キヤノン_EOSシリーズ
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EOSシリーズ(イオスシリーズ)は、キヤノンが発売してきたオートフォーカス一眼レフカメラミラーレス一眼カメラのシリーズである。

なお、便宜上、EOSと同じEFマウントを採用したマニュアルフォーカスカメラ「EF-M」(日本国外専売機種)も本項目で解説する。
概要EOS650EOS kiss III(国外名EOS 300)

1985年昭和60年)にミノルタ(現・コニカミノルタ)が世界初のオートフォーカス一眼レフカメラシステム「αシステム」とともに代表機種「α7000」を発表、一眼レフカメラ業界に大きな衝撃を与えた(いわゆる「α-ショック」)。同年キヤノンは「キヤノンT80」という FD マウントの専用レンズ3本によるオートフォーカス一眼レフカメラを販売したが、実験的要素の強いカメラで実用性に乏しく、発売が α7000の登場直後であったため販売は不振に終わった。キヤノンは本格的なオートフォーカス一眼レフカメラとして1987年に EOS シリーズを投入した。「EOS」とは、当時のシリーズ全体の開発コード「Electro-Optical-System」の略であり、ギリシャ神話に登場する女神エーオースの名でもある。

他社のオートフォーカス一眼レフカメラとは全く異なる開発方針を採り、その中核として旧来のFDマウントシステムを捨て、新開発の大口径完全電子マウント「EFマウント」を採用した。連動爪のような機械的連動機構を完全に廃し、オートフォーカス駆動と絞り制御はレンズに内蔵したコンピュータとモーターで行い、レンズ・ボディ間の信号授受は電気信号のみによるという全く新しいものに切り替えた。この新マウントによってこれまで実現不可能だったAE機構搭載のシフトレンズ「TS-Eレンズ」や超大口径レンズ「EF50mmF1.0L USM」を製品化したほか、大口径マウントと超音波モーター(USM) による極超望遠レンズ「EF1200mm F5.6L USM」を世に送り出した。

また、先進技術を他社に先駆けて取り入れ、超音波モーター(USM)の採用により実現した「フルタイムマニュアルフォーカス」、EOS100QD から始まった静粛静穏のサイレント機構、EOS10QD から始まった多点測距オートフォーカス機構、多分割評価測光AE機構、EOS5QDから始まった視線入力オートフォーカス機構、Image Stabilization (IS) と呼ばれる手ぶれ補正機構搭載レンズ群、多層型回折光学素子 (DO レンズ) など様々なテクノロジーを開発・採用してきた。特にフィルムカメラの最終フラッグシップ機となった EOS-1V では45点オートフォーカス、21分割評価測光 AE、パワードライブブースター装着時秒間最高10コマの連続撮影、防塵防滴機構など最高水準のスペックを誇っていた。

ユニークなものとしては、キヤノンが1989年に発売した EOS RT および EOS-1N RS が挙げられる。この2つのカメラは「ペリクルミラー」(Pellicle mirror)と呼ばれる半透明、超薄膜の固定式ハーフミラーを使った機種であった[1]。撮影レンズを通った光線はこのミラーによりファインダーとフィルムに分割して導かれるため、シャッター時のミラー上下が不要となる。これにより露光中にファインダー像が消失しないという最大利点のほか、ミラーの作動ショックや騒音の廃絶、レリーズタイムラグの極短化などのメリットを生み、長時間露光やストロボ撮影、スポーツ・報道写真など「決定的瞬間」を重視する撮影に大変有利な機種であった。EOS-1N RS はレリーズタイムラグを極限まで短縮化(0.006秒)するモード(リアルタイム・レリーズモード)に設定した場合、オートフォーカス一眼レフカメラとして世界で初めて秒間10コマの高速連写を実現したカメラであった。
35mmフィルム使用カメラ

EOS650 / EOS650QD(
1987年発売) - EOS 第一号機。新たに開発した CMOS 位相差検出 AF センサー「BASIS」、大口径の完全電子制御 EF マウントを搭載してセンセーショナルなデビューを飾った。裏蓋に日付写し込み装置のついた EOS650QD も発売された。詳細は「キヤノン EOS 650」を参照

EOS620(1987年発売)- EOS650 の上位モデルとして開発された。プログラム AE がシフト可能になり、シャッターを最高1/4000秒(X=1/250秒)に対応した高級型に換装したほか、世界初の有機ELバックライト付液晶ディスプレイを装備した。詳細は「キヤノン EOS 650」を参照

EOS750QD(1988年発売)- EOS シリーズでは最初にスピードライトを内蔵した。モードセレクターダイヤルの搭載、EOS 入門機の標準機能となったプリワインド式巻上げ機構もこの機種からである。プログラム AE と深度優先 AE を装備する機種で絞りやシャッター速度優先の AE は搭載されていない普及帯向けの製品。液晶ディスプレイは搭載せず、フィルムカウンターは機械式。

EOS850 / EOS850QD(1988年発売)- EOS750 QD のスピードライトを省略した最廉価機種。QD のつかない EOS850 はデートバックも省略されている。いずれの機種も液晶ディスプレイは搭載せず、フィルムカウンターは機械式である。

EOS630QD(1989年発売)- EOS650 を発展させた EOS600 シリーズの最上級機。単体で秒間5コマの高速連写が可能である。現在も愛用者が多い。グレーとブラックのカラーバリエーションがある。詳細は「キヤノン EOS 650」を参照

EOS-1 / EOS-1HS(1989年発売) - EOS シリーズ最初のフラッグシップ機であり、多くのプロ・ハイアマチュアに愛用された。それまでの機種と比較してオートフォーカス性能が飛躍的に向上しており、EOS で初めて縦縞・横縞のどちらの被写体にもフォーカスできるクロスタイプオートフォーカスセンサー[2]を搭載したほか、暗所での測距性能やフォーカス速度も向上し、特に動体に対する性能は抜群であった。「水滴や汚れを拭き取りやすいことも性能の一部」とし、曲線を多用した独特なデザインは好みの分かれるところであったが、この後少しずつ形状を変えながらもデジタル一眼レフカメラに至るまで EOS-1 系という EOS のフラッグシップ系譜を形成している[3]。裏蓋のサブ電子ダイヤルが装備されたのもこの機種が最初である。姉妹機 EOS-1HS は、EOS-1 にパワードライブブースターE1を取り付けて最大秒間5.5コマの連写を実現したもの。通常の EOS-1 もパワードライブブースターE1を装着すると EOS-1HS として使えるように設計されている。

EOS RT(1989年発売) - EOS630QD をもとに開発され、オートフォーカス機のタイムラグを極力なくすべく生まれたペリクルミラー搭載モデル。一眼レフカメラはその機構上シャッターを切った瞬間にミラーアップし視野全体がブラックアウトしてしまうが、半透明のペリクルミラー(光の透過率は透過:反射が65:35)を採用することによりその問題を解決した。シャッタータイムラグは RT モードで0.008秒でありマニュアルフォーカス機を凌ぐほどであった。ペリクルミラーの採用は1972年のF-1高速モータードライブカメラ以来。なお「RT」はリアルタイム(Real Time )の略である。詳細は「キヤノン EOS 650」を参照


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