ギャングース
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出典検索?: "ギャングース" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2017年8月)

ギャングース
ジャンルクライム・サスペンス
ピカレスク・ロマンアクション
青年漫画
漫画
原作・原案など鈴木大介
作画肥谷圭介
出版社講談社
掲載誌週刊モーニング
レーベルモーニングコミックス
発表号2013年14号 - 2017年6号
発表期間2013年3月7日 - 2017年1月6日
巻数全16巻
テンプレート - ノート

『ギャングース』は、肥谷圭介による日本漫画。ストーリー共同制作は裏社会・貧困問題の取材に取り組むルポライターの鈴木大介で、原案は鈴木大介によるノンフィクション書籍『家のない少年たち』。『週刊モーニング』(講談社)にて、2013年14号から2017年6号まで連載された。
概要

不遇の人生を送ってきた3人の少年が窃盗団を結成し、被害届を出せないという理由で犯罪者だけを対象に「タタキ」と称した強盗や窃盗を敢行していくクライム・ストーリー。タイトルは「ギャング」と「マングース」が由来で、犯罪者だけをターゲットにする主人公たちを、毒蛇を食うマングースになぞらえたもの。社会の底辺に生きる少年少女らに長い取材歴を持つ鈴木の原案を元に、生々しい犯罪の現場をマンガ的な演出で描き出している。主人公らの強盗行為を痛快に描く一方で、行き場のない少年たちの陰惨な実態を真正面から捉え、理解と支援を訴える社会派作品の側面も持つ。風景や無機物はリアルな筆致で描く一方、人物は極度にデフォルメされた独特の画風。人間を指先で摘み上げるなどコミカルで比喩的な表現もあり、本作の二面性が画風にも表れている。作中に登場する用語や概念には頻繁にコマ外での解説が入り、鈴木による解説コラムも収録されている。

少年たちの更生を妨げる周囲の無理解について、鈴木は「なぜ被害者だった彼らは加害者になったのか。彼らのような『悲しい加害者』を再生産しないために、なにが必要なのか。そんな考えをまとめるのを阻害するように、世の中には様々な差別や誤解、ミスリードを含んだ言説が流れています」と痛烈に批判している[1]
登場人物

現代ビジネス公式サイトにて紹介された[2]
バックスカーズ

犯罪者、ヤクザ、半グレなど、脛に傷を持つ者専門にタタキ(窃盗、強盗)を行う犯罪集団。全員が背中にひどい傷跡を持つことから「バックスカーズ」(Back scars)と呼ばれる。
カズキ
窃盗団の工具全般担当(バカ担当)でリーダー。本名:神童一樹。18歳[3]少年院の技能教育を熱心に受け、工具の扱いに長ける。また、性別・年齢を問わない「他人の声マネ」という特技を持つ。決め台詞は「そのタタキ、やらせていただきます」。肥満体にメガネという容姿で、最初期は「OTW48のゆきりん」に熱を上げるアイドルマニア、いわゆるキモオタとして描かれたが、物語が進むにつれて、「非現実的な熱い理想家」という面が強調されるようになった。髪型も物語初期にモヒカンに変わったが、これは最貧困時代に廃棄食品を流してくれたコンビニ店員を真似たもの。複雑な性格の持ち主であり、徹底的に空気を読まず、相手かまわず無礼な口を利き、他人を見下すような言動も多い一方で、「仲間がいなければ何もできない」「皆が俺を助けてくれる」という心情も強く持っている。また、すぐに人を挑発するものの、暴力は基本的に振るわないため、一方的に殴られるのが常。シングルマザーの家庭で育ち、幼い妹とともに根性焼きなどのひどい虐待を受けて育った。母親の恋人の男が妹をレイプしようとしたことで、妹は包丁で男を殺害。その罪を全てかぶり少年院に入ったが、少年院の中でもひどいいじめを受けた。それらの被害により、背中全体にひどい傷や火傷の痕がある。そうした生い立ちから、「今がド底辺。何があっても今より下がることなんかない」という開き直りを持ち、途方もなく打たれ強い。「タタキの稼ぎで日本を買い、俺たちみたいなガキが一人もいない国を作る」という壮大な理想で多くの裏稼業人を惹き付けた。重い血管系の疾患を抱えていたが、周囲には隠しており、161話で安達から瀕死の田を救い出したのち、サイケとタケオに「最高の兄弟、家族だった」と言い残して命を落とす。安達との最後の対決では、「全てを救うと言うなら、何をしても何も感じないこの地獄から俺と兄貴(木下)を救ってみろ」と迫る安達に「無理だ。(すでに生まれてしまった)俺たちはもう手遅れだ」と答え、抱えていた深い絶望を吐露した。
サイケ
窃盗団の情報収集・標的選定担当(イケメン担当)。本名:斉藤恵吾。18歳。呼び名の「サイケ」はカズキの命名。グループ1のイケメンで、ツッコミ役。頭が切れ、タタキで特に重要な情報収集を担う。カズキとタケオのマイペースぶりに振り回されながらも、最も現実的に今の生活から抜け出す道を探る。小学校を修了しておらず、カズキと同じく漢字の読み書きが不得手だが、電子辞書を持ち歩いて克服に努める努力家。ユンボの免許しか持っておらず、車の運転は苦手。また、喧嘩もメンバーの中では弱い方で、腕力のなさを補うために武器で「やりすぎる」ことがあり、作中でカズキに諌められる。情報収集は主にキャバクラで嬢を通じて行う。女性の趣味が極めて特殊で、傍目にはいわゆる「ブス専」だが、作中では「サイケにはその子にしかない長所を見つけるシックスセンスがある。だからサイケはいつも良い恋愛をしている」と説明される。情報目的とは言え「マジ」で接するためか、狙った嬢からは首尾よく情報を引き出している。ドラッグ中毒のシングルマザーの家庭で、兄の恵一郎と共にネグレクト状態で育った。飢えを凌ぐためにトイレの芳香剤を食べて嘔吐するなど、家庭環境は悲惨を極めていた。背中には鞭で打たれたような酷い傷跡がある。少年院に入ったのは、恵一郎からドラッグの取り引きを仕込まれ、さらに身代わりとして警察に売られたため。しかし恵一郎をヒーローとして慕っており、作中では宮島によって海外治験に売られかけていた恵一郎を救うために奔走、終盤で再会したときも「何で連絡よこさねーんだよ」と詰め寄りはしたものの、過去を責めることはなかった。カズキの死後に宅地建物取引士の資格を取り、不動産業の世界に入る。
タケオ
窃盗団の車両・機動担当(やさしさ担当)。本名:武藤武夫。18歳。チームで唯一腕っぷしが強い怪力の巨人だが、性格は優しく、おとなしく、涙もろい。重度の吃音があり、一貫した描写ではないが、場面によっては軽度の知的障害があるようにも描かれている。カズキとは少年院で知り合って以来の親友で、後に二人でサイケを仲間に誘った。カズキとサイケには「タケオちゃん」と呼ばれる。カーマニアだった亡父の影響でレトロなアメ車を偏愛し、ドライビングテクニックと車両関係の知識が抜群。普段は吃音が激しいが、集中すると(主に運転時)吃らなくなり人格が変わる。このときは「タケオさん」と呼ばれる。父親を亡くしてからは叔父一家に引き取られ、厄介者として扱われた生い立ちを持つ。ある日の夕食時に従兄弟たちとおかずを巡って争い、激昂した叔父から背中に熱湯をかけられて大火傷を負った。後年、さらにその上から、悪い仲間に刺青の練習台として龍の和彫りを入れられている。少年院に入ったのは、このときの仲間から大規模バイク窃盗の主犯に仕立てられたため。なお、叔父に火傷を負わされる場面ではどもらずに喋っており、言動は荒々しく描かれている。吃音や性格の変化がいつ起きたのかは不明だが、虐待の場面に続いて団地の屋上から飛び降りる場面があり、このときの負傷が影響したようにもとれる。カズキの死後に、カルロスと共に自動車整備の会社を立ち上げる。
ユイカ
窃盗団のカギ担当(カワイさ・癒し担当)。フルネームはユイカ・チャン。中国人の母親を持つ幼い少女。極めて人懐こい性格。母親が日本から中国へ強制送還されるために拘留され、建築資材窃盗を働くグループの男のもとで暮らしていた。男に盗品ヤードの見張りとして使われていたことで、ヤードに押し入ったカズキ達と出会い、虐待を続ける男の元を去ることを決意した。以降はカズキ達の稼ぎで養育されることとなったが、カズキ達が住居を持たないため、ワンコR2000と共にヤンの中華料理店に預けられた。出生届を出されていない黒孩子無戸籍者)であり、公的な記録の上では「存在しない人間」だったが、最終話でヤンの従妹としての戸籍を得て、イギリスに留学した。
ワンコR2000
カズキ達の飼い犬。後足が不自由で、車輪付きの台に乗っている。名前はタケオの命名。カズキ達が押し入った海外輸出用の盗品ヤードに番犬として置かれていたが、懐いてしまったためそのまま連れてこられ、ヤンの店で飼われることとなった。何故かギャンブルの才能があり、カズキと安達のバカラ勝負では、後がないカズキに代わって劣勢を挽回した。
バックスカーズの協力者
ヤン
華僑であり、盗品を現金化する「沈め屋」のチャイニーズ
マフィア。フルネームは楊戮力(ヤン・ルーリー)。リアリストであり金銭にはシビアだが、その上で身内には情が厚く親身に接する。カズキ達を現実的な観点から諌める一方、窮地には命懸けで手を差し伸べる第一の仲間。作中で直接には描かれていないが、カズキ達と同じ少年院に入っていたことが登場人物の台詞で語られており、そこからの付き合いである模様。表の稼業としては叔父と共に中華料理店を経営する。両親は登場しないが、華僑の人脈が太く、車両の提供や闇医者の紹介でもカズキ達を支援する。小柄だが、立ち回りでは刀を使って相手を威圧する。また、喫煙者であり、握り拳にタバコを挟んで持つのが癖。カズキの死後はイギリス・ソーホーに移住し、中華料理店を経営しつつユイカの保護者を務めた。
高田
裏稼業界の「道具屋」。犯罪に必要なツールや情報を売買する闇商人であり、サイケのブレイン。高精度の詐欺用名簿を作るなど優秀な切れ者だが、常に「ゼニの話以外は興味ない」「全部ビジネスでやってるんで」と言って憚らず、任侠を尊ぶ宮島からは「人の上に立つ男ではない」と評される。バックスカーズに対しても、あくまで「ビジネス相手」としての態度を崩さなかったが、カズキと差しで話し合ったことでいくらか心を開き、リスクの高い安達潰しの計画に加わった。カズキと手を結んだ加藤の死後、一度は安達側に寝返ったように見せていたが、それも示し合わせての行動だった。生後すぐ産婦人科に「産み捨て」され、「たかはら」という姓だけが判明していた戸籍不明児であり、少年時代を過ごした児童養護施設では「高原雅之」という名だった。カズキ達に対する「高田」のほか、取引相手によって「高本」「高柳」などと姓を使い分けている。最終話では本名が「高田徳人」とされているが、これは自身で選んだ姓名の模様。安達タタキ後、裏切りを知られて安達と木下に拉致され、両足と片手を切断される拷問を受けるが、踏み込んだカズキと恵一郎(サイケの兄)、宮島が手引きした警官隊に救われ一命を取り留める。カズキの死後は収監された安達から全財産を預託され、AI開発者となって資産を築き、社会福祉法人やNPOを立ち上げた。
洋介
サイケの少年院時代の同窓。フルネームは上村洋介。カズキによる愛称は洋チン。第一話でカズキ達に振り込め詐欺組織の内部情報を提供し、その金庫をタタかせた。その後、投資詐欺の現場要員となって再登場し、サイケの要請により内偵を行った。組織への裏切りが知られ、加藤に片腕を切り落とされる制裁を受けたが、その後は治療から日々の生活に到る全ての世話を引き受けた加藤に深い信頼を寄せた。画才があり、その能力で加藤の容貌をカズキに伝えた。バックスカーズのマークも洋介の手によるもの。安達のタタキ後はイラストレーターとして活躍。
マルコス
日系移民の子孫で、在日ブラジル人二世。本名:マルコス・ヤマダ。


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