キャッチ・アズ・キャッチ・キャン
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キャッチ・アズ・キャッチ・キャン(Catch As Catch Can / CACC)は、レスリングの一種である。フリースタイルレスリングや現代のプロレスの主要な源流の一つと考えられている。歴史的と地域的に競技形態や技術の内容は変化している。キャッチレスリング、シュートレスリングまたは単にキャッチとも呼ばれている。本項ではCACCの原型であるランカシャースタイルも含めて解説する。
特徴

19世紀のランカシャースタイルでは現在のフリースタイルレスリングやプロレスとは異なり、サブミッションホールド関節技絞め技など広く相手から降参を奪う技)が使用されていたこと、ピンフォールの他、サブミッションによる勝利 (Submission Fall, サブミッションで降参させるのか戦闘不能後にフォールを奪うのかは不明) での試合決着が存在していた[1]。これについてプロレス研究家の那嵯涼介は、16世紀から18世紀にかけてヨーロッパで出版された徒手格闘技の教則本に数多くのサブミッションが紹介されていることを指摘し、本来、ヨーロッパの民俗レスリングにおいてサブミッションは一般的なものであったが、それが危険な技術と見なされて次々に封印され、最後まで残っていたのがランカシャー地方のレスリングだったのではないかとの見方を示している[1]
技術体系「Lessons in Wrestling & Physical Culture」よりフランク・ゴッチによるトーホールド。フリースタイルレスリングで認められているアンクルホールドとは異なり、足首の関節を極めている。

1898年にニューヨーク・アスレティック・クラブのレスリングコーチであるヒュー・レオナルドが著した"A hand-book of wrestling"にはグレイプバイン・ロック(コブラツイスト)、サイドチャンスリー(ヘッドロック)、クロス・バトック(腰投げ)」等の技が紹介されている[2]1912年のマーティン・ファーマー・バーンズの著作「Lessons in Wrestling & Physical Culture」では各種ネルソン・ホールド、各種レッグダイブ、チャンスリーホールド(フロント・ネックチャンスリー)、ハーフネルソン・アンド・クロッチホールド・ピックアップ(ボディスラム)、アームアンドリストホールド(アームドラッグ)、アームアンドレッグピックアップ(ファイアーマンズキャリー)などのアマチュアレスリングでも使用されている技の他に、アマチュアレスリングでは禁止されているトーホールドやアームホールド(ストレートアームバー)、ハンマーロックといった関節技、絞め技のストラングルホールド(裸絞め)などの技がストレッチダンベルを用いた体操と共に紹介されている[3]
歴史
起源

12世紀ヘンリー2世時代以降、イングランドではレスリングが盛んであった[2]ブリテン島で伝統的に行われていたレスリング競技のうちイングランド北部のランカシャー地方で発達した流派「ランカシャースタイル」が CACC の元々の形であった。なお、ランカシャースタイルの起源はアイルランド島である。ランカシャースタイルが伝統的にどのような場で実践されていたのかについては、はっきりしたことは判っていない。那嵯はビル・ロビンソンの証言を紹介しながら、イングランドでボクシング・デーに興業として行われていたオールインと呼ばれる徒手格闘(ロビンソンによればCACCに拳による打撃を加えたような競技とされる)のようなプライズファイト(賞金試合)とランカシャースタイルの関連について推論を展開しているが[4]、詳細は不明である。
アメリカにおける発展

19世紀後半、ランカシャー地方からアメリカ合衆国に向かった移民たちにより、ランカシャースタイルはアメリカ合衆国に伝播することとなった。1880年代には既にアメリカンCACC王座なるタイトルも存在していた。この時期の著名なレスラーとしてトム・コナーズやジョー・アクトンが挙げられる。特にコナーズはカラー・アンド・エルボー・スタイル[注 1]の選手であったマーティン・バーンズにランカシャースタイルの技術を伝えたことで、20世紀のプロレスリングに大きな影響を与えたとされる。バーンズは現役引退後、コーチとして数多くのレスラーを育てたが、その中にはフランク・ゴッチなど強豪選手も含まれていた。那嵯は、この時期のアメリカにおいてカラー・アンド・エルボー・スタイルやグレコローマンスタイル柔術などの技術がランカシャースタイルと混淆したと考えている。カール・ゴッチはこの時期のアメリカにおけるCACCをアメリカンキャッチと呼んでいる[5]
イングランドにおける展開


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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