大まかには以下のうち1つまたは複数である。

ポーンを取らせる事により、そのファイル(列)がオープンとなるため、開放度が上がり、駒の効率が上がる。例:ルークが敵陣を直接睨む事ができる。

そのポーンを取った駒を自然に取り返しに行く事により、駒の素早く有利な展開を図る 。

相手の中央に近いポーンでより端に近いファイルの自分のポーンを取らせる事により、中央における勢力を相対的に強める。

多くの場合、ポーンを取った相手のポーンは伸びすぎているために守ることが難しく、結果として後に駒損は解消されることが多い。
カウンター・ギャンビット

白(先手)のギャンビットに対しては黒は、(1) Accepted:相手の手に乗る(ポーンを取る)、(2) Declined:あえて取らない、の2種類が考えられる。あえて取らない場合に、むしろ黒がポーンを差し出し、黒が逆にギャンビットを仕掛ける場合があり、これをカウンター・ギャンビットと言う。ただし広義には黒によるギャンビットすべてを指す。
種類
キングズ・ギャンビット詳細は「キングズ・ギャンビット」を参照

最も基本的な定跡の一つで、多くの場合は乱戦になる。fファイルをオープンにし、黒の最弱点であるf7をo-o(キング・サイド・キャスリング)なども利用して狙うのが古典的な指し方だったが、e4+d4で中央を固めて長期的な優位を狙う指し方もある。

1.e4 e5 2.f4

ここで黒がf4のポーンを取ると、激しい乱戦になる。2.... exf4 3.Nf3 Be7 4.Bc4 Nf6 5.e5 Ng4 6.o-o Nc6などが例の一つ。

2.... Bc5 3.Nf3 d6 4.Nc3 Nf6などと黒がポーンを取らないと(ディクラインド)、比較的穏やかな展開となる。

2.... d5 3.exd5 e4と逆に黒がdファイルのポーンを差し出すと、ファルクビア・カウンター・ギャンビットとなる。又、3.f×e5??は...Qh4+とされて白負けとなる。

4.Nc3 Nf6 5.Bc4 Bc5 6.Nge2 o-oなどが一例で、黒のみがキャスリングを行っており、白は現状では黒のビショップの利きでキャスリングできない。
クイーンズ・ギャンビット詳細は「クイーンズ・ギャンビット」を参照

比較的穏やかなギャンビット。c4で失ったポーンを白がビショップで手順に取り返すと、o-o(キング・サイド・キャスリング)につながり、損失が少ない。

1.d4 d5 2.c4が基本形で、非常に派生型が多い。いくつかは別の名前が付いている。

2.... dxc4 3.Nf3 Nf6がクイーンズ・ギャンビット・アクセプテッドの基本的な形。

2.... e6とポーンを取らないのがクイーンズ・ギャンビット・ディクラインド

2.... e5 3.dxe5 d4は対抗策の一つアルビン・カウンター・ギャンビット。黒がeファイルのポーンを差し出し、d4を得る。黒は0-0-0(クイーンサイド・キャスリング)を行ってから攻撃をかけたりするのが狙いであるが、現在では無理筋とされている。

2.... e6 3.Nc3 c5 4.cxd5 exd5 5.e4 dxe4 6.d5はマーシャル・ギャンビット。黒の対策の1つタラシュ・ディフェンスからの変化の一つ。黒がさらにeファイルでポーンを捨てることにより、d5を得る。
ダニッシュ・ギャンビット詳細は「ダニッシュ・ギャンビット」を参照

ポーンを2個損した代償に素早い展開を狙う、非常にギャンビットらしい手。

1.e4 e5 2.d4 exd4 3.c3 dxc3 4.Bc4 cxb2 5.Bxb2

d、c、bファイルのポーンを連続して捨て、2ポーン損であるが、代償として3つのオープンファイルと駒の素早い展開を得ている。黒が初手からeファイルのポーンが無くなっただけで何も動いていないのに対し、白は中央にポーンを進め、早くもビショップが2つとも展開を完了している。所謂ブリッツ早指し)で使われることが多い。
スコッチ・ギャンビット


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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