キログラム
仏 kilogramme
kilogram
国際キログラム原器 (CG画)
記号kg
度量衡メートル法
系国際単位系 (SI)
種類基本単位
量質量
定義国際キログラム原器(IPK)の質量
由来最大密度温度での1 Lの水の質量
語源ラテン語 gramma(書かれた物、わずかな重量)
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シテ科学産業博物館に展示されているキログラム原器のレプリカ。二重のガラス製の鐘の中に保管されている
キログラム(英: kilogram, 仏: kilogramme, 記号: kg)は、国際単位系 (SI) における質量の基本単位である。国際キログラムともいう。
グラム (gram / gramme) はキログラムの1000分の1と定義される。またメートル系トン (tonne) はキログラムの1000倍(1メガグラム)に等しいと定義される。
単位の「k」は小文字で書き、大文字で「Kg」と表記しない。「キロ#記号 k は K ではない」を参照 1キログラムの定義は、「国際キログラム原器(wikidata 1キログラムの当初の定義は「水1リットルの質量」であった。1795年の定義では、「大気圧下で氷の溶けつつある温度(すなわち0度)における水」となっていたが[2]、その後、水の体積は温度に依存することが分かり、そのため、「最大密度(=液温摂氏4度)における蒸留水1立方デシメートル(1リットル)の質量」と定義された。しかし、水の密度は気圧と温度に影響され、気圧にはその因子に質量が含まれている。すなわち、このキログラムの定義には循環定義が含まれていることになる。この問題を避けるため、1799年に、当時の技術で上記のキログラムの定義に合わせた白金製の原器が作製された。これをアルシーヴ原器(kilogramme des Archives)と呼ぶ。 1875年のメートル条約に基き、1889年にキログラムは新しい国際キログラム原器(IPK:International Prototype Kilogram)の質量と定義された。国際キログラム原器は1879年に作成された3つの原器のうちの1つであり、測定の結果以前のアルシーヴ原器と当時の技術では質量差が認められなかったものであるが、これが1889年の第1回国際度量衡総会の決定によりキログラムの定義に使用されることとなった[5]。 国際キログラム原器は直径・高さともに約39mmの円柱形の、プラチナ(白金)90%、イリジウム10%からなる合金製の金属塊である[6][7][8]。フランス・パリ郊外セーヴルの国際度量衡局(BIPM)に、2重の気密容器で真空中に保護された状態で保管されている[9]。 上記1889年の第1回国際度量衡総会において、世界各国で用いる標準原器として各国に国際キログラム原器の複製を配布することが決定された[10]。当初40個の複製が作られて各国に配布・保管されている。これらの原器は約40年ごとに特殊な天秤を用いて国際キログラム原器と比較されることになっている[11]。日本には1889年に複製のうち6番が原器として配布され、1890年に到着した[10]。日本国内ではこの6番を「日本国キログラム原器」としてキログラムの基準に使用している。なお、30番と39番も副原器として日本に配布されたが、39番は1947年に連合軍軍政期の朝鮮(現在の大韓民国)に譲渡したため、1963年にE59番を新造している[12]。2009年9月には、BIPMから原器94番を新規に購入した[13]。副原器を含めた4器は茨城県つくば市の独立行政法人産業技術総合研究所に保管されている。日本国キログラム原器は国際キログラム原器に比べて0.176mg重いことが分かっている[14]。 国際キログラム原器の質量は、表面吸着などの影響により年々増加しており、その量は洗浄直後の急速な汚染の他、年に1µg程度と見られている[14]。1988年-1992年の第3回各国キログラム原器の定期校正に際して、42年ぶりに国際キログラム原器の洗浄が行われたが、これにより国際キログラム原器の質量は約50µg減少した(50µg は、ちょうど指紋1個の質量に相当する[15])。これは1kgの5×10?8倍に当たるので、国際キログラム原器による定義の精度は8桁程度ということになる。質量の定義をより明確にするため、質量単位「キログラム」は「洗浄直後の国際キログラム原器の質量値」として解釈されることになった[14]。 2007年9月、国際キログラム原器が50µg軽くなっているという報道が一部でなされた[9]。しかし、これは同原器が突然50µg軽くなったことを意味するわけではない。上記のように原器は経年で徐々に質量を増すことが知られているが、BIPMの解説によると、1889年からの間に他の複数の複製と比較して、質量変動が約50µg少なかったということだという[16]。 他のSI基本単位は「普遍的な物理量」に基づく定義に改められてきたのに対し、キログラムだけがいまだ「人工物に依存」する単位として残っている。人工物による定義では、経年変化により値が変化し、また、焼損や紛失のおそれもある。このため1970年代から、普遍的な物理量によるキログラムの定義が検討されてきた。
目次
1 定義
1.1 当初の定義
1.2 国際キログラム原器(IPK)による定義
1.2.1 キログラム原器の複製
1.2.2 キログラム原器の不安定性
2 プランク定数による定義へ
2.1 新定義の決議案
2.2 過去の様々な提案
3 グラムとキログラム
4 重量との関係
5 分量・倍量単位
6 表記
7 符号位置
8 参考文献
9 脚注
10 関連項目
11 外部リンク
定義
当初の定義
国際キログラム原器(IPK)による定義 各国のキログラム原器(K21-K40)および、IPKの副原器K32・K8(41)[3]の経年による質量変化。すべての質量変化はIPKに対する相対変化であり、1889年時点でのIPKに対する偏差を0としている[4]。上記はすべて相対的測定結果であり、どの原器がもっとも環境変動に対して安定していたかを示す歴史的な測定結果というものは存在しない。どの原器も100年以上の間に質量が増大し、その中ではK21・K35・K40およびIPKが相対的に増加量が少なかったという可能性が高い。
キログラム原器の複製
キログラム原器の不安定性
プランク定数による定義へ「新しいSIの定義」も参照
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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