キングスフィールド
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『キングスフィールド』(KING'S FIELD・略称KF)は、フロム・ソフトウェアが1994年に発売したPlayStationロールプレイングゲームシリーズである。

これまでにシリーズとして正規ナンバー4作、外伝的作品『ADDITIONAL』2作、『キングスフィールド』風RPG作成ソフト『ソードオブムーンライト』の計7作が作られた。

ターン制が主流の日本製RPGとしては珍しく、一人称視点によりアクション色の強い作品で、ジャンルは『3DリアルタイムRPG』としている。
シリーズ作品

キングスフィールド(KF)(
PlayStation、1994年12月16日発売)

キングスフィールドII(KF2)(PlayStation、1995年7月21日発売)

キングスフィールドIII(KF3)(PlayStation、1996年6月21日発売)

キングスフィールドIV(KF4)(PlayStation 2、2001年10月4日発売)

キングスフィールド アディショナルI(PlayStation Portable、2006年7月20日発売)

キングスフィールド アディショナルII(PlayStation Portable、2006年8月24日発売)

『KF3』発売前に、外伝的作品である体験版『キングスフィールドIII パイロットスタイル』が制作され、配布されたことがある。

これらの他、『KF』風3DRPGコンストラクションツール『ソード・オブ・ムーンライト』がWindows版として発売された。サンプルデータとして『KF1』のリメイク版が付属している。

2004年以降には携帯電話アプリ(iアプリezアプリVアプリ)として『キングスフィールド』『キングスフィールド EX』『キングスフィールドモバイルII』がリリースされている。
概要
制作の背景

それまでメインフレーム向けの業務アプリケーションの開発を手がけていたフロム・ソフトウェアは、バブル経済崩壊後の同業種の不況を機にコンピューターゲーム制作への参入を決定した。このとき念頭にあったのはApple II版の『ウィザードリィ』であったという。最初はパソコン向けのゲームとして、『迷宮状の地下空間で3DCGのロボットが活躍するアクションゲーム』の開発がスタートしたが、当時の市販パソコンではグラフィック性能が不足したため開発はほどなく中止された。しかし、3DCGの家庭への普及を目指すPlayStation構想の発表により、地下迷宮の探検というコンセプトだけに絞ったPlayStation用ゲームとして再開発されたのがキングスフィールドである。

『KF1』は最大でも十数名のスタッフという小規模なチームにより半年足らずで制作され、発売日はPlayStation本体発売の13日後であった[1]

発売当初、ニフティサーブのコンピューターゲームフォーラムなどの電子会議室においては、日本ではなじみの薄い一人称視点のアクションRPGであることや、難易度の高さも相まって評価は両極端に分かれた。このため会社がゲーム雑誌に、この作品についての意見を求める広告を出したというエピソードも残っている。やがてその攻略法などが確立するにつれて人気も徐々に高まり、わずか半年で2作目が、さらに約1年で3作目が発売されている[2]

なお、『3DCGのロボットによるアクションゲーム』というもう一つのコンセプトは、『KF』の開発で蓄積したゲーム制作のノウハウを生かして『アーマード・コア』として発表され、フロム・ソフトウェアの看板作品となった。なお『KF』シリーズとは違い視点はロボットの背後から見る形式が採用された。
ゲームシステムと評価

主観視点を採る『KF』シリーズにおいて、画面に映し出されるのは主人公の目から見た冒険の舞台そのものであり、主人公自身はその手ぐらいしか目にすることがない。視界が正面のみに制限されるため、周囲を把握するには積極的に動き回る必要がある。

環境は単にCGで描写されるだけでなく立体的な構造となっており、穴から落下したり上部から矢で攻撃される、背の低い敵は下を向かないと攻撃が当たらないなど高低差を生かしたゲームデザインとなっている。視点を上下に動かす必要もあり『ACシリーズ』と比べると低速で操作量は少ないものの、重要な操作となっている。

フロム・ソフトウェアのゲームデザインとして例に挙げられるように、説明書にはストーリーと基本操作のみで、チュートリアルも無くゲームがスタートする、地図を入手するまでダンジョンの構造はおろか現在地も不明、貧弱な装備で所持金も少ない、セーブポイントは自力で探す必要がある、序盤にある防具の入った宝箱は初期状態のプレイヤーを二度の攻撃で倒すほどの強敵が守っている、回復ポイントは冒険を進め仕掛けを操作をしないと使えないなど、序盤は苦戦を強いられやすく、FPSが一般的ではなかった当時の日本では評価が分かれる原因となった。

特にPlayStation最初期の手探りの中で開発した『KF1』は、3DアクションとRPGの組み合わせが大きな話題となったものの、マップの広さに対する移動速度の遅さ、アイテム使用の煩わしさ、セーブデータ数の制限などシステムが荒削りで、プレイの妨げになっていた。このため『KF2』ではダッシュの要素が加えられた。ダッシュしている間および直後は攻撃が出来ないが、敵から逃げたりその横をすり抜けたり出来る。アイテム使用はメニューから選ぶ形式だったが、連続で薬草を使う際などは面倒だったためショートカットキーが導入された。またセーブデータ数に制限が無くなった。その他にも、『KF3』ではこちらからの攻撃が当たったかどうかを分かりやすくするために、当たったら敵の体が赤く光るようにするなどの工夫が盛り込まれ、会話の記憶やオートマッピングも取り入れられている。しかしヒントなどゲームの難易度に直結する救済措置は追加されず、プレイヤーを突き放すような点は根本的に変わらない。また『KF2』までは攻撃が当たった際には必ず怯んで隙が出来るため、レベルが上がると連続攻撃で比較的楽に倒すことが出来たが、『KF3』では一定以上のダメージでないと怯まないなど、難易度が上昇するような調整も行われている。

『KFII』から『IV』は海外でも発売しており、FPSが有力ジャンルである欧米においては、銃ではなく剣と魔法が主体のアクションと立体ダンジョンの探索が新鮮に映り人気を得ている。

しかしその後に出た『アディショナルI』と『II』ではシステムが一新され、町での移動はマップ上アイコンをクリック、武器や防具に耐久力を導入(0になると壊れる)、エンカウント制のシステムなどに変更された。また、迷宮内の移動はそれまでのリアルタイムレンダリング3DCGではなく、1ブロックごとに移動する昔の3Dダンジョン風となった。
各作品のストーリー
キングスフィールド

小国ヴァーダイトの地下墓所を舞台に、主人公ジャン・アルフレッド・フォレスターが単身冒険を繰り広げる。冒険の末にジャンは聖剣ムーンライトソードを持ち帰り、ヴァーダイトの王となる。
キングスフィールドII

謎の人物・教王に盗まれたムーンライトソードを奪還するために、ジャンの親友でもある隣国グラナティキの第二王子アレフ・ガルーシャ・レグナスがその本拠地メラナット島へと乗り込む。ハイエルフの水晶細工師レオン・ショアの協力を得た彼は第2の聖剣ダーク・スレイヤーを手に入れ、教王と黒竜ギーラを討ってムーンライトソードを取り戻した。
キングスフィールドIII

アレフがメラナット島からムーンライトソードを奪還した後、ジャンは突如闇に落ち、ヴァーダイトは荒廃して二振りの聖剣も失われてしまう。


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