キャバレー
Cabaret
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監督ボブ・フォッシー
脚本ジェイ・アレン
『キャバレー』(Cabaret)は、1972年のアメリカ合衆国のミュージカル映画。ボブ・フォッシーが監督し、ライザ・ミネリ、マイケル・ヨーク、ジョエル・グレイが出演した[3]。1931年、ナチスが台頭してきたヴァイマル共和政時代のベルリンを舞台にしている。
1939年のクリストファー・イシャーウッドの小説『さらばベルリン』、1951年の舞台『私はカメラ』を基に舞台化された1966年のケンダー&エブによるブロードウェイ・ミュージカル『キャバレー』を大まかにもとにし、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーが映画版を製作、1972年に公開された(舞台版とはエンディングが異なる)。舞台版『キャバレー』の曲は数曲のみが使用され、ケンダー&エブは新曲を作曲した。舞台版では従来のミュージカルの形式に則り、主要登場人物が感情を歌に乗せる。しかし映画版ではクラブでの曲と唯一MC、サリー以外が歌う『Tomorrow Belongs to Me 』の他は、ミュージカル曲は全て台詞に置き換えられた。
1969年、ボブ・フォッシー監督の映画『スイート・チャリティー』が興行収入において失敗し、1972年、フォッシーは映画『キャバレー』に再起をかけ、この年の監督で最高の称賛を得た。同年度の第45回アカデミー賞では、サリー役として初めて映画で歌ったライザ・ミネリの主演女優賞、舞台版と同じMC役を演じたジョエル・グレイの助演男優賞、ボブ・フォッシーの監督賞のほか、撮影賞、美術賞、録音賞、オリジナル・ミュージカル賞、編集賞などの計8部門を受賞し、作品賞を受賞していない作品で最多受賞記録となった。『エンパイア』誌が選ぶ史上最高映画作品500選の367位となった[4]。
公開当初から評判が良く、最終的に興行収入2千万ドルとなった。アカデミー賞の他にナショナル・ボード・オブ・レビュー、ハリウッド外国人映画記者協会から作品賞、グレイはこれら2組織と全米映画批評家協会から助演男優賞を受賞した。しかし最大の勝者はフォッシーである。第45回アカデミー賞直前、フォッシーは自身の舞台で最大のヒットとなった『PIPPIN』でトニー賞の演出賞および振付賞を受賞していた。ミネリのスペシャル番組『ライザ・ウイズ・ア・Z(英語版)』の監督および振付でプライムタイム・エミー賞を受賞し、トニー賞、アカデミー賞、エミー賞の3賞を1年のうちに受賞した最初の監督となった。
ストーリーサリー・ボウルズ(ライザ・ミネリ)
1931年、ベルリン。スターに憧れるアメリカ人の娘サリー・ボウルズ(ライザ・ミネリ)はエムシーが取り仕切っているキャバレーキットカットクラブで歌手として働いている。ある日、イギリスから来たという学生ブライアン・ロバーツ(マイケル・ヨーク)がサリーの下宿に引っ越してくる。学生で作家のブライアンは博士号を取得するまでの間、生活のために英語を教える。サリーはブライアンを誘惑しようとするがうまくいかず、ブライアンは同性愛者なのではないかと疑う。ブライアンはサリーに、これまで3回女性と関係を持とうとしたがいずれも失敗したのだと語る。二人は友情で結ばれ、ドイツのヴァイマル共和政終焉の頃、ブライアンはサリーの自由奔放な生活を目の当たりにする。しかしサリーとブライアンは恋人に発展し、これまでの3名の女性は合わなかっただけだと気付く。
その後サリーはマクシミリアン(通称マックス)(ヘルムート・グリーム)という裕福でプレイボーイの男爵と友達になり、サリーとブライアンは豪邸に招待される。マックスがサリーとブライアンを誘惑し、二人の関係に変化をもたらしていく。ブライアンと関係を持つと、マックスは2人への興味を失い、アルゼンチンへ旅立つ。口論の中、サリーはブライアンにマックスと関係を持ったことを暴露すると、ブライアンもマックスとの関係を明かす。のちにブライアンとサリーは仲直りし、サリーはマックスが2人に金銭を残したとし、ふざけて売春の代金と比較する。
サリーは妊娠するが、父親が誰かわからない。ブライアンは結婚して自分の大学のあるケンブリッジ に連れて行こうとする。最初は2人ともそのつもりで新生活を共にすることを祝うが、サリーとブライアンがピクニックに行った際、ブライアンはよそよそしくつまらなそうにし、サリーはおむつを洗って生活する、教授の妻の生活を思い描いて失望し、妊娠について悩み始める。結局サリーはブライアンに相談することなく中絶する。ブライアンがサリーに問いただすと、サリーは恐れを明かして互いを理解する。ブライアンはイングランドへ向かい、サリーはキットカット・クラブで活躍しベルリンでの生活を続けるが、ナチスの制服を着た男たちがクラブの最前列に並び、残り時間が少ないことを思い知らされる。 クリスチャンとしてドイツに住みユダヤ人の出自を隠すフリッツ・ヴェンデル(フリッツ・ウェッパー)は裕福なユダヤ人のナタリア・ランダウアー(マリサ・ベレンソン)に恋するが、ナタリアはフリッツの動機を疑い軽蔑する。経験豊富なサリーがアドバイスし、フリッツはついにナタリアの愛を獲得する。ナタリアの両親に結婚の許可を求める際、フリッツは本当の宗教と人種を明かさなくてはならない。ナチス台頭が迫っており、真実を明かすのはとても危険なこととされた。この時まだナチスの権力はそれほど強くはなかったが、ナタリアの愛犬が殺されるなど徐々に状況は悪くなってきている。
あらすじ