キューポラのある街_(映画)
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キューポラのある街

監督浦山桐郎
脚本今村昌平
浦山桐郎
原作早船ちよ
キューポラのある街
出演者吉永小百合
浜田光夫
東野英治郎
加藤武
市川好郎
音楽黛敏郎
撮影姫田真佐久
編集丹治睦夫
製作会社日活
配給日活
公開

1962年4月8日[1]

1962年5月11日(カンヌ国際映画祭[1]

上映時間99分
製作国 日本
言語日本語
次作未成年 続・キューポラのある街
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キューポラのある街』(キューポラのあるまち)は、1962年(昭和37年)4月8日に公開された日本映画である。日活の助監督だった浦山桐郎の監督昇格デビュー作[2]モノクロシネマスコープ(2.35:1)、99分。

第13回ブルーリボン賞作品賞受賞作品。監督の浦山も第13回ブルーリボン賞新人賞・第3回日本映画監督協会新人賞を受賞したほか、吉永小百合が史上最年少の17歳で第13回ブルーリボン賞主演女優賞を受賞し、大きく飛躍するきっかけになった[3]
概要スタッフとキャスト。浦山桐郎市川好郎吉永小百合浜田光夫ら。

1961年(昭和36年)4月、単行本化されたばかりの『キューポラのある街』を浦山は見つける。同年夏、浦山は今村昌平とシナリオを完成させた。会社は吉永小百合を主役に使うならという条件で、浦山の初監督作品として撮影を許可した。同年12月24日、クランクイン[4]。ジュンを演じた吉永は当時、16歳(高校2年生)だった。川口市、埼玉県立浦和第一女子高等学校でロケが行われた[5]

1962年(昭和37年)4月8日、公開。封切り時の併映作品は『青年の椅子』(監督:西河克己、主演:石原裕次郎)。同年5月の第15回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された[1]アンセルモ・ドゥアルテの『サンタ・バルバラの誓い』がパルム・ドールを獲得した。このとき審査委員を務めていたフランソワ・トリュフォーは、1963年4月に第3回フランス映画祭に参加するため来日した際のインタビューでこう話した。「私は文句なくこの映画を推した。だが映画祭に集まる人たちは、最も俗な観客でもあるのです。彼等は文字通りお祭り騒ぎに浮かれていて、こうした多様な主題をもつ作品の価値を認めることを怠っていたのです」[6]

キネマ旬報』の同年度の日本映画ベストテンで2位に選出され、『映画評論』の同年度の日本映画ベストテンで1位に選出された。第13回ブルーリボン賞で作品賞を受賞。浦山が新人賞を、吉永が主演女優賞を受賞。浦山は第3回日本映画監督協会新人賞も受賞した。

1965年には、続編『未成年 続・キューポラのある街』(監督:野村孝)が公開された。

1989年、文藝春秋が行った誌上アンケート企画「大アンケートによる日本映画ベスト150」で、42位にランキングされた。

在日朝鮮人の帰還事業を肯定的に描いた(続編『未成年 続・キューポラのある街』においても、日本に残った日本人妻を主人公が説得して北朝鮮に渡らせるという@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}原作にないストーリーが加えられている[要出典])として批判されることがある[誰によって?]。これに対し、全国日刊紙などが率先して帰還事業を歓迎した製作当時の日本の社会情勢を考慮すれば、この描写はやむを得ないとして弁護する意見もある[誰によって?]。

共同脚本の今村昌平は晩年、本作について、「当時は食えなかったんで(略)“北朝鮮は天国のような大変良いところだ”とデタラメを書いてた」と述懐した[7]
あらすじジュンと同級生たちジュンと野田先生

鋳物工場のキューポラが立ち並ぶ埼玉県川口市。町工場に勤務する鋳物職人・石黒辰五郎の長女で中学3年生のジュン(漢字では淳)は、全日制の高校進学を目指している。そんな中、仕事中の大怪我の後遺症で満足に働けなくなった辰五郎は、勤務先が同業他社に買収されたことに伴い、人員整理の対象になる。石黒家では小学校6年生の長男・タカユキ、未就学の次男・テツハルがいるのに加え、赤ん坊が生まれたばかりであり、家計は火の車となる。隣人で辰五郎の元同僚の若者・克巳が石黒家を見かね、新会社の労働組合を通じて社長にかけ合い、数か月分の傷病手当金相当の金額を支払わせることに成功するが、「アカの世話になった」ことを恥じる辰五郎は、その金をすべて酒とオートレースにつぎ込んでしまう。

ジュンは生活費や志望する全日制高校(埼玉県立第一高等学校)入学に必要な学費を稼ぐため、級友のヨシエが働くパチンコ店アルバイトを始める。動けるようになった辰五郎の妻でジュンたちきょうだいの母・トミも、それまで従事していた内職を止め、居酒屋で働き始める。タカユキは小遣い稼ぎのために野鳩の卵を集め、伝書鳩として訓練して売り捌くことを思いつくが、かえったヒナを猫に食べられるなどして上手くいかない。

修学旅行を控えていた中学のクラスでは、物価高騰に伴い、生徒たちが小遣いとして携行出来る現金の額を引き上げるよう教師たちに要求しており、学級会で採決をすることになった。居合わせた担任教師の野田は、積極的に賛意を示さなかったジュンを気にかける。野田は下校中のジュンを追い、パチンコ店に入ったところを認める。そこに野田の元教え子である克巳が現れてジュンの事情を説明する。翌日、野田は市の教育委員会が貧困生徒のために修学旅行費用を助成していることを教え、ジュンに小遣いを渡す。

辰五郎はジュンの級友であるノブコの父・東吾の紹介で新たな鋳物工場の職を得るが、オートメーション化された工場の中に勘と経験を頼りとする古い職人の居場所は無く、家族に告げずに辞職してしまう。辰五郎はジュンが修学旅行に出発する日の朝にそれを明らかにし、家族は恐慌をきたす。ノブコに会わせる顔が無くなったジュンは集合場所の川口駅へ行かず、河川敷で時間をつぶし(その時、初潮が来たと思わせるシーンがある)、普通列車に乗って志望校のある浦和へ行く。フェンス越しに高校をのぞいたジュンは、お遊戯会のような体育の授業を目の当たりにして幻滅する。一方同じ頃、同じように学校をサボって浦和に来ていたタカユキは、育てた鳩をそこで放し、自宅の鳥かごに帰って来させることに成功する。

川口に戻ったジュンは、思わずトミの働く居酒屋をのぞいたところ、トミが男相手に愛想を振りまく様子を見てショックを受ける。そこでジュンは不登校生の通称「リスちゃん」に再会し、バーに誘われ、初めて酒を飲む。そこで不良少年たちに乱暴されかけるが、危うく逃れる。この日以来ジュンは中学校に行かなくなる。

ジュンを心配した野田が石黒家を訪問する。「勉強したって意味がない」と吐き捨てるジュンに、野田は「受験勉強だけが勉強ではない。高校に行かずに働くとしても、目の前で起きることへの理解を積み重ねて、いつでも自分の意見を持つために、人は勉強をしていかなければいけないのだ」と諭す。登校を再開したジュンは、社会科見学で大手電機メーカーの日立製作所の工場を訪れる。働きながら定時制高校で学び、コーラスなどの部活動にも勤しむ女性工員たちの姿を見て、ジュンは自立した現代の労働者の姿を見い出し、憧れを抱き始める。


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