キングウッド(英語: kingwood; 学名: Dalbergia cearensis Ducke)は、マメ科ツルサイカチ属の小振りの樹木の一種である。ダルベルギア・ニグラ(D. nigra、通称: ブラジリアンローズウッド、附属書Iに記載)を除くツルサイカチ属の種全体(ローズウッド類)が2017年10月4日から有効となっているワシントン条約附属書IIに記載されている[3]ため、キングウッドにも附属書IIが適用される。
ウルシ科の Astronium fraxinifolium(英語版) から得られる木材であるゴンサロアルベス(英語版)(ポルトガル語: goncalo-alves)もキングウッドの名で呼ばれる場合がある[4]が、分類を見れば分かるように全くの別物である。 ブラジル[5]の狭い地域に限定して[要出典]生育する。 樹高は15-30メートルと個体によってばらつきがある[5]。後述するように木材となるが、直径25センチメートル以上に生育することが極めてまれであるほどの[6]小径木であるため、大きな材は取れない[7]。 昔ながらの家具に使われる、木材としてのキングウッドの原料である。 キングウッド材の外観に関しては、心材は濃い赤紫褐色で徐々に黒変していく地に、黒、赤紫黒色、赤紫褐色、時に黄金色の縞模様や筋が走っており、光沢があり、精で一定の肌目 性質に関しては、気乾比重が1.20もある重い木材であり、天然乾燥では割れに注意する必要がある一方、人工乾燥では劣化することもなく、乾燥後も安定する[5]。様々な尺度で強度に優れており、重硬であるにもかかわらず刃先を鋭く研摩しておけば手道具でも機械(ろくろ[7]など)でも加工が容易である[5]。刃先を鈍磨させる性質は中庸で[5]、加工中に粉状の木屑が飛散し、木工家 用途としては、アンティーク家具の補修やその模造品の製作、その他の装飾に高い需要がある[5]。木材の大きさも用途も限られてはいるが、ろくろ細工で優れた性質を発揮し、木鉢
分布・生育地
形態・生態
人間との関わり
木材キングウッド材
キングウッドの名の通り木材の王様であり、フランスのルイ14世ならびにルイ15世の時代や英国家具の歴史におけるジョージ王朝時代においては、パリの高級キャビネット工房により好んで使用された[5]。
フランスのキャビネット職人ジャック・デュボワ(フランス語版)(Jacques Dubois; 1694–1763)によりオーク、キングウッド、サテンウッド、パープルウッド、金メッキブロンズを用いて制作された置き戸棚(18世紀中頃、バーミングハム美術館蔵)
オランダ出身でフランスで活躍した家具職人ベルナルド2世・ファン・リーゼンブルヒ(英語版)(Bernard II van Risamburgh; 1700頃–1765)によりオークとスプルースを基本にブラッドウッド、パープルハート、キングウッドで化粧張りされた置き戸棚(1750年頃、ゲティ・センター蔵)
ベルナルドII世・ファン・リーゼンブルヒ作と伝わるオーク、チューリップウッド、キングウッドの寄木細工による執筆用テーブル(ホノルル美術館蔵)
諸言語による名称
英語: kingwood、Brazilian kingwood[9]、tulipwood[9]; 〔アメリカ〕violet wood[5](ヴァイオレットウッド)[7]、violetta[5]