キーアダン
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キーアダン(Cirdan、第一紀4550年? - )は、J・R・R・トールキン中つ国を舞台とした小説、『指輪物語』、『シルマリルの物語』、『終わらざりし物語』の登場人物。キーアダンはシンダール語で「船造り」の意味。

星々の時代から第四紀に至るまで、常に海辺にあって冥王の敵対者に助力をあたえ続けたエルフの賢者。偉大な船造りにして偉大な水夫であり、エアレンディルがヴィンギロドを造るのを手助けした。その先見の明でガンダルフの使命を見抜き、エルフの三つの指輪の一つナルヤをかれにあたえた。灰色港でヴァリノールへと渡るエルフのための船を造り続けており、最後の船が出るときまで、かれはそこに居続けるとされる。船造りキーアダン(Cirdan the Shipwright)とも呼ばれる。

かれの本来の名前はノウェ(Nowe)であった。その意味は不明だが、「考える」「着想を得る」「想像する」といった意味を持つ言葉、ノウォ(nowo)と関係があるのかもしれない。
第一紀・星々の時代

キーアダンの生年は明らかではないが、エルフの目覚めから100年ほどでファラスリムの統治者となっていることから、目覚めの湖で目覚めたクウェンディの一人であるのかもしれない。
ファラスリムの統治者

4605年(ヴァラ年)。エルダールヴァラールの招きに応じて、エルフの目覚めの地クイヴィエーネンを離れ、至福の地アマンへと旅立った。かれらのうちテレリの歩みは遅く、4632年にウルモヴァンヤールノルドールを運び去ったあとも、東ベレリアンドに留まっていた。かれらは行方のわからなくなったかれらの王エルウェを置いたまま、先に進む気になれずにいたのである。しかしウルモがヴァンヤールとノルドールを連れて海を渡ったことを知ると、かれらの多くは西方への旅を続け、エルウェの弟オルウェを王として、シリオンの河口近くに長いあいだ留まった。海のマイアであるオッセウイネンがかれらのもとを訪れ、かれらを助けた。かれらはオッセから学び、海を愛するようになった。4649年にウルモがテレリを迎えに来るとオッセはかれらとの別れを悲しみ、中つ国に留まるように説いた。かれらの多くはオルウェとともに大海をこえたが、テレリのうちオッセのもとめに応じたものたちは、ファラスにブリソンバールとエグラレストの港を築き、中つ国で最初の船乗り、最初の船大工となった。かれらは「ファラスのエルフ」ことファラスリムと呼ばれ、キーアダンがかれらの統治者だった。

キーアダンは自ら造った船で、オルウェを追ってヴァリノールへ航海することを考えたが、ヴァラールの警告を受け、これを思いとどまった。ヴァラールは今のかれでは大海の波風に耐ええる船を造ることは出来ず、かれの手わざが極まるまで思いとどまるようにいった。のちにかれの技は高まり、かれが手を貸したエアレンディルの船ヴィンギロドは、ヴァリノールが隠されてから大海を越える最初の船となった[1]。本項のヴィンギロドも参照。

4652年にエルウェはメリアンとともに残されたテレリたちのもとに戻り、次第に勢力を増していった。4700年ごろにはキーアダンとファラスリムもふたたびかれを主君とした。キーアダンはエルウェにバラール島で採った真珠を送り、エルウェはこれとメリアンの知恵をもって、メネグロスを建設するドワーフたちへの支払いとした。

4997年。モルゴスの軍が南下するとキーアダンはエルウェとの連絡を絶たれ、ファラスの港はオークに包囲された(ベレリアンド第一の合戦)。この包囲のさなかにノルドールの王フェアノールとその息子たちの軍勢がベレリアンドに到着し、モルゴス軍を敗走させた(星々の下の合戦)。

帰還したノルドールたちは、ベレリアンドのテレリたちをシンダールと呼んだ。シンダールにはエルウェの民とファラスリムが含まれるが、オッシリアンドの緑のエルフは含まれない。
第一紀・太陽の時代
フィンロドとの友情

エルウェはかれの民が住まない土地にノルドールが住むことを許し、かれの王国ドリアスとキーアダンの水夫の地ファラスのあいだには、フィンロド・フェラグンドナルゴスロンドの王国を築いた。キーアダンとフィンロド、ファラスとナルゴスロンドの民は親しみ、キーアダンの民はノルドールの船造りを助け、フィンロドの民はブリソンバールとエグラレストの港をより美しく堅牢にするのを助けた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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