ギャグゲリラ
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『ギャグゲリラ』は、『週刊文春』で1972年10月16日号から1982年12月23・30日合併号まで連載されていた赤塚不二夫による漫画作品。連載時の正式タイトルは『赤塚不二夫のギャグ・ゲリラ』。[1]
概要

漫画誌ではなく、一般向け成人雑誌に初めて連載された、『おそ松くん』『天才バカボン』『もーれつア太郎』『レッツラゴン』に続く代表的な赤塚ギャグ作品の一つ。強烈なギャグとキャラクター、そして巧みな時事ネタの引用で読者を牽引した。[1]
連載開始に至る経緯

1972年6月、『天才バカボン』他で第18回文藝春秋漫画賞を受賞した赤塚は、『文藝春秋』誌上にて、井上ひさしの戯曲をコミカライズした『ひさし笑劇場』(1972年8月号?1973年11月号連載。1972年11月号より隔月連載。)の連載依頼を受ける。

劇場プログラムの二本立て興行のように、文字と漫画をドッキングさせたこのコラボ企画の面白さに目を付けた当時『週刊文春』の編集長であった宮田親平は、赤塚漫画の新連載を同誌上にてスタートしてみはどうかと発案。『ひさし笑劇場』の連載開始と同時期に、受賞記念で「オール読物」に再録した『天才バカボン』の「ミュージカルでバカボンなのだ」(『週刊少年マガジン』1972年15号)と同じく受賞を祝し、『週刊文春』誌上に掲載した中編読み切り『護送』が好評を博したことも『ギャグゲリラ』連載開始の誘因となった。

それまで一般週刊誌に掲載される漫画は、1コマ、2コマ、1ページ、2ページが通常であったが、『護送』の掲載に際しては、異例ともいえる12ページものページ数が与えられ、『ギャグゲリラ』の連載開始の際にも、毎回8ページという紙幅が用意された。

当時、少年漫画週刊誌、少年漫画月刊誌が主なる活躍の場だった赤塚にとって『週刊文春』という超メジャー級の一般週刊誌に連載を持つことは夢であり、目標であった。

そのため、赤塚の『ギャグゲリラ』に懸ける意欲も並々ならぬものがあり、当時、毎日が締め切りというタイトスケジュールでありながらも、連載第一回目では、下絵だけではなく、赤塚自らペン入れからベタ入れまでこなし、丸々一話を一人で完成させたという。
オイルショックによる減ページ

好調なスタートダッシュを飾った『ギャグゲリラ』だったが、第四次中東戦争勃発に端を発する原油供給の逼迫、すなわちオイルショックがもたらした折からの紙不足は、出版界全体に大きな大打撃を与え、1974年以降『ギャグゲリラ』の掲載スペースも8ページから6ページへと削減される。

連載当初の『ギャグゲリラ』は、タイトル部分に通信社から購入したり、写真部が撮影した没写真をはめ込み、それを肩代わりにしていたが、減ページのため、漫画部分を少しでも確保しなければならない急場の策から、以降ナンセンスフォトの掲載は取り止めざるを得なくなる。

減ページは赤塚にとっても、切実な問題であり、後にこのような述懐を残している。

「急に八ページから六ページになるってのは、けっこう大変なことなんだ。マンガにはリズムってのがあるんだよ。アイデアを考えるとき、頭の中に八ページの長さがあって、それで考える。それで台詞をいれていくから、ピタッと八ページで終わるわけ。それが急に六ページになると、これ苦労するんだよ。ページが減るっていうんじゃなくて、アイデアの考え方を変えなきゃいけない。八ページで笑わせるのと、六ページで笑わせるのは違うの」[2]
連載中のエピソードとトラブル
「倦怠期」(1973年11月5日号)
「赤塚不二夫は、みんなを驚かしたい一心から、歯医者に行って「歯を全部抜いてくれ」と注文するも、結局歯医者に説得されて断念した」と、赤塚伝説の一つとしてネット等で流布されているが、その忸怩たる想いをギャグのネタにしたのが、倦怠期に陥ることを恐れた夫があの手この手を使って妻を驚かそうと四苦八苦する姿を描いたこのエピソードである。
「タレント候補 赤塚不二夫」(1977年4月21日号)
漫画に赤塚自らが登場。元祖学歴無用論者と称し、自身のこれまでの半生を故意的に誤字脱字を用いて紹介。読む政権放送としてコミカライズするが、これを真に受けたマスコミ各社から赤塚のもとに問い合わせが殺到する。そして、このエピソードを描いた一ヶ月後、「赤塚不二夫 政治に漫画を!!」というエピソードで、赤塚自ら、改めて立候補を表明し、マニフェストを策定する。だが、いずれも愚策の極みともいうべきナンセンスに徹したもので、自らがピエロになりつつも、そのマニフェストそのものが、タレント候補の無能、無策ぶりをメタフォリカルに揶揄した赤塚らしい落ちだった。
「パワーアップ」(1978年2月13日号)
出来の悪い落ちこぼれの息子を名門私立・開成中学に合格させるべく、あの手この手の頭脳アップを試みる教育一家の馬鹿さ加減ぶりを笑い飛ばしたエピソードで、作中、開成中学との対比で、実在する区立A中学の名前を頻繁に出したことが問題視され、『週刊文春』編集部宛てに、区立A中学より内容証明と併せて抗議文が送り付けられた。実際、A中学は、区内でも学力水準の高い学校であるものの、このような差別的とも取れるジョークは、受験期を控え、動揺しやすい生徒に悪影響を及ぼすものであり、教育的配慮が足りないというのがA中学側の主張であった。ちなみに、A中学は、この時『週刊文春』の赤塚番記者の出身中学で、実在の固有名詞を使用したのも、ギャグに深みとリアリズムが滲み出ることを狙った演出に過ぎなかったと、その後赤塚は語っている。その後、『週刊文春』誌上で、謝罪文を掲載することと、単行本収録の際には、A中学の名を削除することを誓約し、事態は収束するが、当該エピソードが単行本収録された際、A中学の名が削除されることはなかった。赤塚はこの件を受けて『文藝春秋』1978年5月号に手記『抗議される側の論理』を発表した。また、1978年2月28日の「
読売新聞」朝刊に「ダメ中学にされちゃった」という題でいち早く取り上げられている。
担当編集者

初代担当編集者(1972年10月?1974年3月)
平尾隆弘

2代目担当編集者(1974年4月?1975年3月)五井幹雄

3代目担当編集者(1975年4月?1977年3月)松井清人

4代目担当編集者(1977年4月?1978年3月)不明

5代目担当編集者(1978年4月?1979年3月)青山徹

6代目担当編集者(1980年4月?1981年3月)不明

7代目担当編集者(1981年4月?1982年3月)阿部雄輔

4代目、6代目を除く5名は『週刊文春「ギャグゲリラ」傑作選』巻末の座談会に出席、赤塚との思い出を語っている[3]
サブタイトルリスト

ここでは、連載のプロトタイプとなった読切作品『護送』と、単行本で『ギャグゲリラ』の一作として『ダリラリラーン』と改題の上収録されている『ホッカイローのケイコターン』を含めてリスト化する。
番外編
『ホッカイローのケイコターン』(単行本化の際「ダリラリラーン」と改題)/「サンデー毎日増刊」劇画&マンガ第3集1970年8月7日
読切
『護送』/『週刊文春』1972年8月21日号
1972年
1/あるケツ婚/『週刊文春』1972年10月16日号2/酒/10月23日号3/下痢/10月30日号4/かえしてーっ/11月6日号5/もっとぶって!/11月13日号6/おお無情/11月20日号7/捨てないで!!/11月27日号8/ギブアップ/12月4日号9/日本劣頭改造論/12月11日号10/真実一路(1972年版)/12月25日号
1973年
11/落選/1973年1月1日号12/人間模様/1月8日号13/どうして?/1月22日号14/???/1月29日号15/パンティ/1月22日号16/クミトリ物語/2月5日号17/ダブダブ/2月12日号18/チカンですよ/2月19日号19/わしゃ知らーん/2月26日号20/(記号)/3月5日号21/旅立ち/3月12日号22/小説作法/3月19日号23/ガキ/3月26日号24/家庭教師/4月2日号25/もうアカン!!/4月9日号26/なんとかなりませんか?/4月16日号27/生きがい/4月23日号28/天然痘?/4月30日号29/ヤハーン!!/5月7日号30/ババぬき/5月14日号31/ゴミ/5月21日号32/百面相/5月28日号33/あんたも好きねえ/6月4日号34/もうダメ!!/6月11日号35/オンナ/6月18日号36/盗聴/6月25日号37/インキン/7月2日号38/SFマンガ/7月9日号39/わたしの城/7月16日号40/大は小をかねない/7月23日号41/やれるものならやってみな!!/7月30日号42/飲め!!/8月6日号43/悪の花園/8月13日号44/コレモン/8月20日号45/お化けェ?/8月27日号46/にぶい!!/9月3日号47/ゴロツキ/9月10日号48/ダッチョウ/9月17日号49/おてんばアン/9月24日号50/ヘ?ソオ?/10月1日号51/パー3/10月8日号52/サイン/10月15日号53/風と共に去りぬ/10月22日号54/詩人/10月29日号55/倦怠期/11月5日号56/直撃/11月12日号57/ヘタのヨコずき/11月19日号58/火あそび/11月26日号59/ジャバジャバ/12月3日号60/エンヤートット/12月10日号61/ユメ/12月17日号62/足りない!!/12月24日・31日合併号
1974年
63/ハッハーッ!!/1974年1月7日号64/フラ夫婦/1月15日号65/ヒーロー/1月22日66/モン・パリ/1月29日号67/勝て、ガリ勉で合格の範ちゅうに/2月4日号68/尊敬します!!/2月11日号69/男の世界/2月18日号70/にいちゃん/2月25日号71/ああだれにもふるさとがある/3月4日号72/大ファン/3月11日号73/恋人/3月18日号74/戦中派/3月25日号75/小野田派/4月1日号76/男の長風呂/4月8日号77/新入社員/4月15日号78/趣味/4月22日号79/カーッコイイ!!/4月29日号80/モクモクモク/5月6日号81/恐怖の四角四面人間/5月13日号82/恐怖の整理整頓人間/5月20日号83/ながら族/5月27日号84/ようようよう/6月3日号85/カァーッ/6月10日号86/大当たりィ/6月17日号87/五つの大切、十の反省(1974年版)/6月24日号88/怒らない、怒らない/7月1日号89/たつ!!/7月8日90/かあちゃ?ん/7月15日号91/ケツ癖性/7月22日号92/うらめしや?/7月29日号93/やもめのジョナサン/8月5日号94/直木賞/8月12日号95/カイカイカイーッ/8月19日号96/いけません!!/8月26日号97/おねがい/9月2日号98/刑事コロンボ/9月9日号99/どうしてですか?/9月16日号100/警部アカンボ/9月23日号101/恐怖の仕事人間/9月30日号102/いずこへ?/10月7日号103/もうイヤッ!!/10月21日号104/男なら!!/10月28日号105/引退/11月4日号106/わたしは泣いています/11月11日号107/うちの人脈金脈/11月18日号108/ねむいよ?/11月25日号109/転向/12月2日号110/ダイコン/12月9日号111/やーめたっ!!/12月16日号112/バカタレ/12月23日号
1975年
113/落としアナ/1975年1月1日号114/ヘビー・スモーカー/1月8日号115/初夢/1月15日号116/めざせ!!/1月22日号117/外遊/1月29日号118/ゴオ―ッ/2月12日号119/バレンタインデー/2月19日号120/景気イイ―ッ!!/2月26日号121/真実一路(1975年版)/3月5日号122/愛妻物語/3月12日号123/あるお歯なし/3月19日号124/シィーッ!!/3月26日号125/ワナ/4月2日号126/カンロク負け/4月9日号127/とりシリらべ/4月16日号128/ブスに向かって撃て/4月23日号129/エンジョイ/4月30日号130/男はつらいよ/5月7日号131/女房ヤクほど/5月14日号132/こんな男に誰がした/5月21日号133/私はパンティー/5月28日号134/がんばれ!ジャイアンツ/6月4日号135/らしくない/6月11日号136/ムナしい?/6月18日号137/不幸中の……/6月25日号138/ボーナス/7月3日号139/がんばれ!ジャイアンツ→PART2/7月10日号140/のみてぇっ!!/7月17日号141/愛情物語/7月24日号142/マメがほしいぞ/7月31日号143/みつげ!!/8月7日号144/ベースボールママ/8月14日号145/文芸心中/8月21日号146/むかないで/8月28日号147/えにっき/9月4日号148/デブデブ/9月11日号149/挫折/9月18日号150/引っぱりダコ/9月25日号151/みんなコイコイ/10月2日号152/疫病神/10月9日号153/福の神/10月16日号154/いま学校で…/10月23日号155/がんばれジャイアンツ(1975年版)/10月30日号156/いつかギラギラする日/11月6日号157/ドリーム馬券/11月13日号158/子は宝/11月20日号159/艶歌/11月27日号160/花の女子大/12月4日号161/男のメンツ/12月11日号162/時の過ぎゆくままに/12月18日号163/妻をめとらば/12月25日号
1976年
164/ギャグゲリラスペシャル!!第1弾 ファミリー企画/1975年1月1日号165/ギャグゲリラスペシャル!!第2弾 尊敬します!!/1月8・15日合併号166/峠の我が家/1月22日号167/夜型/1月29日号168/ボクちゃん受験生/2月5日号169/書を捨てよ街へ出よう!!/2月12日号170/人生の並木道/2月19日号171/うそ/2月26日号172/怒れタイ焼きくん!!/3月4日号173/路線変更/3月11日号174/明暗/3月18日号175/婦唱夫随/3月25日号176/今にみておれ!/4月1日号178/バンザーイ/4月8日号179/がんばれジャイアンツ(1976年版)/4月15日号180/初体験/4月22日号181/和気あいあい/4月29日号182/塾・塾・塾!!/5月6日号183/五月病/5月13日号184/海外旅行悲歌/5月20日号185/マゾがき/5月27日号186/馬ひとすじ/6月3日号187/ナニがナニしてナンとやら/6月10日号188/チンプンカンプン/6月17日号189/勝ち目/6月24日号190/ダッチライフ/7月1日号191/愛妻弁当/7月8日号192/隣は何を……/7月15日号193/オリバー来る!!/7月22日号194/夏にご用心; 全国のブスメスに捧げる/7月29日号195/オリンピックエレジー/8月5日号196/五つの大切、十の反省(1976年版)/8月12日号197/日本語のために/8月19日号198/不死鳥/8月26日号199/ファミリー/9月2日号200/マグニチュード69/9月9日号201/がんばれジャイアンツ!!/9月16日号202/17年目の浮気/9月23日号203/人べらし/9月30日号204/ぼくの負けだよ/10月7日号205/幼稚園売春/10月14日号206/お見合い/10月21日号207/祝長嶋巨人軍“V1”!!/10月28日号208/こんな女に誰がした…/11月4日号209/巨匠/11月11日号210/痛しかゆし!!/11月18日号211/総選挙近し!!/11月25日号212/イメチェン候補/12月2日号213/新手必敗/12月9日号214/初心忘るべからず/12月16日号215/ニッポンの悲劇/12月23・30日合併号


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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