キリエのうた
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キリエのうた
著者
岩井俊二
発行日2023年7月5日
発行元文藝春秋
ジャンル小説
日本
言語日本語
形態文庫判
ページ数288
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『キリエのうた』は、 岩井俊二による日本の小説[1]。岩井俊二が監督・脚本を担当し、2023年10月13日に公開された同名の音楽映画の原作となっている[1][2]
製作

岩井俊二は本作品について「初めは、とある未発表小説の中に書いた女の子2人の小さな物語だった。それがいつしか13年にも及ぶ話になり、自分の想像を越えた重たい十字架をこの子たちに背負わせることになった。彼らはこの世界を自らの足で歩き、懸命に、そして自由奔放に生きている。この空の下のどこかで。」と語っている[1]
あらすじ

5月の夕方、 新宿駅南口路上でシンガーソングライターのキリエは生声とギターで弾き語りを始める。彼女は歌う時以外はほとんど声が出せない。だが、その歌声は歩行者を惹きつけ足を止めさせ、投げ銭をしてくれる人も現れる。

そんな彼女の前にイッコと名乗る女性が立ち止まって歌をリクエストし、キリエが歌い終えると拍手とともに多額の投げ銭をする。外見や雰囲気がまるで別人に思えたため、最初は気付かなかったが、キリエが彼女の家に泊めてもらった翌朝、化粧を落としたイッコの顔には見覚えがあった。さらに、彼女がキリエの本名である路花(るか)と呼びかけたことで、キリエが通っていた帯広の高校の先輩で友人の広澤真緒里だと確信した。

イッコはキリエにマネージャーを申し出る。そして、素の声で歌っていたキリエにイッコがマイクやアンプなど機材や衣装を揃えてくれて、少しずつ規模の大きな路上ライブを仕掛けていくようになる。

真緒里(イッコ)は高校時代に潮見夏彦に大学受験のための家庭教師をしてもらっていた。その時に夏彦は真緒里と同じ高校の小塚路花(キリエ)を自分の妹だと言い、話しかけてやってほしいと頼んだことが真緒里と路花が知り合うきっかけとなっている。

夏彦は仙台市の高校時代に路花の姉・希(きりえ)と交際しており、彼女が夏彦との子を妊娠し結婚の約束をしている。そんな時、東日本大震災が発生し、石巻にいた希と希の母・呼子は津波に巻き込まれ行方不明となってしまう。夏彦は希たちをずっと探し続けており、大阪の阪神大学医学部に合格していたが、地元の惨状にショックを受け、進学は一旦諦め、石巻でボランティア活動をしていた。

震災から2か月後に大阪・藤井寺の小学校教師・寺石風美が古墳公園の木の上で生活していた当時9歳の路花を見つけて自宅で保護する[注 1]。そして、SNSで調べると夏彦が路花の関係者らしいと考えて夏彦に連絡をすると、夏彦は石巻からすぐに藤井寺まで駆けつける。

夏彦と風美はひとまず地元の児童相談所に路花を連れて相談に行くが、2人の児童福祉司は熱心に話を聞いてくれながらも、夏彦と風美に路花との血縁関係がないからと何の断りもなく、路花はいきなり一時保護所に送られている。児童相談所から再度問い合わせがあった際に、夏彦は自分が路花の面倒を見たいと申し入れているが断られ、その後の路花の処遇は個人情報だからと一切教えてもらえず、後になって仙台の「あおば子供の家」に中学までいたことを知る。

夏彦はその後、北海道の十勝畜産大学に進学し牧場の仕事をしており、路花も帯広の愛国高校に進学したと夏彦にDMで連絡している。やがて、帯広の里親と上手くいかなくなった路花が夏彦の家にやって来ており、2人で暮らしていた。

そんなある日、宮城県の児童福祉司・沖津亜美が男性の福祉司2人と帯広の児童福祉司3人と共にやって来て、路花を保護し里親の元に連れ戻している。その後、路花は夏彦と会うことはなかった。年月を経て、キリエと同居していたイッコが西麻布の夜のフィクサー・越智柚子子と関わり結婚詐欺事件を起こしたことで、新宿南警察署から連絡を受けやって来た夏彦が署内の廊下でキリエ(路花)と再会することになる。

キリエの音楽活動に協力してくれている松坂珈琲たちが企画した「路上主義・新宿中央公園フェス」は、いろんなバンドやボーカリストが参加し11月の連休に開催された。イッコはしばらく行方不明になっており、フェスの前にはキリエの所に帰り、直前までキリエに連絡をしていたが、当日会場に現れることはなかった。

フェスは3日間開催される予定だったが、近隣のホテルや住民から苦情が寄せられ、取っていた公園の使用許可書が見当たらないというハプニングまで起きてしまったことで半日で中止となっている。ちょうどキリエバンドがステージに上がった時に中止が言い渡されたが、風琴が小さな音で鳴らし始めたスネアドラムに他のメンバーの音が加わって偶然に「憐れみの讃歌」のイントロとなり、キリエがマイクを握り歌声を会場に轟かせた。
登場人物

※ キリエとイッコについては、状況に応じて路花と真緒里を使用し、紛らわしい箇所は併記している(あらすじ節も同様の表記)。
主要人物
キリエ / 小塚路花(こづか るか)
住所不定の路上ミュージシャン。
宮城県石巻市生まれ。東日本大震災に遭って以来、歌う時以外はほとんど声を出せない[注 2]。震災で母と姉を亡くしている。Kyrie(キリエ)は姉の名前から付けたアーティスト名。新宿での路上ライブ中に高校時代の先輩で友人のイッコ(真緒里)と再会する[注 3]
イッコ / 一条逸子(いちじょう いつこ) / 広澤真緒里(ひろさわ まおり)
路花が通学していた帯広の愛国高校の一つ上の先輩。当時真緒里から声をかけて友人となっている。キリエのマネージャーを申し出る。広澤真緒里という名前は捨てたと言い、一条逸子(イッコ)[注 4]と名乗っている。
潮見夏彦(しおみ なつひこ)
横井の牧場の従業員。横井に頼まれて真緒里の家庭教師をしていた。生まれは宮城県仙台市で小中学校時代は石巻市で暮らしていた。仙台の高校時代に路花の姉・小塚希と交際、結婚の約束をしており、義妹になるはずだった路花を自身の妹のように大切に思っている。高校時代はバンドでギターを弾いており、詩と曲も書いていた。路花に最初にギターを教えたのは夏彦である。
寺石風美(てらいし ふみ)
大阪藤井寺市の小学校の教師。古墳公園の木の上で生活しているイワンと呼ばれていた少女[注 5]を自宅で保護する。SNSで石巻にいる夏彦が少女の関係者らしいと知り、連絡すると夏彦はすぐに大阪まで来ている。
キリエ / 路花の関係者
小塚呼子(こづか よぶこ)
路花と希の母。夫を海の事故で亡くしている。高齢者介護サービスの仕事をしていた。希の妊娠判明後に挨拶に来た夏彦を笑顔で歓迎している。東日本大震災で亡くなっている。
小塚希(こづか きりえ)
路花の姉。夏彦の小中学校時代の1年後輩。石巻白百合女子高校の2年生だった。夏彦の彼女で夏彦との子を妊娠、結婚の約束をしている。東日本大震災で亡くなっている。
沖津亜美(おきつ あみ)
宮城県の
児童相談所のベテラン児童福祉司。路花の担当を長期間しており、路花が帯広の高校に進学するために里親も探している。里親と上手くいかなくなり、夏彦と同居するようになっていた路花を帯広の児童福祉司と共に里親の元に連れ戻している。
藤井寺市の児童福祉司
2人の女性福祉司。夏彦と風美から路花の事情を熱心に聞くが、夏彦と風美に路花との血縁関係がないからと2人には何の話もなく、路花を一時保護所に送っている。
大阪の路上ミュージシャン
小学生の路花と知り合い、一緒に路上で歌い投げ銭を得ていたが、警察に捕まってしまう。路花はその後も公園などで歌っており、投げ銭は得られなかったが、多くの通行人からいっぱいの拍手をもらっている。
キリエの付き人の女性
大学卒業後、勤務していた映像関連の会社を過重労働に疲れて職場放棄の上、ネットカフェで滞在中にキリエと知り合い、正式に辞職した後、キリエの付き人となる。キリエと風琴から聞いた話をブログに書き綴っていたものが出版社の目に止まり、夏彦や風美、珈琲ら関係者の取材を加え、「キリエのうた」として出版される[注 6]


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