『キュプリア』(ギリシア語: Κ?πρια, Kypria, ラテン語:Cypria)は、古代ギリシアの叙事詩で、トロイア戦争を描いた「叙事詩環」の1つ。叙事詩の環の中ではもっとも早い時代を扱っていて、『イーリアス』はこの後に来る。ただし、作られたのは明らかに『イーリアス』の方が早い。全部で11巻から成り、ダクテュロス・ヘクサメトロス(長短短六歩格)で書かれている。しかし、わずかに断片が残っているだけである。 ヘーロドトスの『歴史』(紀元前440年頃)に言及されていることから[1]、古典時代にはかなり有名な作品で、テキストも固まっていたようである。書かれた時期は紀元前7世紀の終わり頃とも言われるが[2]、確かな証拠はない。 古代の言い伝えでは、ホメーロスが娘の婿のキュプロスのスタシーノスに持参金として与えたと言われていた[3]。ピンダロスの失われた『ネメア祝勝歌』にもそういうほのめかしがあったらしく、後世の著作家たちはその逸話を繰り返した。確かにそれなら題名の『キュプリア( Κ?πρια)』とキュプロス(Κ?προ?)との関係の説明がつく。他に作者として名前が挙がっている人物には、キュプロスにいたサラミスのヘゲシアス[4]、ハリカルナッソスのキュプリアスがいる。 『キュプリア』のオリジナルのテキストは他人の引用の中に50行が残っているだけである。内容については、プロクロスの『Chrestomathy』の書いた「叙事詩の環」の散文のあらすじに頼るしかない状況である。
創作年代
作者
テキスト
内容
トロイア戦争のきっかけ。ゼウスが大地の負担を軽くしようと戦争によって人口を減らすことにする。これはメソポタミアの叙事詩『アトラ・ハシス(Atra-Hasis
ペーレウスとテティスの結婚。
パリスの審判。女神アテーナー、ヘーラー、アプロディーテーが、自分たちの中で誰が一番美しいかをパリス(現存する『キュプリア』のあらすじでは「アレクサンドロス」と呼ばれている)に審判させる。パリスはアプロディーテーを選び、褒美としてメネラーオスの妻ヘレネーを与えられる。
アプロディーテーの指示でパリスは船を造る。
ヘレノスがパリスに未来を予言する。
アプロディーテーはアイネイアースに共に航海するよう命じる。
カッサンドラーが結果を予言する。
ラケダイモーンで、トロイア人はテュンダレオースの息子たち、カストールとポリュデウケース、メネラーオスから歓待される。メネラーオスはそれから妻のヘレネーに客が必要とするものはすべて与えるよう命じて、クレーテー島に向けて出帆する。
アプロディーテーはパリスとヘレネーを結び合わせる。パリスはヘレネーとその持参金を故郷トロイアに持ち帰る。
シドンでのエピソード。パリスと部下たちは急襲に成功する。
カストールとポリュデウケースはイーダースとリュンケウスの牛を盗みが捕まって殺される。ゼウスは2人に1日おきの不死を与える。
イーリスから報せを受けたメネラーオスは、帰国し兄弟のアガメムノーンとともにトロイア遠征の計画を練る。二人はヘレネーの昔の求婚者たちを招集する。彼らはヘレネーを争っている時、誰であろうと勝った者の権利を守ると誓い合っていた。
余談として、ネストールがメネラーオスに、エポーペウス
リーダーたちの集まりで、オデュッセウスの偽りの狂気を見破る。
集められたリーダーたちがアウリス(現エヴィア島のアウリダ Αυλ?δα