キャラクター
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「キャラクター」のその他の用法については「キャラクター (曖昧さ回避)」をご覧ください。
4人のコンメディア・デッラルテの登場人物。その衣装と態度は、このジャンルで描かれている一般的なキャラクターの役割を示している。

キャラクター(語源:character)は、小説漫画映画アニメコンピュータゲーム広告などのフィクションに登場する人物動物など(登場人物)、あるいはそれらの性格性質のこと。また、その特徴を通じて、読者視聴者消費者に一定のイメージを与え、かつ、商品企業などに対する誘引効果を高めるものの総体[1]
概説

人間動物のような生物や、生物を模したロボットに限らず、さまざまな道具、時には生物の器官元素、さらには感情自然国家など、ありとあらゆる概念擬人化デフォルメを介することでキャラクター化されうる。略してキャラとも言われる。

「キャラクター」の語源である英語の「character」という語の本来の意味は、「特徴」「性質」などであり、元の語源はギリシャ語で「刻まれた記号」。その意味での用例として、似た性質を持つ人物が社会集団に複数いる状態を『キャラがかぶる』と表現することがある。また、人物を意味する場合も本来は架空の登場人物とは限らず、日本語でもCMキャラクターなどは実在の人物をさす用例も多い。

日本語において、架空の登場人物を指す「キャラクター」という言葉は、1950年代ディズニーアニメーション映画の契約書にあった「fanciful character」を「空想的キャラクター」と訳した際に誕生したとされている[2]
登場人物としてのキャラクターアニメキャラクター(鬼太郎)の着ぐるみ

通常は物語を構成するために位置づけされる登場人物のことを指す。物語に関与しない群集(モブキャラクター)や通行人などがキャラクターと呼ばれることは少ない。キャラクターには必要に応じて外見的特徴や内面的特徴(具体的には体格、服装、職業、経歴、特技、欠点、口癖など)が設定される。

広く大衆性を獲得した場合、そのキャラクターは帰属する集団の一般的イメージを再定義する[3]シャーロック・ホームズなどのいわゆる名探偵から連想される探偵像は、現実の21世紀初頭における探偵とは乖離したキャラクター像となる。また、実在した人物を題材にして作品が作られた場合も、実際とは程度の差こそあれ、かけ離れた人物像が広く認識されることもある。たとえば宮本武蔵または坂本龍馬の一般的イメージは、吉川英治司馬遼太郎の小説作品による影響を色濃く受けている。また、企業などの放送コマーシャルやポスター媒体の広告モデルとして起用されるタレント・俳優・モデルらのことを「(商品名・または企業名)イメージキャラクター」として紹介される事例も多い。
キャラとキャラクター

漫画評論家の伊藤剛は、その著書『テヅカ・イズ・デッド』にて、図像として描かれて「人格のようなもの」を想起させ、作品を離れて自律化しうるキャラと、それをベースとしてテクストの背後に人生や生活を感じさせるものとしてのキャラクターを使い分けている。そして、例えば「『NANA』はキャラクターは立っているがキャラは弱い」というように、キャラクターとしての強度とキャラとしての強度は一致しないとしている(『NANA』の例でいえば、登場人物の一人であるハチがあたかも現実に存在するかのように思えるという意味でキャラクターは立っているが、二次創作などを通じて原作と異なる環境でも存在感を発揮するという意味でのキャラの強度は低いと考えられる)。[4]

この「キャラクター」と「キャラ」の使い分けは、しばしば批評家東浩紀が提示したデータベース消費と絡めて言及される。円堂都司昭によれば、データベース消費論でいうところの物語の水準が「キャラクター」でデータベースの水準が「キャラ」となる[5]。さらに、現実世界における擬似的な仮想人格としてのキャラについて論じるときも、伊藤の「キャラ/キャラクター」の使い分けが援用されることがある[注 1]
キャラクターの商品展開

優れたキャラクターは高い人気を持ち、ぬいぐるみフィギュアなどの玩具や置物、キャラクターの印刷された衣類や日用品、文房具などの商品によって、キャラクターの出自である作品以上の売上がもたらされることも稀ではない。

漫画やテレビなどのキャラクターを商品に印刷したり、企業のイメージアップに広告などテレビCMに使うなどすると、ライセンス料を払わねばならないためコストは上がるが企業のイメージアップや販促に有効な手段であるので、キャラクターの作成と著作権保有に力を入れている企業、団体も多い。

そのほか、公共交通機関を運営する会社に於いても、会社の所有する乗り物でキャラクターを作ったり、擬人化された動物等に会社の制服を着せる等して、それを、関係施設や切符などにプリントしたりして、イメージアップを進めていたりする。首都高の場合は『Mr.ETC』、東京急行電鉄(東急)の場合は『のるるん福岡市交通局(福岡市地下鉄)の場合は『ちかまるくん』、京阪電鉄の場合は『おけいはん』と呼ばれるイメージキャラクターが存在する。

ミッキーマウス」は商業的かつ世界的にも成功したキャラクターのひとつであり、多くのキャラクター商品が販売されている。ゲームの隠しキャラクターだった「うみにん」のように出自の作品の知名度は大して無かったものの、商品化によって人気を獲得する例もある。また、「ハローキティ」「バービー」「モンチッチ」のように商品であることを目的としたキャラクターも多く考案されていて、それらの中には元々背景となる物語が存在しない物もある。
対象

70年代以前はキャラクターを使った商品展開の対象は主に子供たちであったが、東京ディズニーランドのオープン以降は大人達へも広がっていき、80年代にはロボットアニメブームにより大人も対象とした商品展開が増え始めた。近年ではアニメなどの流行により、その対象は広い世代に拡大しつつある。

例えば銀行で既存キャラクターを統一的に使用し、預金者に対しグッズをプレゼントしたりキャッシュカード通帳に描くことでそのキャラクターのファンに顧客になってもらおうとする広い意味での広告手法は広く取られている(三菱UFJ銀行におけるディズニーキャラクター、横浜銀行におけるトムとジェリーなど)。また、近年ではアニメファンなどを対象とし、キャラクターを用いた商品展開も挙げられる(埼玉県久喜市(旧・鷲宮町)・幸手市におけるらき☆すたを起用した町おこし秋田県羽後町における西又葵キャラ起用商品など)。
各分野のキャラクターグッズ
プロ野球

プロ野球でのキャラクターグッズの第1号はプロ野球選手のサインボールという説がある[6]朝日新聞夕刊1985年4月12日付で「応援バット」を取り上げた記事の中で「キャラクター商品のはしりは昭和30年代前半。後楽園不動産の渡辺正吾事業部長(59)が、販売部員のとき、サインボールを手がけたのが最初という。『相撲を観に行くと、力士手形などを土産にくれる。あれがヒントです。長嶋の入団で人気が出たのでいけると思った。ただ球団は嫌がるし、ベンチじゃ頼めない。百個ぐらいまとめて選手の家に持ち込み、奥さんに頼んだものです。手土産さげてね。サイン代?一個百円だったかな。飛ぶように売れて、にせものまで出る騒ぎでした」と書かれている[6]
問題点

日本においてキャラクターを使った商品展開は深く浸透しているが、一方で以下のような批判や問題もある。

本来子供向けに展開されている
ウルトラマン仮面ライダーなどの特撮、聖闘士星矢緋弾のアリアなどの少年漫画、並びにそれらを原作としたアニメ作品などをパチンコパチスロにまで起用している[注 2]。一方で、パチンコアダルトゲームなどの成人向けサービスに由来するキャラクターを子供を含む一般向けにメディアミックス展開するといったケースも多く見られ、節操のない展開が著作権の乱用ではないか、と指摘する者もいる(これらの成人向けサービスは保護者同伴でも利用不可能なため、不公平なものになる)[要出典]。


キャラクターが古い、子供っぽい、時代に合わないなどで嗜好に合わなくなったという理由で、商品自体の寿命に関わらず捨てられてゴミと化することがある。[7]スーパー戦隊シリーズ』や『プリキュアシリーズ』などの子供向けアニメ特撮の一部の玩具・文具・衣料・食品商品や深夜アニメの文具商品のように、商品の販促を目的とし、供給側(製作者、著作権者、メーカー(スポンサー))の都合で1クール(=3ヶ月)?1年単位の短期間で頻繁に入れ替わるキャラクター商品で顕著に見られる。またメーカー・問屋・販売店が抱えた在庫商品についても、それらを整理するため安価での販売を余儀なくされることもある。売れ残る場合、値段が下げられない場合、食品など消費期限が短い商品が売れ残った場合は一般廃棄物産業廃棄物となる可能性がある[8]

市場規模・実態

キャラクター商品の小売市場規模推移(日本国内。単位:億円)[9]

1995: 17500

1996: 16500

1997: 18500

1998: 19300

1999: 20700

2000: 16800

2001: 16300

2002: 16000

2003: 17000

2004: 16420

2005: 16100

2006: 16018

2007: 15936

2008: 15406

2009: 15770

2010: 16170

2011: 16060


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:48 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef