キヌア
紫のキヌア
分類
キヌア、生(乾燥)
100 gあたりの栄養価
エネルギー1,539 kJ (368 kcal)
炭水化物64 g
デンプン 正確性注意52 g
食物繊維7 g
脂肪6 g
多価不飽和3.3 g
タンパク質14 g
トリプトファン0.167 g
トレオニン0.421 g
イソロイシン0.504 g
ロイシン0.840 g
リシン0.766 g
メチオニン0.309 g
シスチン0.203 g
フェニルアラニン0.593 g
チロシン0.267 g
バリン0.594 g
アルギニン1.091 g
ヒスチジン0.407 g
アラニン0.588 g
アスパラギン酸1.134 g
グルタミン酸1.865 g
グリシン0.694 g
プロリン0.773 g
セリン0.567 g
ビタミン
チアミン (B1)(31%) 0.36 mg
リボフラビン (B2)(27%) 0.32 mg
ビタミンB6(38%) 0.5 mg
葉酸 (B9)(46%) 184 μg
ミネラル
ナトリウム(0%) 5 mg
カリウム(12%) 563 mg
カルシウム(5%) 47 mg
マグネシウム(55%) 197 mg
リン(65%) 457 mg
鉄分(35%) 4.6 mg
亜鉛(33%) 3.1 mg
銅(30%) 0.59 mg
マンガン(97%) 2.03 mg
セレン(12%) 8.5 μg
他の成分
水分13 g
単位
μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム
IU = 国際単位
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
キヌアの品種「レッド・ファロ」
キヌア(西: Quinua、ケチュア語:kinwa または kinuwa、学名:Chenopodium quinoa)またはキノア(Quinoa)は、ヒユ科アカザ亜科アカザ属の植物[1]。アカザとは同属、ホウレンソウやビートとは同科である。南米アンデス山脈の高地アルティプラーノにおいて、数千年前より食用に栽培されている擬似穀物(英: Pseudocereal)であり、トウジンビエ、シコクビエ、キビ(黍)、アワ(粟)、ヒエ(稗)などと同様に、雑穀に分類される[2]。
国際連合食糧農業機関(FAO)によると、2014年の年間生産量は世界全体で約19万トンで、ミレット(millet:トウジンビエ、シコクビエ、キビ、アワ、ヒエなどの総称)の2838万トンの約150分の1でしかない。主たる生産国も南米のペルー、ボリビア、エクアドルに限られている[3]が、栄養面で優れており、いわゆるスーパーフードの一つとして注目されていることから世界100カ国以上に栽培が広がっており[4]、少量は日本(北海道剣淵町[5]、静岡県裾野市[6])でも栽培されている。
2017年2月、キヌアのほぼ完全なゲノム情報が解読された[7][8]。 キヌアの穂は品種により、赤、黄、紫、白など様々な色を呈し、直径約2mmの種子を一つの房に250-500個程度つける。脱穀した種子は白く扁平な円形をしており、食料となる。冷涼少雨な気候でもよく育つ。 キヌアの草丈は1-2メートルと高く分枝は少ない。主幹は半木質で[9]葉は波状のものから歯状のものまで多様な形態で幅が広く先端は狭くなり鋭い歯状である。花は[10]伸び出した草質の円錐花序で花被片は5枚である。現在のキヌアの栽培種には栽培地に応じて「高原型」「塩地型」「谷型」「海岸型」の4つの品種群がある。高原型はアンデス山脈の標高3000メートル以上のアルティプラノで栽培される。塩地型はボリビア南西部のウユニ塩原周辺で栽培される種、谷型はクスコより北の谷間で栽培されるもの、海岸型はチリの中部(中緯度)海岸地帯で栽培されている。キヌアは数千年の栽培の歴史があるが、植物毒
植生・生産
ボリビアでは栽培特性から、ふたつに分類される[12]。
高地型(Altiplanoタイプ)
年間降水量約 400mm程 度の比較的降水量の多い地域でジャガイモやムギ類と輪作して栽培される。
塩地型(Salarタイプ)
年間降水量約 200mm 程度のウユニ塩湖畔の降水量が少ない地域において単作される。
しかし、近年のブームによりボリビアでは栽培面積の拡大や作付けをしない期間の短縮によって、土壌劣化の進行による栽培の持続性が懸念されている[12]。
キヌアはコロンビアからボリビアにかけてのアンデス山脈一帯が原産と考えられており、5千-7千年前頃から野生種の利用が始まり、3千-4千年前頃には栽培が始まっていた[13]。キヌアの栽培地域では栽培されていない野生のキヌア(Chenopodium quinoa var. melanospermum)が自生しており、原種あるいは栽培種の子孫と考えられている[14]。海抜ゼロメートル地帯から標高4000メートルの半乾燥地帯(温帯ステップ気候)で生育するが、アンデス地方では主に標高2500メートル以上の地域で栽培されている。ウユニ塩原北方の標高約4000メートルのチパヤ(英語版)では降水量が少なく土壌の塩分濃度が高いため他の作物が育たず、キヌアが唯一の作物となっている[11]。
日本の国際農林水産業研究センターの分析によると、遺伝子的には多様で、旱魃や塩分濃度が高い環境でも育つ系統があり、品種改良も可能である[4]。