キネマの神様
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キネマの神様
著者
原田マハ
発行日2008年12月12日
発行元文藝春秋
ジャンル長編小説
日本
言語日本語
形態四六判上製
ページ数304
公式サイトbooks.bunshun.jp
コードISBN 978-4-16-327730-1
ISBN 978-4-16-780133-5文庫判

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キネマの神様 ディレクターズ・カット
著者原田マハ
発行日2021年3月24日
発行元文藝春秋
ジャンル長編小説
日本
言語日本語
形態四六判 軽装 並製カバー装
ページ数194
コードISBN 978-4-16-391346-9

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『キネマの神様』(キネマのかみさま)は、原田マハ長編小説[1]2008年12月12日文藝春秋から単行本が刊行され[2]2011年5月10日に文庫化された[3]2021年には、映画化に際し山田洋次が脚色した『キネマの神様』のシナリオを基に生まれた新たな物語である、『キネマの神様 ディレクターズ・カット』(文藝春秋刊、単行本)が発売された[4]

2018年には舞台化され、2021年には映画版が公開された。
製作

作者の原田は「本作は限りなく私小説に近いというか、物語の3割ほどは実体験に基づいたものである。残りの7割はファンタジー風になっているが、自分の人生がこんな感じになればいいなという願望を込めた部分もある」からこそ「父の人生にこんな温かな奇跡みたいなものが起きてほしい」と思って小説を書いたと語っている[5]。さらに原田は「父は無類の読書家だが、若い頃は大変なギャンブル好きでいつも借金を重ねていた。しかし幸いなことに兄が小説家として父のことを書くようになって、自分も作家になってから父のことをあからさまに曝け出すことができるようになった。そのため、父が兄と私にとって創作という作業には欠かせない力となっているのは事実かもしれない」と述懐している[5]
あらすじ

東京総合株式会社に勤める円山歩は課長という立場になりながら、社内の風当たりと、突然の左遷により会社を辞職する。それと同時期に父の円山ゴウは長年にわたるギャンブルによる多重債務により親戚たちにも迷惑を掛け家庭が首が回らない状況なのを知る。父の借金の返済をするためギャンブルを強制的に辞めさせ、もう一つの趣味である映画鑑賞だけを許し、自身も就職活動をする中、父の映画の趣味が高じて映画雑誌の「映友」のホームページにいたずら半分で映画評論を投稿したことがきっかけで人生が思わぬ方向へ変わっていくこととなる。
登場人物
円山郷直(まるやま さとなお)
通称「ゴウ」。物語の開始時点では79歳、禿頭が目立つ風貌で、心臓手術の後は杖をついている。能天気な性格で無類のギャンブル好きだが、それが原因で多額の借金を背負い、家族に迷惑を掛けている。かつてはセールスマンであったが、夜逃げと自己破産を繰り返し、現在はマンション管理人の職に落ち付いている。趣味は映画鑑賞で、その影響が歩にも及んでいる。
円山歩(まるやま あゆみ)
ゴウの娘。物語の開始時点では39歳。都市開発の仕事に携わり、課長まで昇進をしたものの。社内抗争に巻き込まれて退職を余儀なくされる。父の世話に手を焼いていたが、父の思わぬいたずらによって、自分の運命が変わっていくことへとなる。
円山淑子(まるやま あきこ)
ゴウの妻であり、歩の母親。夫に手を焼きながらも長年連れ添ってきた、ゴウを支えているのは妻の淑子でマンションの管理人の仕事もほぼ淑子がこなしている。
寺林新太郎(てらばやし しんたろう)
通称「テラシン」。ゴウ行きつけのキネマ映画館『テアトル銀幕』の館主。白髪頭に黒縁眼鏡で外に出て仕事をしてる際は「カーネルサンダース」みたいだとゴウにいじられている。ゴウとは長年の親友で3つ年が違う。ゴウのだらしない性格を知りつつも長年親友としてやってきた。
ローズ・バッド
ゴウの映画評論に的確な反論をしてくる謎の人物。アメリカ人である事以外は謎であるものの、ゴウと激論を繰り返し、これによって「映友」のホームページのアクセスの規模は倍になって行き、いつしかゴウは彼を友人と呼ぶようになる。
高峰好子 (たかみね よしこ)
映画雑誌『映友』を出版している映友社の編集長で取締役。祖父の代から続いている会社を受け継いでいるものの、雑誌の売れ行きに悩んでいる。ゴウの思わぬ書き込みから歩を映友社の専属の評論ライターとして雇う事になる。
新村穣(にいむら じょう)
映友社の編集者で35歳。軽率な性格で初対面の歩に対して罵声をあげたりするも、決して悪い人物でもなくその性格が父親のゴウやテラシンとそりが合いすぐに仲良くなる。誰が相手でも自分の態度を変えない。
柳沢清音(やなぎさわ きよね)
歩の前職の後輩で、財界の大物の令嬢。才色兼備な人物ながら歩を慕っており、歩が退職した事を気にかけていた、歩が退職して間もなく自身も学生時代にミネソタで知り合ったアメリカ人男性と結婚しミネソタに引っ越す。その後思わぬ形で歩の仕事の協力をする事へとなって行く。
高峰興太 (たかみね こうた)
好子の一人息子で通称「ばるたん」。29歳の引きこもり、『映友』のブログを開設し、ゴウの投稿に目をつけ歩を雇い、ゴウに映画評論の書き込みをさせることを提案する。映画版ではその役割を円山勇太に譲った。
バーブ馬場(バーブ ばば)
有名な映画評論家。
書誌情報
単行本
2008年12月12日発売、
文藝春秋ISBN 978-4-16-327730-1
文庫本
2011年05月10日発売、文春文庫ISBN 978-4-16-780133-5
キネマの神様 ディレクターズ・カット
2021年3月24日発売、文藝春秋、ISBN 978-4-16-391346-9
舞台

秋田雨雀・土方与志記念青年劇場にて2018年に舞台化された。脚本は高橋正圀。2020年から2021年まで全国演劇鑑賞団体連絡会議にて巡演した。主な巡演地方は九州、北陸、中国、四国地方。

内容は後述の映画版とは異なり、寺林新太郎(テラシン)の視点で物語が進む他は概ね原作に忠実になっている。
映画

キネマの神様
The God of Cinema
監督
山田洋次
脚本山田洋次
朝原雄三
原作原田マハ
製作房俊介
阿部雅人
製作総指揮迫本淳一
出演者沢田研二
菅田将暉
永野芽郁
野田洋次郎
リリー・フランキー
前田旺志郎
北川景子
寺島しのぶ
小林稔侍
宮本信子
音楽岩代太郎
主題歌RADWIMPS feat.菅田将暉
うたかた歌
撮影近森眞史
編集石島一秀
制作会社松竹撮影所東京スタジオ
製作会社「キネマの神様」製作委員会
配給松竹
公開 2021年8月6日
上映時間125分
製作国 日本
言語日本語
興行収入5億4500万円[6]
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松竹映画100周年記念作品として、2021年8月6日に公開。監督は山田洋次。撮影に先駆けて「この時代に生きた映画人の人生を、映画製作100年の歴史を誇る松竹という舞台で華やかに描きたいと思います」とコメントしている[7]

なお、原作や舞台版とは大幅に異なる内容になったため、前述の通り、映画版の内容を元にした『キネマの神様 ディレクターズ・カット』が発売された。
概要

当初は志村けん菅田将暉の主演(志村にとっては映画初主演)で2020年12月に公開予定だったが[7]、同年3月24日に志村の新型コロナウイルス感染が明らかになると[8]同月26日に出演辞退が発表された[9][10](同月29日、志村は死去した[11][12])。


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